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余命60年の私と余命8億年の君  作者: とりもち
214/299

翌朝


「王子様、おはようございます。」


いつもより1時間早い朝。

めぐるちゃんの声で目を覚ました。

そして気づく。


(あれ?腕と足縛られてる?)


目の前には真剣な顔のめぐるちゃん。

どういう状況??

私、やばい状況だったりする?


「めぐるちゃん、これなに?」

「タオルです!」

「ごめん、質問変えるね。なんで?」

「えっと……ちょっと……。」


ちょっと、とな。

まあでも別に声は出せるし。

めぐるちゃんが本当に邪なことを考えてるなら、もうとっくにフランが助けに来てるだろう。

今は成り行きに任せるしかない。


「えっと……。

 王子様に言わなきゃいけないことがあって……。

 でも王子様、逃げちゃうかもだし……。

 なので捕まえちゃいました……。」

「捕まえちゃったかー。」


でも言いたいことってなんだろう。

手段はともかく、その目的は気になるな。


「なに?私が逃げちゃうようなこと?

 悪口ならわんわん泣くよ。」

「わ、悪口なんて言わないです!

 え、えっと……。

 もう単刀直入に言いますね!」


めぐるちゃんがすぅーっと深呼吸。


「私、王子様のことも好きです!」


私、王子様のことも好きです?

耳を疑った。

え、と、友達として、それとも先輩として?

あ、もしかして王子様として?

パニックを起こす私にめぐるちゃんが畳みかける。


「もちろん、恋愛的な意味でもです。」

「れ、れんあい!??」


もがもがと布団の上でイモムシみたいに動く。

だ、だって急すぎるもん!

な、なに、どういうこと!?


「え、え、あの、その……。ひゃっ……。」


しどろもどろになる私にめぐるちゃんが近づく。

そしてその手で私の髪をかきあげた。

綺麗な顔が視界に写る。

私はそこから目を離せない。

まっすぐに私を見つめている視線に心を揺さぶられてしまったから。


「な、なんで急に……?」


私はそれだけ答えた。

だって、なんの準備もできてない。


「昨日、寂しいって言ってくれて……。

 すごく嬉しかったんです。

 なので……。

 愛おしさが爆発しました……。」


赤らめた表情のめぐるちゃん。

爆発しちゃったのか……。

それならしょうがない、のかな?


「で、でも小鳥のこと好きなんでしょ?

 ふ、2人同時なんて……。」


言ってすぐに私は思い出した。

沖縄旅行のときにフランが言っていたこと。

めぐるちゃんが何をしようとしているのか。


「みんなでお付き合いする……?」

「え、そ、その通りです!

 みんなでお付き合いすれば完璧だと思うんです!

 良かった!認めてくれるんですね!」

「え!?わっ!!」


転がる私にめぐるちゃんが抱きついてきた。

え!え!

私、お付き合いするって言った??


「その通りです。

 みんなでお付き合いすればいいんです。

 最近、小鳥ちゃんと王子様そわそわしてましたよね。

 でもみんなで付き合えば解決です。

 ずっと一緒です。」


耳元でめぐるちゃんが囁く。

え、でも私、付き合うの認めたわけじゃ……。


「では次は小鳥ちゃんですね!

 私、頑張りますね。

 ちゃんと小鳥ちゃんも彼女にしますから。」


めぐるちゃんの手が頬を撫でた。

どうしよう。

めぐるちゃんのことは好き。

でも本当にこのまま付き合っていいの?

私はどうすれば……。


ガチャッ!ガチャガチャ!


玄関からそんな音がした。

誰かが扉を開けようとしている。

乱暴な感じからして……。


「おい!ふ、フランが!

 お前らが付き合い始めたって!!

 ま、マジなのか!?」


小鳥は飛び込んでくるなり狼狽えながらそう言った。

状況は一層混沌へと向かう。


私はただ、縛られた手足をもがもがさせることしかできなかった。


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