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余命60年の私と余命8億年の君  作者: とりもち
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小鳥との出会い


「この家ともついにお別れかー」

「私はお邪魔するの初めてです!

 綺麗なお家ですね!」


引っ越しが決まって、私とフランはなんとなく小鳥のお家にお泊まりに来ていた。

前の時も思ったけど小鳥の家には殆ど何もない。

机、椅子、冷蔵庫、パソコン、布団。

周りを見るとそれくらいしか置いてない。


「ついにって言うけど2回目だろ、来るの」

そう言いながら小鳥がお茶を淹れる。

「引っ越しっつっても持ってくもんもねえしな。

 ガスと水道の準備できたらすぐに行くわ」

引っ越しはまだもうちょっと先になるらしい。


手伝おうとも思ってたけど、この感じなら手伝いも要らなさそう。

体力の無い私には嬉しい話だった。


「なんか小学生の頃のアルバムとかないの?」

暇を持て余して小鳥に聞いてみる。

聞くと小鳥は一度だけ舌打ちをした。


まあ私も脛に傷がある身だ。

そう深くまでは踏み込まない。


「小鳥お姉様の小さい頃、見てみたいです!」

でもフランは気になったみたい。

すごくキラキラとした目で小鳥を見つめる。

小さく尻ごんだあと、フランの頭を撫でた。


「フランちゃんには特別な。

 今度実家から持っていくよ。

 でもバカは見るなよ。」

そう言って私を睨む。

いや小鳥の小さい頃なんてそんなに気にならないし。

そんな目で見られても。


「小鳥お姉様はいつからお嬢様のお友達だったんですか?」

小鳥に抱きかかえられながらフランが聞く。


「高2の冬くらいだっけ?」

「あぁ、たしかそんなもんだな。」


親に怒られまくって、引きこもり生活もついに中止を余儀なくされた。

そんな中で同じく生徒指導室に来ていたのが小鳥だった。

転校してから碌に授業に出ない。

そんな問題のある生徒。


「だりぃな」

「そうだね」

「逃げね?」

「……乗った」


生徒指導室の中。

たしかそんな会話から始まったと思う。

小鳥は私の過去を知らないし、私も小鳥の過去を知らない。

だからすごく居心地が良かった。


そこからは2人でつるみだした。

引きこもって体力の落ちた体。

たまに貧血を起こしたが、その度に小鳥がなんとかしてくれた。

逆に私からは勉強を教えた。

だから私たちはやさぐれてはいたが、特に問題児にはならずに済んだ。


まあでも2人の時間は半年くらい。

半年後にはもう1人のやさぐれが仲間になった。

兎子尾としお りん

あいつも元気にしてるかな。


「……って感じであたしたちは仲良くなったんだよ。」

「2人はその頃から仲良しだったんですね!」

「別に仲良しではねぇよ。」


私と小鳥のことは小鳥から説明してくれたらしい。

思い返すと、なんで私は小鳥と疎遠になってたんだろう。


「いや、私たちは仲良しだよ。」

フランを撫でる小鳥の頭を撫でる。


「……もしかして酔ってる?」

小鳥はそんなことを言った。


少し照れてたのには気付いたが、私は指摘しなかった。


そういうの恥ずかしいと思うタイプでしょ?

私は優しいから気づかなかったことにしてやろう。

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