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余命60年の私と余命8億年の君  作者: とりもち
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お嬢様からメイドへ


結論から言うと、アルバイトは合格した。

私だけ。


「えっと、ごめんなさいね。

 フランさんに合うサイズの制服が無くて……。」

面接官さんはそう言ってフランを落とした

フランは能力や年齢で落ちた訳ではなかった。

単純に制服のサイズがなかった。


「ごめんね、フラン。

 私だけでも頑張ってくるね。」

「お嬢様。無理はなさらないでくださいね。

 お客さんとして伺います!」


一緒に働けないこと。

そのことにフランは最初不満げだった。

でも私のメイド服姿が見られればひとまずそれで満足らしい。

結局、私だけでも頑張って欲しいと背中を押されてしまった。


まあ元々今回は短期の募集だったし。

フランが満足したら次のお仕事を探せばいいや。

私もそれくらいの軽い気持ちだった。


1週間の研修を終えて、今日からようやく本格始動。




「おかえりなさいませ。ご主人様。」


「お嬢様!すごく似合ってますよ!」

「王子様、すごくお似合いです!」

最初のお客さんはフランとめぐるちゃんだった。


「めぐるちゃんも来てくれてありがとね。」

「いえ!王子様の可愛い姿が見れて嬉しいです。」

「ちょっと恥ずかしいけどね。」


メイド服はクラシックなタイプ。

露出も殆どないから、着ていて恥ずかしくなるようなものじゃない。

でも知り合いに見られるのはちょっと照れるものがある。


「ご注文はいかがなさいますか?」

それでも久しぶりに演技をするのは少し気持ちがいい。

しかもフランとめぐるちゃんが楽しんでくれているから、なおさらテンションが上がってしまう。


「オムライスとチェキ券を2人分お願いします!」

「承知いたしました。

 ポーズのご要望はありますか?」

「可愛いポーズがいいです!」


可愛いポーズ?

フランの要望は難しい……。


「こうかな。」

手でハートを作る。

フランはニコニコとしている。

これで満足らしい。


「私は一緒にハート作ってもらってもいいですか……?」

「うん、大丈夫だよ」

2人でハートを作る。

めぐるちゃんもニコニコしてくれた。

ちゃんと仕事できてる気がして嬉しい。


「あの、追加でもう一枚いいですか?」

「お金かかっちゃうけど大丈夫?」

「はい!大丈夫です!」


めぐるちゃんの要望で次々と写真を撮っていく。

指ハート。

見つめ合い。

壁ドン。


「……これ以上はやめた方が良いんじゃない?」

多分もうけっこうな金額になってる。

「……あとでお家で好きなだけしてあげるから。」

お店の人に聞こえないように耳打ちする。

さすがにちょっと罪悪感がでてきた。


「王子様、それはずるいです……」

めぐるちゃんは鼻を抑えるとトイレに行ってしまった。


「そういえば、オムライス2人分って大丈夫?

 フランは食べられないでしょ。」

めぐるちゃんが居ないうちに、フランに聞いておこう。

フランはご飯を食べられない。

めぐるちゃんが2人分食べられるのかな。

それも厳しそう。


「大丈夫です。小鳥お姉様も呼んでますので。」

「え?」


小鳥も来るの?

それは恥ずかしい……。


「よ、遅れて悪かったな。」

言ってる側から来た……。

「お帰れ。」

なんか小鳥に見られるのは恥ずかしい。

早急にお引き取り願いたい。


ていうかサングラスとかマスクとか。

変装して来るくらいなら来なきゃいいのに。


「似合ってんじゃん。」

「うるさいでございますわ。」

「とりあえずオムライスとチェキ頼むわ。」

えー、小鳥も写真撮るの……。


「眼鏡でもかけろと?」

「お前にそれは頼まねえよ。

 ドキッとしそうでこわい。」

眼鏡っ子なら誰でもいいのかよ。


「えっと……うわめづかいだって。」

小鳥が何か手紙を読み上げる。


「なにその手紙?」

「みゆちゃんからのお使い。」

なるほど、それは頑張らないと。


パシャリと一枚。


「いかがでしょう?」

「まあいいんじゃね。」

雑な感想むかつく。


「あ、小鳥ちゃん!」

めぐるちゃんも席に戻ってきた。


「それじゃ私は仕事に戻るから。

 楽しんでね。」

「あの!王子様!」


「?なんでしょうか?」


「チェキってグッズに使っては駄目でしょうか……?」

「駄目です」


そんなこんなで初仕事は順調にできたはず。

私、もしかしてメイドカフェ向いてるのかも。



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