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余命60年の私と余命8億年の君  作者: とりもち
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王子様の寝言


それは本当に無意識だったんだと思う。

私の胸で眠る王子様。

いつもかっこよくてかわいくて。

尊敬する私の王子様。

そんな王子様が……。


「いなくならないで……。」


ただうわ言のようにそうこぼした。

どんな夢を見てるのか分からない。

でもその頬を伝う涙が、悪夢であることを証明していた。


だから私は決心した。

もう王子様に泣いてほしくない。

ただそれだけを願って。


勇気を出すのは明日の朝。

私は王子様を抱きしめて、瞼を閉じた。

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