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余命60年の私と余命8億年の君  作者: とりもち
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フラン撮影会 Part.12


「お邪魔するわ。

 これ、良ければ食べてちょうだい。」

今日のゲストは雛乃。

雛乃を連れて部屋に戻るとめぐるちゃんも待っていた。


今日はフランの撮影会。

撮影会は不定期で何度も開催されている。

今日は通算12回目の開催だった。


「では着替えて参りますね!」

フランが奥の部屋へと引っ込む。

今日の衣装はめぐるちゃんの持ち込み。

どんな衣装になるかはまだめぐるちゃんしか知らなかった。


「はじめまして。私は雛乃。

 よろしくお願いするわ。」

「は、はい!私は四ツよつかど めぐるです!

 こちらこそよろしくお願いします!」

「前にお店に来てくれてたよね?

 私のこと分かるかしら?」

「もしかして金髪の子ですか?

 お店と全然雰囲気違いますね!」

「……よく分かったわね。」

「私、人の顔覚えるの得意なんです。」


2人の自己紹介もつつがなく進んでる。

雰囲気の違う2人だけど、仲良くなれそうで良かった。


「準備できましたよ!」

フランの着替えも終わったみたい。

私はスマホを構えてその時を待つ。


「じゃーん!今日はメイドさんです!」


出てきたフランはすごく可愛いメイドさんだった。

お店のそれと瓜二つな意匠。

クラシカルなスタイルのメイド服はフランの端正な顔立ちにすごく似合っている。


「フラン!可愛い!可愛いよ!」

大きな声で褒めながら写真を撮る。

「フランちゃん、こっちも向いて!」

めぐるちゃんもそれは同じ。

2人でパシャパシャと写真を撮り続ける。


「ほら、雛乃も撮ってあげて。」

雛乃はちょっと困惑していた。


「え、ええ。フランちゃん、すごく可愛いわ。」

雛乃もゆっくりとカメラを構えて写真を撮ってくれた。


フランは撮影会がすごく好き。

みんながたくさん褒めてくれるのが嬉しいみたいだ。

いつもすごくニコニコとした笑顔で写真撮影に応じてくれる。


「でもこの衣装ってどうしたの?」

「頑張って作りました。」

めぐるちゃんはどやっとした顔でそう答えた。

「見た目だけなので、実用性はないですけどね。

 中身はお粗末なものです。」

だとしてもよく作れるものだ。

めぐるちゃんは私が思ってるよりもずっと多才なのかもしれない。


「フラン、これかけて。」

フランに眼鏡を渡す。

今日は小鳥は不在だ。

親友としてこれくらいはしてあげよう。


「似合いますか??」

「うん、すごく似合ってるよ。」


さらに写真を撮る。


「これで小鳥お姉様も大喜びですね!」

もう小鳥の性癖はみんなご存知だ。

フランもたまにファンサービスで眼鏡をかけてくれるくらい。


「……小鳥お姉様?」

あれ?

雛乃の手が止まった。


「どうしたの?雛乃さん?」

めぐるちゃんも様子の変化に気付いたみたい。

一度撮影の手を止めて雛乃に向き合った。


「小鳥お姉様って安藤小鳥さんですか……?」

あんどう……?

あ、そういえばそんな名前だっけ。

「うん、そうだよ。

 それがどうしたの?」

実は知り合いだったのかな。

小鳥の名前を聞いてから、雛乃の様子が変になった。


その時、ガチャリと玄関のドアが開く音がした。


「撮影会、まだやってるー?」

小鳥が帰ってきた音だった。


「やっぱり!?どどどうしよ!?」

急いで隠れようとする雛乃。

でも小鳥が部屋に入ってくる方が早かった。


「……あれ?雛乃ちゃんじゃん。

 なんでここに?」

「あ、えと。えっと……。ごほん。」

雛乃は1つだけ咳払いをして。


「小鳥さん。きょ、今日はお日柄もよく……。

 フランちゃん、すごく可愛いですね!!」


フランの後ろに隠れながら元気よく挨拶する雛乃。


小鳥に恋してるの?

思わずそう言いたくなるくらいに、雛乃は挙動不審になっていた。

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