隣の部屋は誰の部屋?
「うん、いいよ!めぐるちゃんなら大歓迎!」
めぐるちゃんの提案に私は歓迎の意を示した。
盗聴とか盗撮とかじゃなければ全然いいでしょ。
めぐるちゃんいい子だし。
「お嬢様が良いなら私も歓迎しますよ!」
フランも顎の下を撫でられながら言う。
すごく猫っぽくて可愛い。
今度私もしてみよう。
私とフランは大歓迎。
でも小鳥だけは苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
「……じかー……。……や……も……ちだしな……」
聞こえないくらい小さな声で、ぼそっと何かを言った。
「フラン、小鳥は今なんて言った?」
こんな時はフランの出番。
誤魔化しなんてできないと思え。
「まじかー。いやでも早い者勝ちだしな。
小鳥お姉様はそう仰ってました。」
フランがそういうと、小鳥は頭を抱えた。
「どういうこと?
フランの前で嘘がつけるとは思わないでね。」
フランがニコニコしながら手をかざす。
ウソ発見器の真似。
いやまあフランにそんな能力はないけどね。
観念したのか渋々と小鳥が喋りだす。
「いや、あたしも隣に住もうと思ってたんだよ。
朝の日課にたまにしか来れないの寂しいし。」
「そんなに私のことを想ってくれてたんだね。
でもごめんね。私にはフランがいるから。」
「黙れバカ」
「まあでも先に決心したのはめぐるの方だしな。
あたしのことは気にすんな。」
そう言って小鳥はめぐるちゃんに笑いかけた。
「え、えっと……。急で変かもですけど。
もし良ければ一緒に住みませんか……?」
「え?」
突然の提案に小鳥はそれだけ返した。
「いや、でもあたしとなんて怖いだろ?」
小鳥は目つきが悪くて背も高い。
まあ本人も人を寄せ付けないように使ってるから、気にしてるわけではないだろうけど。
それでも年下の女の子には気を遣うようだった。
「かっこよくて素敵だと思いますよ……?」
めぐるちゃんは全くそれを気にしない。
「1人で住むには広いですし、むしろ一緒に住んでくれると助かります。どうでしょうか……?」
「……ほんとにいいのか?」
「はい!」
「……じゃあよろしく頼む」
そうして2人の引っ越しが決まった。
隣の部屋に友達がいる。
きっとそれは間違いなく楽しい。
私は楽しい予感に胸を膨らませ、ただニコニコと笑うばかりだった。




