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余命60年の私と余命8億年の君  作者: とりもち
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パス練習と頼れるおねえさん


「はじめまして、みゆちゃん。

 今日からよろしくね。」

「……」

みゆちゃんの人見知りモード。

今日は私の後ろに隠れている。


「みゆちゃん、このお姉さんはこわくないよ。

 ひなのって言うの。

 優しいお姉さんだよ。」

「取って食べたりはしないわ。

 私にサッカー教えてくれる?」

みゆちゃんは一度頷くと、雛乃の手を取った。


「ひなのおねえさんはかれしいる?

 わたしのかのじょにならない?」

「えぇ、いいわよ。

 こんなに可愛い彼氏、すごく自慢できるわ」

「はい、ストップ」


速攻でみゆちゃんに口説かれてた。

しかも速攻で恋人になりかけてる。


「別に良いじゃない。

 この子もごっこ遊びでしょ?」

雛乃はキョトンとしていた。

「ちょっと小鳥呼んでくるから待ってて。」

「え、ちょっと待って!

 なんで小鳥さん!?」

焦る雛乃を置いて小鳥を呼ぶ。

小鳥はすぐに来てくれた。


「ごめんな、みゆちゃん。

 雛乃お姉さんは彼女にはなれないんだ。」

「むぅ。でもあきらめないからね。」

危ない危ない。

小鳥が居なきゃ危なかった。


「あ、あの小鳥さん。

 別にあの子だってごっこ遊びでしょ……?

 ちょっと乗ってあげるくらいなら……。」

「みゆちゃんは本気だからな。

 そういうのは駄目。

 本気で付き合うならいいけどさ。」

そう言われて雛乃は複雑そうな顔をした。

「はぁ……。

 前のストーカーの時もそうだったろ。

 年下だからって油断は駄目だからな。」

小鳥は雛乃の頭を撫でて、めぐるちゃんの所に戻った。


「小鳥さんに気にかけて貰えて嬉しいけど……。

 複雑な気分だわ。」

「まあまあ、小鳥はそれだけ心配してるんだよ。

 とりあえず今日の練習、一緒に頑張ろ。」

雛乃を連れてみんなの元へ。

いつも通り、ラジオ体操からランニング。

雛乃はランニングの時点でヘトヘトだった。

ちょっと前の私を見ている気分。 


「サッカーのれんしゅう、だいじょうぶ?」

みゆちゃんが私たちに向けて言う。

当然だけど私もヘロヘロだ。

一ヶ月そこらで体力はつかないもん。


「大丈夫、だよね。雛乃?」

「えぇ……大丈夫よ。はぁ……。

 私たちはこれくらい……なんともないわ。」


みゆちゃんが訝しげな目で私たちを見る。

私たちは気合でどうにか立っていた。


「あとでふたりともマッサージしてあげる。

 いっしょにがんばろうね。」

みゆちゃんは私たちの手を一度ずつ握ると、ボールを取りに走っていった。


今日はパスの練習。

フランとみゆちゃんが転がすボールをトラップして、ゆっくりでいいから2人に蹴り返す。


「じゃあ始めんぞー。」

小鳥が笛を吹くと、ボールがコロコロと転がってきた。

(うん、これくらいなら大丈夫かな)

ボールを足で受け、蹴り返す。

少しズレたけど、まあ及第点だろう。


「きゃ」

横を見ると雛乃は空振って転んでいた。

「おねえさん、だいじょうぶ?」

みゆちゃんが助け起こしていた。

パスの練習をしている間、そんな光景が何回も続いた。


今日の練習は終わり。

ゆっくりとなら、ボールを狙ったところに返せるようになった。


「ねえおねえさん」

みゆちゃんが服の裾を引っ張る。

「どうしたの?」

何か聞いてほしいことがありそうだった。

「ひなのおねえさん、ぜったいかのじょにする。

 まもらないとあぶないから。」

庇護欲がみゆちゃんの中で芽生えていた。

「おねえさんもきをつけてあげてね。」

そういうとみゆちゃんは片付けに戻っていった。


「小学生に心配されてるよ、雛乃……」

「言っとくけど、お前も心配されてるからな」

「うわ、小鳥!?いつの間に!?」


いつの間にか小鳥が後ろに居た。

なに、忍者なの?

びっくりした。


「お前と雛乃は守らないといけない子らしいな。

 ちょっとはしっかりしろよ。」

「肝に銘じておくよ……」


そんなにしっかりしてないかな、わたし。

フランのおかげもあって最近は問題起こして……。


あ、いやお酒飲んだな。

それで2人にキスしたな。


ちょっと気をつけよう……。


雛乃と一緒に頼れる大人を目指す。

また1つ目標が増えてしまった。

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