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余命60年の私と余命8億年の君  作者: とりもち
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新婚と離婚とステップアップ


「……で?どうしてこうなった?」

「けっこんしました」

小鳥からの質問にみゆちゃんはそう返した。


アパートに帰ってきたフランと小鳥を迎える私。

その体にはみゆちゃんがしがみついていた。


「うらやましいの?」

みゆちゃんが悪気なく小鳥に尋ねる。

「あー……うん」

小鳥は曖昧な返事しかできなくなってる。

「お嬢様!結婚したのですね!

 ウエディングケーキの用意しないと!」

フランはそんな風に行って外へと飛び出そうとした。

小鳥が通せんぼして道を塞ぐ。


「みゆちゃん、私たち年齢も離れてるし。」

みゆちゃんに目線を合わせる。

「ふっ」

みゆちゃんは私の言葉を鼻で笑った。

「あんしんして。

 としうえもすきだから。」

そういう心配はしてないんだけど……。


「ゆびわ、かってあげる。

 ハネムーンはどこがいい?」

困惑する私にみゆちゃんは矢継ぎ早に質問をする。

「行きたい場所があれば私が予約しますよ!」

ていうかなんでフランはそんなに乗り気なの……?

「えっと、じゃああたしは帰るから。頑張れよ。」

小鳥もお願い、なんとかして……。

そう気持ちを込めて見つめると、小鳥は目で訴える。

自分で蒔いた種だろ。自分でどうにかしろ。と。


ため息を一つつく。


「ごめんね、勘違いさせて。」

ちゃんと正直に伝えることにした。

「みゆちゃんのマッサージ気持ちいいなって思ったけど、プロポーズするつもりじゃなかったの。」

みゆちゃんは私をじっと見て表情を変えない。


「じゃありこんですか?」

私はその言葉に小さく頷いた。

「ともだちいじょうこいびとみまん?」

ちょっと違和感はあるけど、これ以上厳しいことを言うのはできなかった。

その言葉にも私は頷いた。


みゆちゃんの顔を見る。

泣かせちゃったかもしれない。

そんな風に思った。


だけどその顔はニコニコとしていた。


「さくせんせいこう。

 おねえさんとこいびとになる日はちかいです。」

そういうとみゆちゃんは私の頭を一度撫でて、部屋から駆け出していった。


「おじいちゃん!おねえさんと!

 ともだちいじょうこいびとみまんになった!!」

外からそんな楽しそうな声が聞こえる。


「え!?え!?何が起きたの!?」

フランと小鳥に聞いてみる。

「お前、騙されたみたいだな」

小鳥が呆れた顔でそんなことを言う。

騙された?どういうこと?


「友達から友達以上恋人未満にランクアップだよ。

 このままだとあとちょっとで恋人だな。」

小鳥はそういうと私の肩を叩いた。


みゆちゃんは私が思っているよりも強かだったらしい。

ドア・イン・ザ・フェイス法。

困難な条件を先に出して譲歩案を通す。

そんなやり方を8歳にしてマスターしているとは想像できるはずがない。

私は見事に騙されてしまった。


もしかしたらみゆちゃんのハーレム計画は順調なのかもしれない。

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