めぐるちゃんのお泊まり
「きょ、今日はよろしくお願いしますね!」
二人三脚のあと。
めぐるちゃんが私たちの部屋にお泊りに来た。
今日は小さなお部屋シャッフル。
フランが小鳥のお部屋に行って、めぐるちゃんが私の部屋に来た。
2人っきりのお泊りは初めて!
ワクワクが止まらないぜ!
「さて、一緒にお風呂はいる?」
「い、いえいえ!
ちゃんと自分のお部屋で入ってきましたから!」
「ちぇっ。そりゃ残念。」
と言いつつ、私ももうパジャマだ、
さっきフランに洗ってもらったからね。
ぴかぴかなのです。
それにしてもめぐるちゃんのパジャマ姿かわいい。
薄着なの、すごく目に毒だ。
ちらちらと見える綺麗な素肌。
かわいい、かわいいって褒め倒したくなる。
「めぐるちゃん可愛いね。撫でてもいい?」
「え!?きゅ、急にですね……。」
まあ勿論、私は我慢なんてしない。
2人っきりだもん。
今日はこの可愛さを独り占めさせてもらおう。
椅子に座るめぐるちゃん。
その背後に立って頭を撫でまくる。
ああいいなー。
髪さらさらいいなー。
こんなのシルクじゃん。
シルクロードってあれだな。
めぐるちゃんの髪を撫でるために作られた道だな。
めぐるちゃんの髪教の信者たちの道だ。
「そ、そんなことないですよ……。
なんですか、めぐるちゃんの髪教って……。」
「いけね。漏れてたか。」
「全部口から出てましたよ。
恥ずかしいです……。」
めぐるちゃんは手で顔を抑えている。
可愛い。
「つ、次私にも撫でさせてください!」
「もうちょっとだけー。」
「交代はしてくださいね!」
しばらく撫でて、次はめぐるちゃんの番。
今度は私が椅子に座って、めぐるちゃんが後ろに立った。
ゆっくりとその手が私の髪に触れる。
そわそわと震える手からめぐるちゃんの緊張が伝わってきた。
そんなに緊張しなくていいのに。
「お、王子様の髪……。
かわいい……。綺麗……。かっこいい……。
全部そろってます……。」
「めぐるちゃん、全部漏れてるよー。」
確かにこれは恥ずかしいな。
人の振り見て我が振りなおせ、というやつだ。
他の人の髪をじっくり撫でる機会があったら気をつけよ。
「王子様……。」
「なーに?」
「1本いただいても……?」
「だめ。こわい。」
「ごめんなさい!冗談です!」
冗談かなー。
めぐるちゃんは中学生時代に前科山盛りだからなー。
本気で思っててもおかしくない。
しばらく撫でられていると、めぐるちゃんは私の耳をさわさわと弄り始めた。
くすぐったい。
「めぐるちゃん、耳の許可は出してないよ?」
「あ、だめでしたか?」
「くすぐったいからだめ。」
手を引くかと思いきや、別にそんなことはない。
ちょっと引っ張ったり撫でたり。
完全に遊ばれている。
(まあいっか。懐かれてる気がして悪くないし。)
されるがままにぼーっと虚空をみつめる。
スマホ近くに持ってくれば良かったかな。
「王子様。次はお腹触ってもいいですか……?」
「だめ。」
さすがに恥ずかしい。
いくらなんでも駄目なものは駄目だ。
「旅行で私のお腹は触ったのに……。」
不満げな声。
そのままその手は耳を弄る。
うーん……。
でもせっかくお泊りに来てくれてる訳だもんね……。
なんだか不満げなまま2人きりもちょっと気まずい。
しょうがないか。
「……ちょっとならいいよ。」
「い、いいんですか!?」
「わ!ちょっ早くない!?」
ノータイムでお腹に触られた。
まあ減るもんじゃないしいっか。
めぐるちゃんの期待にはできる限りは応えたいしね。
なんたって中学時代からのファンなわけだし。
うーん。
でもなんかすごくくすぐったい。
どうにか堪えてるけど中々大変だ。
気を抜いたら変な声が出そうだ。
「やっぱりすべすべですね。
筋肉もちゃんとついてます。」
「……」
「王子様?」
「……」
返事してる余裕ないからしょうがない。
だってさすがに恥ずかしいからね。
めぐるちゃんにはかっこいい王子様でありたい以上、情けない姿は見せられないのです。
「え、えっと触って大丈夫なんですよね……?」
「だいじょうぶ。」
どうにかそれだけ伝えた。
でも意図は伝わったのか、めぐるちゃんはまたお腹をゆっくりと撫で始めた。
その調子で10分くらい?
めぐるちゃんは満足したのか、その手を止めた。
そしてそのまま、私の目の前の席に座り直した。
「めぐるちゃん、学校ではしちゃ駄目だよ。
セクハラになっちゃうからね。」
私がそういうと、めぐるちゃんはちょっとだけ恥ずかしそうに笑ってごまかした。
本気で心配してるのに。
まったくもう。
ちょっとお互いに休憩。
お互いなにも言わずにのんびりとした時間。
「……でも。」
先に沈黙を破ったのはめぐるちゃんだった。
何か言いたげに私の顔を見据えている。
「今どきはこれくらい普通ですよ……?」
「うっそだー。」
またちょっと沈黙。
でも今度はめぐるちゃんの口が開く気配なし。
「え、本当なの?」
「はい、本当です。」
「まじかー……。」
え、すごい。
最近の高校生は進んでるな……。
それとも私が高校時代に進んでなかっただけ?
どちらにしても高校生ってすごい……。
「むしろまだ普通に足りないくらいです。」
「いやいや!さすがにそれは嘘でしょ!」
「いえ、本当です。」
すごく真面目な目。
めぐるちゃんは嘘をつくとき、左上をちらりと見る。
今日はその癖もない。
てことは本当なの?
ひゃー……。
「じゃ、じゃあどんなことするの……?」
私が聞くと、めぐるちゃんは一瞬だけ言葉に詰まった。
でもすぐに次の言葉を用意した。
「えっと……下着で抱き合うとか……。
挨拶みたいなものです……。」
うわぁ……すご……。
高校生乱れてんな……。
私、今の高校生じゃなくて良かった……。
「だ、だから王子様も一緒にいかがですか……?」
「え、いや……。でも私は……。」
「ふ、普通ですよ??」
「ふ、普通なのかな??」
めぐるちゃんが首をぶんぶんと縦に振る。
すごい自信。
で、でも普通なんだもんね。
それなら普通に合わせる方がいいのかな??
パジャマのボタンに手をかける。
なんだかすごく恥ずかしいけど……。
「王子様。」
ふとその声に前を向くと、めぐるちゃんは真っ赤な顔で目を逸らしていた。
「ごめんなさい……。嘘です……。」
「え」
そそくさと立ち上がって逃げるめぐるちゃん。
私も立ち上がりそれを追いかける。
机の周りをぐるぐる回ること3周。
すぐに捕まえられた。
「なんでそんな嘘ついたの?」
肩を軽く揺すって問い詰める。
「王子様……信じてくれそうだったから……。」
答えになってない。
じゃあ次の質問。
「嘘ついてる時の癖でてなかったじゃん。
真剣な顔してたよね?」
「嘘つく時は左上向いてたんですよね……?
鈴ちゃんが教えてくれたので直してみました。」
あの野郎。
余計なことばかりする。
こほん、とめぐるちゃんが1つ咳払い。
そして私をまっすぐ見つめた。
「王子様、騙されないように気をつけてくださいね?
王子様は綺麗なんだから……。
油断してちゃだめですよ?」
なぜだか私がお説教された。
今は嘘ついてためぐるちゃんをお説教中なのに。
ふむ。
「めぐるちゃん嫌い。
今日は一緒に寝てあげないから。」
めぐるちゃんから手を離し自分の布団に逃げ込む。
私を追いかけて、めぐるちゃんは布団の外から謝ってきた。
まぁ謝るなら許してやろう。
そして私は布団の中にめぐるちゃんを迎えいれた。
それから私たちはのんびりと夜の時間を楽しんだ。
ゲームをするでもなく、ただのんびりと過ごす夜。
たまにはこういうのも悪くないかも。




