夢の国で遊ぼう会の始まり
「ごーごー。」
「ゴーゴーです!」
手を繋ぐみゆちゃんとフラン。
その後ろを歩く私と小鳥とめぐるちゃん。
11月。ど平日。朝。
人のそう多くない(めぐるちゃん談)ディズニーの街を私たちは歩く。
今日は待ちに待ったディズニーランドの日。
どういうルートで、どんなアトラクションを目指すか。
そのプランも完璧。
淀みなく進む2人を前に、私たちはがんがん前へと進む。
「おねえさん!おねえさん!みえたよ!」
「お嬢様!見てください!目的地です!」
前を進む2人がぱーっと満面の笑顔で振り向く。
そこにはカリブの海賊。
私が一番乗りたかったアトラクション。
振り返った2人が、私の手を引きに少し戻る。
取られる両の手。
ふへへ。
なんと幸せなんだろう。
そんな風に、カリブの海賊から私たちのディズニー探索は幕を開けた。
今日は前もって決めていたプランどおりに進んでいく。
カリブの海賊からスタートして、ディズニーを一周。
最後はスティッチエンカウンターがゴール。
「海賊楽しみだなー。
こわいのかな?みゆちゃん大丈夫?」
私が聞くと、みゆちゃんはにやりと笑う。
「おねえさんはわたしがまもる。」
「あ!私も!私も守ります!」
みゆちゃんの言葉に、フランもぴょんぴょん跳ねながら応えた。
2人とも頼りになるなー。
これなら海賊もこわくないや。
(まあでも……。)
乗ったことないけど、マップには『ライド』とアトラクションのジャンルが書いてあった。
ライド系ってことはイッツ・ア・スモールワールドとジャンルは同じ。
こわいことはないだろう。
海賊たちを見ながら、のんびりフランの手をぎゅーする。
すごく楽しみだ。
さほど並ばずに舟の乗り場へ。
フラン、私、みゆちゃんの前列。
小鳥、めぐるちゃんの後列。
乗り場は薄暗く、ちょっとダークな雰囲気。
かっこいい。
これから冒険が始まるのだ。
「おねえさん、わくわくしてる。」
「もちろんだよ。えへへ。楽しみ。」
舟が動き出す。
隣のお洒落な食堂?の光が綺麗。
のんびりとした出発。
動きだしてすぐ、骸骨のオブジェがみえた。
曰く、これから海賊の海域。
生きて帰れる保証はない。
(わー。こわいこと言ってるー。)
のんびりとそんなことを考える私を乗せて、オブジャの下をボートがくぐる。
そして次の瞬間だった。
(……あれ?)
なんかボートが上に上がってく。
もしかして……。
「ぎゃっっ!」
落下感。
ジェットコースターみたいに、きゅって。
きゅってなった。
短い落下だけど、すごくこわかった。
え、え、これってこういう落下したりするアトラクションなの??
また来るの??
やばい、こわい。
その後も海賊と砦の戦いの海を抜けたり、海賊に支配された街を通ったりした。
だけどまた落ちるのではないか、と内心のどきどきは止まらない。
結局落ちることはなかったが、すごく疲れた……。
「おい、大丈夫か?」
終わると、小鳥が声をかけてくれた。
後ろからみてもそんなに駄目そうだったか。
「んー。だいじょぶー。」
とりあえずそう返事。
怖かったけど動けないほどではない。
プランは問題なく進めてもらって構わない。
「めぐるちゃんは大丈夫……?」
「え、えっと、はい。私は大丈夫ですよ?」
めぐるちゃんはケロッとしてる。
う、私だけダメージ負ってるのか……。
ちょっと恥ずかしいな。
みゆちゃんが手をさすって回復させてくれてる。
うん、でももう大丈夫。
完璧に回復した!
次に行こう!
ぐっと親指を立てると、みんなホッとしたようにひと息ついた。
ただフランだけ、首を傾げてる。
なにか気になることがあるのかな。
「お嬢様、お嬢様。」
袖をちょんと引っ張って、フランが私にしゃがむよう促す。
言われるがままに座る。
「えっと、お嬢様。
落ちたりするのこわいのですか?
私、何回かお嬢様をたかーいところに……。」
とってもちっちゃい声で耳打ち。
あ、そうか。
フランは宇宙人モードのお披露目のときやお月見の時に私を空高くまで運んでたもんね。
それが気になっちゃったのかな。
とんとん、とフランの肩を叩いて耳打ち交代。
今度は私がフランの耳に口を近づける。
「こわいなんて思わなかったよ。
フランの腕の中は世界一安全だからね。」
そういうと、フランはぱーっと顔を明るくした。
ちゃんと私の気持ちが伝わったみたい。
「えへへ……。それなら良かったです!
お嬢様お嬢様。手を繋ぎましょう?
次のアトラクションも楽しみですね!」
テンションが1段階上がったフラン。
その手に引かれて、私たちは次のアトラクションへと向かうのであった。




