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余命60年の私と余命8億年の君  作者: とりもち
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プールで遊ぼう 前編


「せっかくのお休みにありがとな〜」

大家さんに見送られてアパートを出発する。


少し前、大家さんに声を掛けられた。

なんでもみゆちゃんがプールに行きたがっているらしい。

チケット代やら諸々を出すから連れて行ってくれないか、と。

私とフランはそれを2つ返事で了解した。

小鳥とめぐるちゃんも誘ったところ、めぐるちゃんには断られてしまった。

なので今日は私とフラン、それにみゆちゃんと小鳥の4人チームだ。


「プール、たのしみ」

みゆちゃんがすごくそわそわしている。

「みゆちゃんは泳ぐの好きなの?」

聞くとみゆちゃんは力強く頷いた。

ちなみに私は泳げない。

監督役に徹する所存だ。

フランの可愛い水着姿を見に来たとも言える。


車を運転してしばらく。

目的のレジャー施設へとたどり着いた。


「おー。やっぱ夏近いからかな。人多いな。」

小鳥の言うように、すごく人が多い。

6月も中旬。

暑くなってきた季節の土曜日だ。

まあそれくらいは覚悟していた。

「賑やかなのも楽しいよ。

 今日はみんなで楽しもうね。」

フランもみゆちゃんもワクワクが顔に出ていた。

今日は2人のためにも良い保護者になろう。


さっそく着替えてプールサイドへ。


「おねえさん、ころばないでね」

「お嬢様、足元にお気をつけて」


水着姿の2人が私を引っ張る。

2人とも可愛いワンピースタイプの水着。

見てるとすごくほのぼのとする。

完全にお母さんになった気持ちだ。


「パパはちゃんとついてきてる?」

「誰がパパだよ、バカ。

 あとお前、親になった気分だろうけど介護されてるだけだからな。」


後ろを見ると真後ろに小鳥が居た。

小鳥は泳ぐ気満々のスイムウェアだ。

露出は無いけど、スタイルが良いからすごく目立ってる。

周りがチラチラと小鳥を見ているのを感じる。


ちなみに私は泳ぐ気ゼロの完全防備。

水着の上からぶかっとしたラッシュガード。

どの角度から見ても私のスタイルは秘匿されている。

まあ私ごときを気にする者もおらんだろう。


「ていうか小鳥。なんでそんな近いの?

 水着、恥ずかしいの?」

小鳥はぴったりと私の後ろにくっついて歩いてる。

「あぁ?お前が転んだら手繋いでる2人が危ないだろ。」

私を支えるためだった。

全力で介護されてる……。


「さてと、じゃあ遊ぼうぜ」

少し空いてる場所を見つけたので、3人は水の中へ。

私はプールサイドのベンチに腰掛け、3人を眺めることにした。


3人はとても楽しそうに遊んでいる。

擬音にするときゃっきゃうふふって感じだ。

あ、フランが手を振ってくれた。

小鳥がフランに水をかけた。

みゆちゃんも加勢して、小鳥VSフランとみゆちゃん。

みんなすごくニコニコとしている。

私は無言で立ち上がった。


「……混ぜて」

「泣くくらいなら最初から来い」


泣いてないよ。

小鳥はすぐしょうもない嘘つく。


「お嬢様!隙ありです!」

「きゃっ」

フランが水をかけてきた。

さぁ私も戦うぞ!


チームもルールもない、ただの水の掛け合い。

楽しい。楽しすぎる。

小鳥が参ったというまで、戦いは続いた。


「ちょっと疲れたからアイス食べに行ってくる。

 他に食べたい人いる?」

3人はまだこのまま遊ぶそうだ。

まあみんな私よりずっと体力あるしね。

1日遊び尽くすためにも私はちょっとだけ休憩だ。


「じゃあ私はそこのすぐ曲がったところのお店に居るから。

 何かあったら呼んでね。」

「行ってらっしゃい!気をつけてくださいね!」

「すぐ近くだから大丈夫だよ。」


手を振る3人に見送られてアイス屋さんへ。

あー、楽しい。

スキップしたい。

転ぶからしないけど。


(あ、ラッキー。空いてる。)

アイス屋さんは全然混んでなかった。

この辺りは穴場なのかな。

伸び伸びと遊べてる。


「……ちょっとだけきゅうけーい」

アイスを買って席につく。

でもあとでみんなもアイス食べるよね。

今日だけで何個食べられるかなー。

そんなことをぼんやりと考えていた。


「お姉さん、1人?」

「……?」

下品な声。

最初、それは私に聞かれているとは思わなかった。


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