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余命60年の私と余命8億年の君  作者: とりもち
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さよなら、メイドカフェ


「……まだ3日目よね?」

辞めることを伝えると、雛乃はそう言って驚いてくれた。


「私も本当はもっと続けたいんだけどね。

 フランと離れるのは辛いから。」

「それって将来どこで働くの……?」


もっともな疑問だった。


「でもまさかここまでフランが人気になるとはね。」

「フランちゃんと新入りはどういう関係なの?」

「ただの従姉妹だよ。

 お互いめっちゃ大好きなだけの。」

「それにしてはすごくべったりね。」


雛乃と働くのもこれで最後。

メイドカフェはしょうがないけど、雛乃とさよならするのはすごく寂しい。


「ねえ、今度うちに遊びに来ない?

 フランと一緒に歓迎するよ。」

雛乃をうちに誘ってみる。

折角だし、今後も一緒に遊ぶような仲になりたい。

雛乃の性格なら小鳥とも仲良くなれる気がする。


「……もしかして前に言ってたサッカー?

 それなら遠慮するわ。」

「サッカーは気にしないでいいよ。

 ゲームとかして遊ぼうよ。」


雛乃はちょっとだけ悩んだ。


「まあいいわ。いつ空いてるかしら?」

「クビになったばかりだからね。

 いつでも空いてるよ。」

「随分と気楽ね。

 じゃあ明日はどう?」

「大丈夫だよ。駅まで迎えにいくから。」


そんな感じで雛乃と遊ぶことが決定した。


お店から出るとフランが待っていた。


「お嬢様!お疲れさまでした!

 あ!雛乃お姉様も一緒なんですね!」

フランが私たちの手を握る。


「やっぱりフランちゃんは可愛いわね。

 私も写真撮ってもらうべきだったかな。」

「明日たくさん撮っていいよ。

 フランの撮影会しよ。」

「それはすごく楽しみです!

 なんでも仰ってくださいね!」


新しい友達ができてフランもご機嫌だ。


「でもごめんね。折角楽しんでくれてたのに。」

「お嬢様と一緒ならそれで満足ですよ!

 それにほら、見てください!」

フランがポケットからメモを取り出す。

そこに書かれていたのは3人分の電話番号だった。


「これでメンバー3人ゲットです!」

「おー!さすがフラン!すごい!」

一気にサッカーチームの完成に向けて前進した。

働いた甲斐もあったというものだ。


「今は何人集まってるの?」

雛乃も含めると……。

「元々はメンバー3人にマネージャー3人。

 雛乃とメイドさんたちの加入で……。」

選手6人にマネージャー4人。

うん、すごくいい感じだ。


「すごいバランスね……。」

私もそう思う。


「じゃあそろそろ解散だね」

駅について、雛乃に手を振る。

仕事終わりに話しながら帰るの好きだったんだけどな。

「ええ、また明日」

雛乃が逆方面の電車に乗り込む。

私とフランは手を振ってそれを見送った。


(でもフランと一緒にできる仕事かー……)

クビになったことで少し安心している自分も確かに存在していた。

これでまたフランとずっと一緒に居られるって。


でもいつまでもこのままじゃ居られない。

預金だっていつかは尽きてしまう。


「……お嬢様?いかがなさいましたか?」

フランが少し心配そうに私を見る。

フランにはクビになった理由を伝えていない。


「ううん、なんでもないよ。

 雛乃が居なくなって寂しくなっちゃった。」

「じゃあ手を繋いで差し上げます!」

フランが私の手を取ってくれた。


でもほんとにどうしよう?


サッカーのメンバー集めも将来のことも、不安ばかりだった。

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