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余命60年の私と余命8億年の君  作者: とりもち
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寝起きサプライズ


朝、目が覚めると小鳥が横で寝ていた。

そして私は抱き枕になっていた。


(そういえば昨日は小鳥、泊まりに来てたっけ……。)


ぼんやりな頭を働かせて私からも小鳥を抱きしめる。

温かさではフランに負けてるな。

小鳥め、もっと頑張りたまえ。


……。


……あれ?


(いや、小鳥が泊まりにきてたの一昨日だ……。)


じゃあなんで小鳥がここに?

ていうかなんで小鳥は私を抱いて寝てるの?

あと昨日はフランを抱いて寝たはずだよね?

えー……。


はてなまみれ。

もうなにがなんやらだ。


(あ、でも……。フランは台所だ。)


台所から微かにフランの鼻歌が聞こえる。

とりあえずフランは無事らしい。

小鳥がフランを飲み込んで私の腕の中に収まったわけではない。

それなら安心して今の状況も楽しめる。


つんつん。

ほっぺをつついてみる。

まったく動かない。

よく眠ってる。


「かわいいなー。ほれほれ。」

「うーん……」


顔が少し赤い。

こやつめ、相当に酔ってるな。

まったく小鳥は悪い子だなー。

悪い子だし、ちょっとくらい意地悪してもいいよなー。

へへへ。


とりあえず満足いくまで抱き締めちゃおう。


10分ほど抱きしめて気づいた。

満足いくまで抱き締めてたら、他のことなんもできないや。


さぁなにをしよう。


とりあえず髪を手に取る。

さらさらー。

いつものポニテも格好いいけど、下ろしてるのもいいよなー。

可愛い可愛い。


(編んじゃお。)


三つ編みの小鳥、可愛いだろうなー。

小鳥の首に手を回して、手探りで髪を編む。


いじいじ。

でも意外と難しいな。

いつもはちゃんと見ながら編むから、手探り編みは難しい……。


(……やっぱいいや。)


中途半端にまとめた髪をぽいっと手から離す。

髪を触るのも楽しんだ。

次はどこを触ろうかな。


すぅすぅと整った寝息。

まだ眠りは深い。


「……まったく。」


安らかに寝ているのを見ていたら、いたずらする気持ちがしぼんできた。

大人しく抱き枕に甘んじてやろう。

いい友人を持ったことに感謝したまえ。


それにしてもなんで小鳥が私の布団に居るんだろう?

酔っ払って私のことが恋しくなった?

だったら嬉しいけどさ。

さすがにそんなうまいことはないよね。


「よしよし。うっ。」


背中をさすると、私を抱きしめる腕に力が込められた。

さすがにそれはまずい。

これ以上締められたらフランの強制ストップがかかってしまう。

背中をさするのはやめよう。


(はぁ……。)


にしても小鳥は本当に無防備だ。

雛乃曰く、私は小鳥のことが大好きらしいよ。

そんな人の布団に潜り込んできちゃうなんて。


「……はぁ。」


アホみたいなことを考えてしまった。

忘れよう。

私もだいぶめぐるちゃんに毒されてるかも……。

変なことを考えちゃった……。


「おい小鳥。お前のせいで変なこと考えちゃった。

 責任とれよ。おらー。おらおらー。」

「ん、んん……。」


おっと危ない。

これ以上刺激を与えたら起きちゃいそう。

もうちょっとこの状況を楽しみたい。


ああでもなんという独り相撲だ。

小鳥め、朝からこんな気持ちにさせるとは。

本当にこいつはもう。

もう、もう。


「小鳥は本当に鈍いんだから……。」


目を瞑って小鳥を抱きしめる。

もういいよ。

私も寝る!

おやすみ!


それからまたしばらく。


「お嬢様。ご飯の時間ですよ。」


小さな声でフランが私を起こした。

その手にはスマートフォン。

どうやら私と小鳥の寝顔を撮っていたらしい。


「……あとでちょうだい。」

「もちろんです。はい、送りましたよ。」


さすがフラン、仕事が早い。

よし、さすがに起きよう。


「小鳥、朝だよ。起きて。」

「小鳥お姉様。朝ご飯の時間です。」


2人でぺしぺしと頬を叩く。

小鳥の目がゆっくりと開いていく。


「……な、」

「先に言うけど、潜り込んで来たのはそっちだから。」

「はい。今日は小鳥お姉様のせいですよ。」


恐らくバカっと叫ぼうとしていた口。

機先を制されたことで、なにも言えないままゆっくりと閉じた。


「……悪い。酔ってた。」

「許す。ほれ、ご飯食べよう?」


私を抱き締めていた腕から力が抜けていく。

私は急いでその腕の中から脱出した。


だってやっぱりすごく照れるからね。

小鳥が慌てているうちに逃げないと、恥ずかしいのだ。


そんなこんなで朝は始まる。

今日はこのあと大学。

そして夜に!なんと!

フランとお月見をするのだ!


朝は小鳥と、夜はフランと。

とっても素晴らしい一日になるに違いないだろう。

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