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余命60年の私と余命8億年の君  作者: とりもち
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アルバイト探し


メンバーと並行して探さないといけないものがあった。

アルバイトだ。


大学1回生から2回生の終わりまで、私はバイトしかしていなかった。

貯金が趣味のしみったれた奴。

それが私だった。


でも最近はちょっとお金を使いすぎた。

いや、別に金欠になった訳じゃないんだけど。

預金がただただ減っていくのが見てて辛い。


(でもアルバイトするって言ったら……)


絶対にフランが反対する確信がある。

この前ようやくフランにお給料こづかいを渡せたばかりだ。

1日かけて説得したのに、それが降り出しに戻るのは避けたい。

お金が欲しいなんて言ったら、お給料を返されてしまう。

なんならフランの持つ金塊を押し付けられる未来が見える。


「フラン、ちょっとだけ小鳥の所にいってくるね。」

「はーい!」


フランに声をかけて隣の部屋に。

小鳥とめぐるちゃんが将棋していた。


「あれ?将棋なんて珍しいね。」

「今、いいところだからちょっと待ってろ。」


言われるがまま少し待つ。


「小鳥ちゃん、銀はそっち行けないよ。」

「あ、そっか。」

「めぐる、二歩になってるぞ。」

「あ、ほんとだ。」


2人とも初心者だった。


「んで?なんの用?」

とりあえずバイトを探してることを伝えた。


「だからフランに内緒でできる仕事ってないかな。」

「いや、それは無いんじゃねえの?

 フランちゃん、お前にべったりじゃん。」


まあ正直そんな気はしていた。

別に束縛が強い訳ではないんだけど、不自然な外出が多いと理由を聞かれるだろう。

バイトをするから遊べないなんて言ったら、全力で私を堕落させようとしてくるのが目に浮かぶ。


「前はどんなアルバイトしてたんですか?」

「警備員とか試験監督官を転々と。

 ぼーっとするのは得意だったから。」

「事件とか起きたらどうすんだよ。」

「幸い何も起きなかったから大丈夫だったよ。」


んー。でも本当にどうしたものかな。

食うに困る訳でもないから、諦めるのもありな気がしてくる。



「いっそフランちゃんと一緒に働けば?

 一緒ならフランちゃんも許してくれそうじゃん。」

「え、え?フランちゃんそんな歳じゃないですよね。」


小鳥の発言にめぐるちゃんが動揺する。

小鳥は慌てて口をつぐんだ。

めぐるちゃんはフランの正体を知らない。

普通に中学生くらいの子だと思ってる。


「冗談だよ。でもどうしたもんかな。」

小鳥は誤魔化したけど、試してみる価値はありそうだった。


「2人ともありがと。参考になったよ。」

そう2人に言って自分の部屋に戻る。



「ただいまー。」

「おかえりなさいませー。」

台所からフランは出迎えてくれた。


「ねえ、フラン。ちょっと相談があるんだけどいい?」

「?はい、大丈夫ですよ。」

少し困惑しながらもフランは耳を傾けてくれた。


「アルバイトをまた始めようと思うんだけど……」

「そんな必要はないですよ?

 お金が必要ならこの前貰ったお給料お返しします。

 もっと必要なら私が稼いできましょうか?」


思った通りの反応。

働く時間があるなら、遊んで欲しいのがフランだ。

説得は骨が折れそう。


「お金よりも何か新しいことしたいと思って。

 サッカーのメンバー集めもついでにできそうだし。」

とりあえず目的がお金じゃないことをアピール。

いや、本当の目的はお金だけど。


「でもお嬢様と一緒の時間が減るのは嫌です。」

「もし良ければフランも一緒にどう?

 一緒に楽しそうなお仕事見つけよ?」


正直、フランを働かせるのは気が咎める。

でもお留守番させるよりはいいはず。


「一緒の時間は減らないんですよね……?」

「うん、そこは絶対に大丈夫。」


指切りげんまんをして、交渉は無事に成功。


「でもお仕事どうしよっかな。

 フランはどういう所がいい?」

「制服が可愛いところがいいです!」

ちょっと意外。

フランはかっこいい系の方が好きだと思ってた。


「お嬢様の可愛いところが見たいです!」

「私に可愛い系似合うかな……」


まあでもフランの希望だ。

これは一番大事なポイントにしておこう。


「ちょっと待ってくださいね」

フランがカチカチとパソコンで調べ物をする。

「こちらなどいかがでしょうか?」

開かれた画面。

そこには1つの求人が映っていた。



メイドカフェ……だと……?


「お嬢様の可愛いところ見たいです!」


キラキラとしたフランの目。

私はそれを拒むことができなかった。


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