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余命60年の私と余命8億年の君  作者: とりもち
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キャンプスタート!


「ひゃー!何これ!すごい!」

「えへへー。登ってきた甲斐あったろー!」


森を抜けた先、まず目に入ったのは池だった。

木漏れ日を受けて輝く池。

それはとっても神秘的に見えた。


「……広いな。びっくりした。」


小鳥も呆然とそう言った。

いや、めっちゃ分かる。

狭い森の中を登ってきたから、泊まる場所も狭いのかと。

それはそれで風情あるよね、なんて思っていたけど想像を超えてきた。

綺麗な池に広々とした池畔。

持ってきたフリスビーだって無駄にはならなさそう……!


「ねえ、早くテント立てて遊ぼ!

 池、池で遊ぶのってどんな遊びがある!?

 鈴、すごい!

 こんなすっごい秘境だとは思わなかった!」

「わ、わ、そんな撫でんな!

 でもそうだろ〜。えへへー。

 紹介して良かったぜー!」


わしゃわしゃわしゃわしゃ。

私の楽しい気持ちを伝えて、さっそくキャンプ開始。

さぁまずはテントを建てよう!


「小鳥小鳥。テントテント。早く早く。」

「はいはい。そう焦んなよ。」


小鳥め。

クールぶってるけどそわそわしてるのが丸わかりだ。

にやにやしてるのが隠しきれていないぞ。


「ねね!フランも……わ!可愛い!

 今日は青いフランだね!

 ひゃー!抱きしめていい!?」


いつの間にかフランが腕輪を外していた。

髪も目も青い、宇宙人モード。

今は誰にも見られる心配ないもんね。

レアモードだから今のうちに抱きしめとこ。


「おじょうさま、はしゃぎすぎです。

 つかれてたおれちゃいますよ、むぐ。」


胸の中でフランがもごもごと喋る。

確かにその通り、今こんなにはしゃいでちゃ夜まで持つか分からない。

でもしょうがないじゃん!

テンション下げる方法が分からないんだもん!


「さて、ちょっと待っててね!

 てんてんとんとん♪てんとんとん♪」


フランを解放して、小鳥と一緒に組み立て開始。

早く建ててお昼ご飯食べて、フリスビーで遊んで。

えっと、えっと、そのあとは何をしようか。

一泊二日なんて短すぎる。


ぺけぺけぽんぽんと、組み立て作業。

溢れるアドレナリンに身を任すと、テントも30分ほどで完成した。


「お昼ご飯の時間です!」

「お昼ご飯の時間だぜ!」


テントが完成する頃には太陽は高く昇りご飯の時間。

お昼はフランが作ってくれていたパンを食べる予定だったのだけど……。


「サプライーズ!!キャンプならこうだろー!!」


鈴とフランはサプライズを仕掛けていた。

なんと、おっきなチーズを目の前で溶かしてパンに掛け始めたのだ。

もう私は口をあんぐりと開けて、ただそれが完成するのを待つしかなかった。

すごい、すごいんだよ。

とろとろのチーズ。

そんなの無敵じゃん?


「……」


小鳥だって同じだ。

横でただ呆然とチーズが溶けていくのを眺めてる。

野営ご飯って感じ……。

私のテンション、どうなっちゃうんだろう?

限界を超えてるのにまだ上がり続けてる……。


熱々のチーズがかかった手作りパン。

それはまさしく絶品で、さっそくひとつ目のキャンプの思い出ができた。


「ごちそうさまでした。」


フランと鈴に手を合わせて、お昼ご飯は終わり。

さて、次は何をしようか。


「暗くなる前に焚き火台は作りたいよな。」

「そのあとはフリスビーしたいな。」

「えへへ。皆さんにお任せしますね。」

「なぁなぁ、十得ナイフで遊ぼうぜー。」


わやわやと作戦会議。

とりあえず最初は……。


「じゃーん、いいでしょー!」

「おー!」

「かっけーな!」


鈴の十得ナイフで遊ぶことになった。

だってキャンプギアのお店行ったときから楽しみだったんだもん。

最優先もむべなるかなだ。


「まずはナイフ!なんか切るもんない?」

「はい!じゃあこれ!」


適当に拾った葉っぱ。

鈴はそれにナイフを当てて、つーっと一刀両断にした。

かっこいい……。


「つまらぬものを切ってしまったぜ……!」


決め台詞も完璧だ。

鈴め、魅せてくれるじゃないか。


「鈴お姉様、缶詰持ってきました!

 缶切りついてましたよね!」

「わ!さすがフランちゃん!ナイス!」


今度はギコギコと缶詰を開けた。

みかんの缶詰。

あぁでも困ったなー。

爪楊枝がほしいなー。


「お困りのようだね。」

「ま、まさか!」

「爪楊枝もついてます!」


ひゃー!最高!

ちっちゃな串みたいな爪楊枝までついてる。

もうこれだけで便利さが極まっている。

でもまだたったの3徳だ。

まだ機能の半分も見せていない……!


(えとえと、あと残ってる機能は……。)


「あー、くそ。

 この木の枝の長さが測りてぇなー。」


小鳥は棒読みでそう言った。

そうだ、確かあの機能があった!


「ふふふ、お困りのようだね。」

「ま、まさか!」

「4センチと2ミリ……。解決したかな?」

「おー!」


そう、定規の機能もついているのだ。

あー、いいなー。

私も測って欲しかったなー。


「鈴お姉様!私にも使わせてほしいです!」

「いいよー!ほら、のこぎり使いな。」

「ありがとうございます!」


ギコギコと細い木の枝を綺麗に切る。

葉っぱはナイフで切って、木の枝はのこぎり。

はぁ……。

用途に合わせて使い分けられる。

こんな便利なもの、他にないよね。


それから1時間くらい、みんなで交代しながら十得ナイフで遊び尽くした。

それでもまだ1時半。

楽しいキャンプはまだまだ続く。

昂りすぎた私の心臓が弾けてしまわないか、それだけが心配だ。

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