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余命60年の私と余命8億年の君  作者: とりもち
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幕間 小鳥ちゃんはおこ


月曜日の朝。

私の携帯に一通のメールが来ていた。


『山城さん、今日の夜一緒に飲みませんか?

 お酒はうちから持ってくんで。』


珍しい誘いだ。

まさか小鳥ちゃんから飲みの誘いが来るなんて。


『もちろんいいよ!

 うぇーい!

 小鳥ちゃんとお酒!

 あ、そうだ。202ちゃんも呼ぶ????

 みんなで飲もうぜ!!』


鼻歌交じりにそうお返事をした。

すぐに返事は返ってきた。


『あのバカは呼びません。

 あいつへの愚痴を聞いてください。』


え、なんか怒ってる?

喧嘩でもしたの?


『なんだなんだー??

 痴話喧嘩でもしたかー??

 へいへーい。

 お姉さんにも教えてくれよー!』


そこまで書いて、やっぱり消した。

もしこれで飲み会に来てくれなくなったら愚痴聞けないじゃん!

それはあまりに勿体ない。

私は一度書いた文を消して、改めてメッセージを送る。


『なにが有ったかは知らないが、愚痴なら聞こう。

 お姉さんの懐ならいつでも貸す準備ができている。』


そう送ると、『ありがとうございます。』とだけ返ってきた。

完璧だ。

これで面白い話が聞けるぞ。


ということがあって、そのまま夜。

小鳥ちゃんは約束どおりお酒を持ってうちのドアを叩いた。


「……ようこそ。あがってあがって。」

「……どうもです。」


小鳥ちゃんは声を潜めながらうちに上がった。


さて、ここからはちょっと割愛。

だって酔うまでの会話なんてつまらないでしょ?

私がお酒をもらったり、社交辞令な会話をしたりとか。

なので酔ってからの会話を記します。


「まじであのバカにぶすぎるしアホ……。」


小鳥ちゃんはぐでーっと机に突っ伏してそう言った。


「……うんうん。202ちゃんはアホの子だよね。」

「あいつは……アホのこじゃないです……。

 おこりますよ……。」


適当に相槌を打ったら睨まれた。

小鳥ちゃんから言い始めたのに……。

すごく酔ってる証拠ともいえる。


「ていうかあいついみわかんない……。

 なんだよ……ふたりでめぐるのかのじょって……。」


なんか良く分からない単語。


「……2人でめぐるちゃんの彼女?

 小鳥ちゃんと202ちゃんで付き合ってるんじゃないの?」


小鳥ちゃんは大きなため息をついた。

え、そうなの?

てっきり2人で付き合い始めたからぎこちない雰囲気も終わったのだと思ってた。


「いや……最初はあたしもいいって思ったんですよ……。

 めぐるだし悪くないよなぁって……。

 でもよく考えたらおかしいじゃないですか……。

 それならあいつとも付き合いたい……。」


突っ伏したまま、小鳥ちゃんはぶつぶつと呟いた。

まあでも言わんとすることは分かるよ。

まさか上の階がそんな意味の分からないことになってたとは知らなかったからね。


小鳥ちゃんの呟きを要約すると、まあすごいことになってた。

202ちゃんと小鳥ちゃんがめぐるちゃんの彼女。

めぐるちゃんとみゆちゃんも付き合ってる。

それで雛乃ちゃんと202ちゃんもカップルだ。

ひゃあ、楽しい。

若者の特権だねぇ。


お酒お酒。

こんなの私も酔わなきゃ聞いてらんないわ。


「……でもめぐるちゃんのことはどう思ってるの?」


ぶつぶつと呟いてた小鳥ちゃんがピタリと止まった。

いや、だって気になるじゃん。

もしめぐるちゃんとは妥協で付き合ってるとかなら、私は怒るよ。

めぐるちゃんがかわいそうだし。


「めぐるも……雛乃も好きだから困ってるんですよ……。

 みんなにドキドキするから……。

 あたしは自分が分からねえ……。」


ぱたんと倒れた。

どうやら限界が来たようだ。

すぅすぅと寝息を立て始めてしまった。


うーん、私はまだ酔えてないし聞きたいこともまだあるのに。


まあでもしょうがないか。

お家まで送ってあげよう。


小鳥ちゃんも背が高いけど、私には及ばない。

お家まで運ぶくらいはなんのそのだ。


小鳥ちゃんの部屋の前。

ちょっといたずら心が芽生えた。


202号室の扉をノックすると、フランちゃんが出てきた。


「わ、小鳥お姉様!

 こんなに飲ませるなんて!

 メアリお姉様……。」


じとーと責めるような目線。

ち、違うよ。

今日は小鳥ちゃんが勝手に飲んだんだから。


「まあそれは冗談です。

 もう、小鳥お姉様ったら。

 愚痴なら私でも聞くというのに。」


ぷくーっと頬を膨らませて、フランちゃんは小鳥ちゃんの足にすごく優しくパンチをした。

フランちゃんはなんでもお見通しだ。


「それでどうして小鳥お姉様をこちらに?」

「……それはね、ちょっとだけサプライズ。」


そのまま小鳥ちゃんを眠っている202ちゃんの横に運んで私の仕事は終わり。


「じゃあね、フランちゃん。」

「メアリお姉様もまた明日です!」


フランちゃんに手を振って私はお家に帰る。

まあでも202ちゃんは罪な女の子だ。

ちょっとくらいびっくりしちゃえばいいのさ。


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