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余命60年の私と余命8億年の君  作者: とりもち
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彼女らしいこと厳禁のお泊まり会


「最初に言っておくけど……。

 今日は彼女らしいこととかしないからね!」


小鳥の部屋でのお泊り会。

フランと小鳥とめぐるちゃんの前で、私はそう宣言した。


「だ、大丈夫です!

 そんな邪なこと……全然考えてません!」

めぐるちゃんは目を泳がせながらも力強く宣言した。

目を泳がせながらも。

信用はできない。

「まぁ今日はあたしもいるしな。

 さすがに大丈夫だよな?」

小鳥がめぐるちゃんに圧をかけた。

めぐるちゃんはすーっと目線を逸らした。

「めぐるお姉様?どうして目を逸らすのですか?」

フランがニコニコと聞くと、めぐるちゃんは……。

「だってぇ……。」

とだけ言った。

中々大変そうだ。

そんなに彼女らしいことをしたいのだろうか。


「じゃ、じゃあお友達らしいことしましょう!

 ツイスターゲームなんて……。」

「却下。」


小鳥がばっさりと切り捨てた。

ひどい。


「まあでもめぐるちゃん。

 ツイスターゲームはえっちなゲームだもん。

 今日はもちろんだめに

「お友達の時にやりましたよね!

 じゃ、じゃあよくないですか!?」


食い気味な主張。

いや、でも、それは……。

ツイスターゲームはえっちなゲームだから、今日はやめといた方が良いかと思ったけど……。

でも確かに友達の時にやったゲームだ。

じゃあいいのかな……?


「では用意させていただきますね!」

「ありがと!フランちゃん!」


私と小鳥が声を詰まらせている間に、フランがとてとてとめぐるちゃんのお部屋に向かってしまった。

取ってきてもらうからには遊ばざるを得ない。


(まあでも前の時はなにもなかったし!

 きっとツイスターゲームは大丈夫だよね!)


そう、よく考えたらツイスターゲームってえっちなハプニングとか起きないし。

だから皆で遊んでも問題ないはず。

小鳥もしょうがないなーって顔してる。

いったん前の時みたいに普通に楽しもう!





「ごめん、小鳥……。」

「……うっさい。」


えっちなハプニングが起こってしまった。

小鳥の……。

いや、小鳥の名誉のために黙ろう。

転んだ拍子とは言えあんなことをしてしまうなんて……。

ツイスターゲームはもう禁止にするしかない。


「続けないのですか?」

「ごめんねフラン、今日はもう寝ようかな。」

「はい!かしこまりました!」


小鳥は完全に黙り込んでしまった。

黙々と布団を敷いている。

で、でも本当に大したことはしてないよ。

ただちょっと触って、うっかりセクハラめいたことを言っちゃっただけというか……。

私も黙ります。


お布団を敷いて、順番に歯を磨いて。

さあ寝るぞーって時……。

ちょっと変なことに気づいた。


「そういえばお布団、二組だね。

 これは彼女らしいことじゃないの?」


こっちは私とフラン用のお布団。

そうなるともう一方は小鳥とめぐるちゃん用のお布団になる。

同衾するのは小鳥的にセーフなのだろうか。


「これはまぁ……いつものことだしいいよ。」


セーフらしい。

彼女らしいことの感覚はガバガバだ。

同衾がセーフなら、大抵のことはセーフなんじゃなかろうか。


(まあいいや。それなら私もいつもどおりに。)


「フラン、おやすみなさい。」

「はい、よくおやすみくださいね。」


フランを力強くぎゅーっと抱きしめる。

するとフランも力強く抱きしめ返してくれた。

いつも通りのあったかさ。

癒やしのエネルギーを送ってくれてる。

今日もぐっすりと眠れそうだ。


「あ、私とフランはもう結婚してるから……。

 彼女らしいこと厳禁ルールには抵触しません……。」


一応小鳥にも弁明。

そう、私とフランはずっとこんな感じだからね。

今さら変えられたりはしないのです。


「良ければめぐるちゃんも抱きしめよっか?」


ちょちょいと手招き。

そういえばめぐるちゃんとも付き合う前から添い寝くらいはしてたしね。

抱きしめるのもギリギリセーフなのかも?


だけどめぐるちゃんはこっちには来なかった。


「え、えっと……小鳥ちゃんが抱きしめて

「恥ずかしいからしゃべんな。」

「は、はい……。」


どうやらこっそりとめぐるちゃんのことを抱きしめていたみたいだ。

それなら私の方に引っ張り込むのも野暮だろう。


「ふふっ。おやすみなさい。」

「はい、おやすみなさいです。王子様。」


それで今日のお泊り会は終わり。

分かったことはただひとつ。

私たちにとって、彼女らしいことのボーダーラインはすでにガバガバだということだ。


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