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余命60年の私と余命8億年の君  作者: とりもち
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とってもおっきな問題


「おねえさんでーといこ?」


みゆちゃんが私の手を引いてそう言った。

とっても嬉しい申し出。

でも私はそれに首を振って応える。


「うーん、ごめんね。お家でゲームでもいい?」


私の言葉にみゆちゃんは首を傾げた。

普段、みゆちゃんの誘いを断ったりしない。

水族館に行きたいと言えば水族館に。

動物園に行きたいと言えば動物園に。

今までならどこにだって一緒に行ってきた。

だからこそ、みゆちゃんもデートの誘いをしてくれたのであろう。


(でもなー……。)


今はちょっと行けないのだ。

とってもおっきな問題が発生しているから。

きっと全人類に共通の問題。


(お金が無くなってきた……。)


さすがに遊びに行き過ぎた。

クリスマスに小鳥に告白することを考えると、もう余裕がない。

クリスマスとしばらくの家賃でもうぎりぎりだ。


「むぅ。じゃあおうちでーとだね。

 おひざもらうね。」

「ごめんね。」


みゆちゃんが私の膝の上に腰掛ける。

ほんとは一緒に遊びに行きたいんだけど……。

むぅ。


みゆちゃんの頭を撫でていると、玄関のドアの開く音。

お買い物に行っているフランが帰ってきたのかな。

それとも小鳥やめぐるちゃん?

その正体はすぐに判明した。


「王子様ー!いらっしゃいますか??」


テンションの高いめぐるちゃんだ。

ぱたぱたと音を立てながら、部屋に飛び込んできた。


「あ、めぐるちゃん。いまおうちでーとちゅー。」

「わ、いいなー……。じゃなくて!」


みゆちゃんをひと撫でして、めぐるちゃんが私に向き合う。

ワクワクそわそわのキラキラまなこ

よっぽど楽しいことがあるのかな。

みゆちゃんとふたり、固唾を飲んで次の言葉を待つ。


「初日の出!北海道行きましょう!

 えへへ。すごく良いと思いませんか??」


……。

い、いいなー……。


うん、それはすごくいいアイデアだ。

北海道の広い海から初日の出を拝む。

きっととっても綺麗だろう。


「わ、とってもすてきだね。」

「でしょー!みゆちゃんも一緒に行こ?」

「わたしはおじいちゃんとすごすから。

 たのしんできてね。」

「むぅ……。でも王子様!

 王子様は来てくれますよね!?」


キラッキラの笑顔。

ただ、でも……。


「王子様、苦い顔してどうかしましたか……?」


めぐるちゃんはアワアワとそう聞いてきた。

どうやら顔に出てたらしい。

理由も告げずに断る……のは心証悪いか。

しょうがない、正直に話そう。


かくかくしかじか。

実はお金がないのです。


「あー……。そうなんですね。

 あ、でも私がお金出しますよ!

 貯金はたくさんありますから!」


めぐるちゃんは鼻高々にそう提案した。

でもその提案は断らねばだ。

いくらなんでもお金の借りは作りたくない。


「うーん……気持ちだけ受け取るね。

 私のことはいいからさ。

 私のお金の遣い方が悪かったってだけだしね。」


口を尖らせるめぐるちゃん。

まあでも……。

私のせいで旅行行けないのもな。

なんか良い金策があればいいけど……。


「むぅ……。そうなるとアルバイトとかですかね。

 執事喫茶かメイド喫茶に戻りますか?」

「うーん……。どっちにしろフランが嫌がるかな……。」


私個人の気持ちとしてはどこで働いてもいいんだけどね。

メイド喫茶や執事喫茶。

みんなに出会う前に働いていたコンビニやパン工場でもいい。

でもどれを選ぶにしてもフランがきっとすごく嫌がるだろう。

フランは私に働いて欲しくないのだ。

アルバイトの話をすると、いつもすごくごねられる。


「ただいまーです!」


そんな時、ちょうどフランがお買い物から帰ってきた。

いつも通りのキラキラとした笑顔。

バイトするって言ったら嫌がるだろうな。

でもうー……。

試しにちょっとだけ伝えてみよう。

北海道は自分のお金で行きたいし……。


「ねぇフラン。めぐるちゃんがね。

 初日の出、北海道で見たいって。」

「わ、それはとっても素敵ですね!

 私も大賛成です!」

「それでね、お金もかかるしね。

 ちょっとバイトでかせ

「がなくていいですよ。私が出しますから。」


フランはにこりと圧をかけてきた。

笑顔だけど目が笑ってない。

絶対に意思を曲げないという強い意思を感じる。


「フラン、えっとね。」

「お嬢様は働く必要ないですよ。

 楽しいことだけしてればいいんです。」


とてとてと歩いてきて、そのままフランはぎゅーと私を抱きしめた。

むぅ。


「ね、ねぇフランちゃん。

 どうして王子様はバイトしちゃだめなの?」


めぐるちゃんがそう尋ねた。

私を抱きしめる腕により力が籠もる。


「だってお嬢様は働く必要ないですから。

 必要ないことに時間を使うのは勿体ないです!

 私はお嬢様とたくさん遊びたいです!」


フランがそう言うと、みゆちゃんはふむふむと首を縦に振った。

みゆちゃんもフランと同じ意見らしい。


(でも……うー……。)


私としては自分の遊ぶ分は自分で稼ぎたいのだ。

フランのお世話になってばかりはいや。

でも時間をかけずに稼げる仕事……。

もしくはフランに許可をもらえる仕事……。

思い浮かばない……。


そんな時、めぐるちゃんはぽんっとひとつ手を叩いた。


「それなら時間をかけなきゃいいんですよね。

 えへへ。ぴったりな良いお仕事ありますよ!」


「お薬の治験です!

 三木製薬のお薬の治験をお手伝いしてください!」


ということで次回は三木製薬……めぐるちゃんの実家の怪しいお薬体験。

果たして無事にお金を稼げるか。

その答えはきっと、ニコニコのめぐるちゃんのみぞ知る。

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