フランと鈴との待ち合わせ
「2人とも大学お疲れー!」
「お疲れ様です!お嬢様!!」
大学から出ると、鈴とフランが待ち構えていた。
なにやら2人で話したいことがあった様子で、大学の中まではついてきてくれなかったのだ。
だけど今はそんなことどうでもいい。
「フラン!今日も可愛いね!寂しかったよ!」
「私もです!お嬢様!お嬢様もとっても素敵です!」
フランを抱えてぎゅっと抱きしめる。
するとフランもぎゅっと抱きしめ返してくれる。
なんという幸せ。
今日から大学は始まるけど、そんな憂鬱を全て消し飛ばしてくれる。
「このみー。大好きだぜー!寂しかった!」
鈴も私たちを真似て、このみちゃんに思いっきり飛びかかった。
だけどこのみちゃんは腕を伸ばして、飛び込んでくる鈴をすっと防ぎ止めた。
「このみー!なんで!俺らも!俺らも!」
「だめ!恥ずかしい!」
鈴とこのみちゃんの激しい応酬。
鈴が伸ばす腕を、ピンポイントでこのみちゃんが弾く。
当然だけど鈴に勝ち目なんてなく、すぐに不貞腐れた顔になった。
「このみのいじわる……。」
むすーっとした睨み顔。
さすがのこのみちゃんも悪いと思ったのか、一歩だけ後ずさった。
「ご、ごめ
「いいもん!兄弟!大好き!!」
「ひゃっ!来るな!!」
びしりと向きを変えて、私の方に飛び込んできた。
私も手を伸ばして防御の姿勢。
だけど私は不意打ちに対応できるほどの瞬発力はない。
あっという間に組み付かれてしまった。
「離せっ!やめろっ!噛むぞ!」
「痛くないからいいよーだ!
ほれほれー!兄弟はかわいいなー!!
このみと違って隙だらけでさー!」
引き剥がそうとしても、うまいこと躱される。
身体をつねったって全然痛がらない。
「はーなーせっ!お前なんか嫌いじゃ!」
「いやよいやよも?」
「嫌いじゃ!」
私がそう言ったタイミングで、このみちゃんが鈴を無言で引き剥がした。
そしてぎゅっと鈴を抱きしめた。
「……」
このみちゃんは何も言わない。
ただ真顔だ。
「嫉妬しちゃったー?
まったくこのみは可愛いなー。」
「……」
「な、なんか言えよ。ちょっとこわいぜ?」
「……」
鈴のにたにた笑いも消えてきた。
そこでようやくこのみちゃんが口を開いた。
「浮気する人とはお付き合いできません。
これが最後のハグです。」
とだけ言った。
「ぎゃーっ!!!」
鈴が素っ頓狂な声をあげた。
そして泣きながらこのみちゃんにすがりつく。
「ごめ、ごめんよ。うそうそっ。
そんなことないよ。
おれ、このみのこと大好き。
兄弟なんてどうでもいい。
カス!カスだよ!」
「お嬢様はカスじゃありません。」
フランの注釈。
だけど鈴は止まらない。
土下座したっておかしくない勢いだ。
「なんでもする、なんでもするからゆるしてぇ。
えっちな命令だってするからぁ。
ほら、このみアレ好きだろ……?」
「り、鈴ちゃん!??」
旗色が変わった。
アレ、とは?
やっぱりこの二人はえっちな関係なんだろうか。
さすがちゃんと付き合ってるだけある……。
「先輩!そんな目で見ないでください!
ち、違いますから!
鈴ちゃん!黙って!!」
「じゃあ塞いで……?」
鈴が潤んだ目でこのみちゃんを見上げた。
このみちゃんはぐぬぬぬぬ、と迷った素振り。
そして……。
本当に一瞬だけ、鈴の口にキスをした。
「えへへ……。このみ大好き。」
「もう……浮気は駄目だからね。」
一瞬のキスのあと二人は顔を赤くして、手を繋いだ。
さっきまであんなに喧嘩してたのに、もう元通りだ。
すご……。
(やっぱり二人はちゃんと付き合ってるんだもんな。)
めぐるちゃんと私たちの関係とは違って、正真正銘のカップル。
キスや……隠してるけどえっちなことだってしてるのかも。
見習うべきところは多そうだ。
(あ、そうだ!)
「ねぇりんこののお二人さん。」
「なんですか?その呼び方?」
「なんだよ、その変な呼び方はよ。」
私が呼び止めると息ぴったりに首を傾げた。
「今度の土日空いてる?2人のデート見学したいな。」
ということで、今度の土日は2人のデートを見学することになった。
きっと良い勉強になりそうだ。




