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余命60年の私と余命8億年の君  作者: とりもち
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おまけ こっくりさん延長戦


「さて!私はお家に帰るね!バイバイ!!」


王子様はそう言い残して、ハロウィンパーティーから逃げてしまった。

そんなに恥ずかしがることないのに。

いつまであの2人は自分の気持ちに素直にならないつもりなんだろう?

早く2人も付き合えばいいのに……。


「……早く2人も付き合えばいいのに。」

私の心を読んだかのように、山城さんはそう呟いた。

「メアリお姉様。お二人は複雑なのです。」

「そう、ふくざつ。」

フランちゃんとみゆちゃんはそう微笑ましげに笑ってみせる。

複雑なのは分かるけど……。


(でも2人がお付き合いしないことには、もっと先に進みにくいもん……。)


王子様と小鳥ちゃん。

2人ともかっこよくて可愛くて、私なんかが彼女にするにはすごく贅沢。

だけど彼女になれたんだから、キスだってもっとしたい。

あわよくばその先だって。


でもそれをするにはあの2人にもくっついてほしい。

私だけが先に進むのは、ちょっと申し訳ないから……。


「ふふっ。めぐるお姉様。焦らずにですよ!」


フランちゃんがぴょんっと山城さんのお膝から立ち上がった。

そして私の方へとくると、コインに指を置いた。


「私もしたいので、ちょっと延長線です!」


キラキラとした瞳。

うー…。

すごく眩しい。

王子様はいつもフランちゃんと目を合わせててすごいな。

私の邪な心には、フランちゃんはたまにちょっと眩しすぎる。


うーん…。

でもどんな質問しよっかな。

みゆちゃんとフランちゃんも居るし、変な質問はできない……。


そう思っていると、フランちゃんが手を挙げた。

びしっと綺麗な姿勢。


「フランちゃん、いいよ。」

みゆちゃんが手でどうぞと示す。

するとフランちゃんはひとつめの質問を口に出した。

「みゆ様の好きな人、教えてください!」

「えへへ……。うん、おしえてあげるね。」

みゆちゃんが早く早くとみんなを急かす。

こっくりさんをしなくたって、すごく喋りたそう。


「こっくりさんこっくりさん。

 みゆ様の好きな人は誰ですか?」


こっくりさんに尋ねて、みんなで指に力を入れる。

コインは滞ることなく動き始めた。


『ふ』『ら』『ん』『ち』『や』『ん』


フランちゃん。

みゆちゃんもフランちゃんもすごくニコニコ。

そこまで動くと、やったー!とハイタッチしてみせた。


「フランちゃん、だいすきだよ。」

「ふふっ。すごく嬉しいです!」


みゆちゃんとフランちゃん、2人できゃっきゃと笑い合う。

すごく可愛い光景。

じっと見てると、みゆちゃんが私の方を見てニヤリと笑った。


「めぐるちゃん、もういっかいおなじしつもんして?」

「え、えっと、うん!」


よく分からないけど……同じ質問?

とりあえず言われるがままに。


「こっくりさんこっくりさん。

 みゆちゃんの好きな人は誰ですか?」


同じ質問。

返ってくるのは同じ答え……なのかな?


コインの動きを眺めると、最初の文字からさっきとは違った。

『め』。

わ、もしかして……。

そう思う間もなく、答えは分かった。

『め』『く』『る』『ち』『や』『ん』。

つまり、私の名前だった。


「ふふーん。」


答えが出ると、みゆちゃんはそう誇らしげに笑ってみせた。

そ、そっか。

えへへ……。

私のことも大好きか……。

うー……。

照れちゃうね……。


「よしよし。だいすきだよ。」

「うー……。ありがとね……。」


照れる私の頭を、みゆちゃんがぽんぽんと優しく撫でる。

だから私はさらに照れてしまう。

みゆちゃんはまだ小学生だよ。

照れてちゃだめなのに……。


「ふふっ。」


撫でられていると、そんな笑い声。

見上げると、ニマニマを手で隠すフランちゃん。

それは微笑ましげ……というよりはちょっといじわるな笑み。


「ど、どうしたの、フランちゃん?」

「えっと……ふふ。なんでもないですよ?」


そうは言ったけど、そんなことはなさそう。

その証拠に、みゆちゃんが人差し指を口に当ててしーっと喋らないように促してる。


「……えっと、どうしたの?私も気になるな。」


山城さんがそう言うと、みゆちゃんは観念したかのように口を開いた。


「じつはね、えっとね、わざとなの。えへへ。」


つーっと指でコインを動かすみゆちゃん。

わざと……?

えっと……どういうことなんだろ?


「みゆ様が全部答えてたんですよ。

 私にはお見通しです。」

「えへへ……。ばれないとおもったの。

 フランちゃんはさすがだね。」


つまり、コインはみんなで動かしてたんじゃなかった。

みゆちゃんがひとりで答えを決めてた。

え、でも、そんなのどうやるの?

タネが全然分からないよ。


コインを持ち上げても仕掛けは見当たらない。

どういうマジックなんだろ……?


「こつがあるの。」


みゆちゃんはひとことそう言って、ぴょんっと跳ねた。


「ばれたからおしまいー。

 またあしたねー。きゃー。」


ぴゅーっと駆けていくみゆちゃん。

すぐにその姿は見えなくなった。


「では私もお嬢様にネタバラシをして参ります。

 楽しいパーティーをありがとうございました。」


次いでフランちゃんも恭しく頭を下げて、お部屋から帰っていった。

残されたのは私と山城さん。


「えっと……分かりました?」

「……ううん、全然。」


コイン、勝手に動くのすごいなーって思ってた……。

2人でコインを眺めても、仕掛けなんてなにもない。


「……やっぱりみゅーちゃんはすごい。」


山城さんはひとことそう言って、ぽいっとコインを部屋の隅っこに向かって投げた。

そしてふぅーっと大きく息を吐く。

もう今日はお開きかな。

私だけ残ってもだし……。


「えっと、今日はありがとうございました。」

頭を下げると、山城さんは良いよ良いよと手ぶりで答えた。

「あの、お片付けとかは……大丈夫でしょうか……?」

「んー……。せっかくだしこのままにしとく……。

 私、こういう部屋好き……。」

山城さんは傍らの謎のスタチューを撫でてそういった。


それなら今日は本当にお開き……でいいのかな。

私もそろそろ帰ろう。

明日は学校。

あんまり夜ふかしはできないし。


山城さんに手を振ってお別れ。

私を見送るその手にはワイン。

これから一人で1杯飲むのかな。

いつか私も一緒に飲めたらいいな。


自分の部屋までの徒歩30秒。

そんな僅かな時間。


「……♪」


鼻歌が勝手にこぼれた。

今日もすごく楽しかったな。

次のおっきな予定はディズニーランド。

また楽しい思い出増えますように。










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