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余命60年の私と余命8億年の君  作者: とりもち
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早起きの朝


「おはよう、フラン。」


朝の5時。

珍しくフランより早起きできたから押し入れを開けてフランを呼ぶ。


「お嬢様!おはようございます!

 今日は早起きなんですね!」

声をかけるとフランは大喜びした。

毎日はできないけど、それでもこの顔を見ると早起きした甲斐があったと思う。


「うん、おはようフラン。

 今日は早起き頑張りました。」

「偉いですよ!お嬢様!

 撫でてあげます!」


押し入れに入るとフランが頭を撫でてくれた。


「まだランニングまで時間はありますね。

 もうちょっとのんびりしましょう?」

「ありがと、フラン。

 朝から幸せー……。」


フランに身を預ける。

フランが頭を撫でてくれるのが心地いい……。


「今度は私の番。

 フラン、膝枕してあげる。」


押し入れから出てフランを膝枕する。

膝に乗せると、フランはすごくニコニコと笑ってくれた。


「お嬢様のお膝、モチモチしてます。」

「フラン専用だよ。いつでも使っていいよ。」

「えへへ、嬉しいです。」


フランが膝枕の上でうつ伏せになる。


「頭撫でてください……」

くぐもった声でフランが甘えた。

「お安い御用だよ。

 いつも起こしてくれてありがとね。」

頭を撫でるとフランが鼻歌を歌いだす。

息がかかって少しくすぐったい。

でもフランの鼻歌は上手で、聞いていて心地よかった。


フランの鼻歌を聴きながら頭を撫で続ける。


「満足しました!

 今度はお嬢様のこと膝枕してあげます!」


フランが座って、膝に眠るよう手でパタパタと示す。

私はそれに甘えることにした。


「フランはすべすべだね。

 すっごく寝心地いいよ。」

「今日からは私の膝枕で寝ますか??」

「たまにお願いしよっかな。」

「いつでもお待ちしております!」


フランの膝の上で目を閉じる。

ゆっくりと頭を撫でてくれる。

一度は目が覚めたのに、また眠たくなってきてしまう。


「ねーむれ、ねーむれ……」

フランがゆっくりと子守唄を口ずさむ。

「ふらん?このままだとまた寝ちゃうかも……?」

どんどんと瞼が落ちていく。


「まだちょっと時間はありますからね。

 もう少しゆっくりしてもいいですよ。」

そう言ってフランは子守唄を再開する。


見上げると優しく微笑むフランの顔が見える。

私はそれに小さな頃の安心感を思い出す。

そして私はそのまま……。




「お嬢様?もう朝ですよ?」

てちてちと頬を優しく叩かれる。


「ごめん、結局起こしてもらっちゃったね。」

「いいんです。赤ちゃんみたいで可愛かったですよ。」


そう言われるとちょっと恥ずかしい……。


「でもフランもお母さんみたいだったかも。」

「ママ執事になりましょうか?」

フランが悪戯な笑顔を浮かべて聞いてくる。


「ううん、それはやめとく。」

首を横に振って答える。

「じゃあこれからも私はお嬢様の執事ですね。」

フランはすごく嬉しそうに笑った。


今日という日はこれから始まる。


早起きは3文の徳って言うけど、この充実感は3文どころじゃないなってそう思った。

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