フランと小鳥とだらだらタイム
モヤモヤが晴れた記念の遊ぼう会。
とは言っても特になにも行く場所なんて思い浮かばず。
ただのんびりとお家で駄弁る会になった。
まあいいのです。
今はのんびりとお話したい気分だったからね!
「いやー。でも、ねー。」
「だなー。」
私の意図を察してくれたのか、小鳥はそう頷いてくれた。
だって彼氏が三股かけるの公認しました、なんて話はちょっと恥ずかしいからね。
濁して話さざるを得ないのです。
「めぐるお姉様、さすがです。
お嬢様と小鳥お姉様とみゆ様。
3人を……」
「フラン、しー。」
「?しー。」
人差し指を口に当ててフランに内緒のポーズ。
フランも首をかしげながら、同じポーズで返してくれた。
「ふーん、ふん、ふーん♪」
そしてそのすぐあとに鼻歌を歌い始めた。
綺麗な歌声。
今日のフランはいつもよりテンション高め。
「ふふん、ふふん、ふふーん♪っはい!」
「え、」
「ふふん、ふふん、ふふーん、です!はい!」
輪唱を求めてきた。
私もフランの歌に合わせて歌い出す。
小鳥はそれを微笑みながら聞いていた。
(でも……一人だけ歌わないなんてかわいそうだよね!)
「ふん、ふん、ふーん♪」
フランの歌。
「ふん、ふん、ふーん♪」
今度は私の番。
次はフランの順番だけど……。
「次、小鳥ソロ!」
「え、は!?」
フランもきらきらとした眼差しで小鳥を見た。
小鳥は一瞬だけ言葉に詰まったけど、すぐにフランの眼差しに負けた。
「ふ、ふん、ふふーん……♪」
顔を赤くしながら、そう小さく歌ってくれた。
「ブラボー!!」
「コングラッチュレーションです!」
2人でパチパチと拍手。
いやー、素晴らしいソロ。
録音すべきだったかな。
「じゃあ次はラップパート行こう!」
「ふふっ。小鳥お姉様、ラップもできるのですか?」
「頼むフラン、それは勘弁してくれ……。」
いくらフランの頼みでも、フリースタイルラップはできないらしい。
小鳥は珍しく頭を下げてギブアップした。
仕方ないから私とフランで輪唱続行。
小鳥のラップも聴きたかったなー。
(ああでも楽しいなー。)
最近のモヤモヤが嘘のよう。
小鳥もフランも楽しそうに一緒にのんびりしてくれてる。
こんなに幸せなことってない。
「ふふふふふ。」
「?えへへへ。」
笑っていたら、フランも一度首をかしげたあとに続いてくれた。
輪唱は終わり。
2人で笑い続ける。
「ふっふっふ。」
「えっへっへ。ふふふふふ。」
「なんだよ、二人そろって。」
小鳥はきょとんとしている。
こんなに楽しいのだから、笑わないと勿体ないのに。
よし、ここは私が人肌脱ごう。
「小鳥、おりゃー!」
小鳥にとびかかる。
くすぐり倒してやぎゃっ!
一瞬で取り押さえられた。
さすが小鳥、油断も隙もない。
「ことりー。なんでわらわないのー?」
床に抑えつけられながら、ジタバタと抗議。
小鳥はひとつため息をついた。
「あたしに変なテンションを強要するな。」
相変わらずつれない女だ。
まったく、クールな女は苦手だぜ。
「フラン、小鳥は冷たいねー。」
「ですね、冷たいです。ひえひえです!」
今日はフランも小鳥を弄るのに乗ってくれる日だ。
珍しい。
フランが弄ると、小鳥はぐぬぬと口をとがらせた。
「ふ、フラン。そ、そんなに冷たく……」
「では笑ってください!」
「え、えっと……ふふふ。」
「もっと高らかにです!」
「あーはっはっは!」
小鳥の高笑い。
これは珍しいものを聞けた。
「フラン。」
「もちろんです。お嬢様。」
フランがスマホを取り出した。
そしてそのスマホを少し弄ると……。
『あーはっはっは!』
小鳥の高笑いが流れた。
これは傑作だ。
「フラン、私の目覚ましに設定して。
これで毎日……ちょっ待って!やめて!死ぬ!」
小鳥が無言で手首を極めてきた。
なにも言わない。
殺意しか感じない。
「ごめんフラン!けして!けして!ころされる!」
「かしこまりました。これで宜しいでしょうか?」
フランがスマホの画面を小鳥に向けた。
それで落ち着いたのか、私の手首は無事に繋がったまま解放された。
「千切られると思った……。」
「折るだけだから安心しろ。」
「安心できるか。小鳥のバカ。」
フーフーと手首に息を吹きかける。
すると小鳥は私の手首を撫で始めてくれた。
優しい。
「でもこれってDV彼氏がやる手法だよね。」
「え」
小鳥が心底驚いたような声を出した。
いや、だって自分で痛めつけて慰めるなんて。
テンプレ的なやつよ。
「え、ま、まじか。
あたし、そんなつもりじゃ……。」
小鳥はガチで焦ってる。
なんかちょっと楽しい。
「大丈夫。私は小鳥になら殴られてもいいよ。
これが小鳥の愛なんだもんね。」
私がそういうと、小鳥はスンとした顔になった。
「ごめん、それはガチで気持ち悪い。」
「え、ひどい。」
「そもそもあたしはお前の彼氏じゃないしな。」
「あ、そうだった。前言撤回。」
危ない危ない。
ちょっとうっかり。
あ、そういえば。
「雛乃にはなんて伝えるの?」
私が聞くと、小鳥は少し考え込んだ。
「……とりあえず連絡入れとくか。
今日雛乃の家に行ってくる。」
そうしてスマホをポチポチと弄った。
雛乃には小鳥から伝えた方がいいだろう。
私が出る幕はなさそうだ。
ピロリンっ。
2分もしないうちに小鳥の携帯が鳴った。
さすが雛乃。
小鳥センサーが反応したのかもしれない。
『今から行きます!
準備中なので、出発したらまたお返事しますね!』
というわけで雛乃がこれから来るらしい。
さすが雛乃。
小鳥の手を煩わせないようにするなんて。
でも雛乃どんな反応するかな……。




