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余命60年の私と余命8億年の君  作者: とりもち
209/299

サメ映画はお友達と一緒に


映画の内容は直前まで秘密。

だから私も小鳥もすごく警戒していた。

いちゃいちゃするような内容だったらどうしよう。

いかがわしい雰囲気になったらどうしよう……って。


だけどフランがウキウキで持ってきた映画。

それはどう見てもおかしかった。

シャークネードカテゴリー2。

明らかになにかの続編だ。


「フラン?これ間違ってない?

 2って書いてあるよ。」

「大丈夫です!とっても楽しいですから!」


シリーズものだけど2からなの?

まぁいいや。

フランが楽しいって言うなら楽しいんだろう。


「コーラ入れてきますね!」

「うん、ありがとね。」


フランが飲み物を淹れている間にDVDをセット。

フランが戻って来たところで、本編映像が流れ始めた。


舞台は飛行機の上から始まった。

主人公の男の人は何かに招待されて、ニューヨークへと向かうところらしい。

一緒に居るのは奥さん?

まあとにかくのんびり見よう。

サメ映画だし。

空の上ではなにも起きないだろう。


「え!?え!?今サメ居た!?」

「あぁ、居たな……。いや、夢だろ?」


普通にサメが居た。

見間違いじゃなければ空を飛んでいた。

嘘でしょう?


「わ!わ!まじか!?」


嘘じゃなかった。

空飛ぶサメに機長が食われた。

そんなことある?

まだ始まってすぐだよ?

墜落しちゃうよ?


もうそこからもてんやわんや。

なぜか空を飛ぶサメの群れ。

なぜか飛行機の操縦ができる主人公。

墜落を阻止したところで流れるオープニング。

めちゃくちゃすぎる!


「ふふっ。まじかよ。なんだこれ。」


ふと小鳥を見ると楽しそうに笑っていた。

山城さん呼ばなくても良かったな、これは。

この映画でいかがわしくなんてなるはずないや。


「フラン、こっち。」

「はい!お嬢様!」


ぽんぽんと自分の膝を叩いてフランを呼び込む。

するとフランは私の膝の上にちょこんと座った。

フランのお腹の前で手を重ねる。

完璧な体勢。


そこからもハチャメチャは続いた。

サメ映画なのに出てくるワニ。

転がる自由の女神の生首。

それに潰される人たち。

竜巻に巻き上げられたサメに捕まって空を飛ぶ主人公。

全編通してずっと無茶苦茶。

笑ってない時間なんて一分も無かった。


約2時間の映画上映。

それが終わって、私たちはようやく一息つけた。


「ふふんっ。良かったでしょう?」

膝の上でフランがそうドヤ顔した。

「うん!すごく面白かったよ!

 サメが空飛ぶなんて……。大迫力だったね!」

「ああ!めっちゃ楽しかった!

 他のサメ映画も見たくなったな!」

私の言葉に小鳥が続いた。

小鳥もすごく楽しかったようだ。

とても快活に笑っている。


「小鳥はああいう男らしい映画好きそう。」

「なんだよ。お前だってバカな映画好きだろ?」


うん、それはそうだ。

おバカな映画大好き。

少林サッカーも大好きだしね!


「フラン、この続きってあるの?」

「ふふふ。もちろんです。

 ちゃんと全部ありますよ!」


フランがずらりと借りてきたDVDを机に広げた。

さすがフラン、用意がいい。


「でも今日はもうおしまいです!

 続きはまた明日にです。」


さっと全部をしまってしまった。

残念だけどしょうがない。

もう夜の11時前。

寝る時間だもんね。


「えへへ。」


フランが急にとても楽しそうに笑った。


「ふふっ。フランはもうこの映画見てたんでしょ?

 そんなに楽しかった?」


私が聞くと小さく首を横に振って答えた。


「最近お嬢様と小鳥お姉様、距離がありましたから。

 今日は仲良しで嬉しいです。

 えへへ。2人で撫でてくれてもいいんですよ?」


フランが頭を傾ける。

小鳥と目が合った。

そして小鳥は少し照れくさそうに笑ってフランの頭を撫でた。

私も一緒に頭を撫でる。

フランは楽しそうにえへへと笑い続けた。


「なぁ。あたしたち……友達だよな?」

「……うん。私たちは友達だよ。」

「……そうだな。ふふっ。そうだよな。」


小鳥が私の手ごとフランの髪をくしゃくしゃと撫で付けた。

そしてふぅと息を吐いて、吹っ切れたように笑った。


「じゃあまた明日な。」

「うんまた明日。ランニング寝坊しないようにね。」


手を振って小鳥を見送る。

ふふっ。

良かった。小鳥とちゃんと話せた。


やっぱり小鳥とは友達としての距離感がちょうどいいんだと思う。

変に意識して喋れなくなるのは寂しい。

だからきっと友達のままでいいのだ。

うん、だからきっと私たちはこれでいい。


「……ほんとにそれでいいの?」


山城さんはただそれだけ私に問いかけた。

本当にこれまでひとことも喋らなかった山城さん。

でもそんなことを聞かれたって私に答えられることは1つしかない。


「いいんです。小鳥は友達。

 それでいいんです。」

「……そう。

 うん、今日は楽しかったよ。じゃあね。」


山城さんは少し心配そうに、部屋を出ていった。

でも心配されるようなことはない。

きっと明日からはいつもどおりの小鳥。

その嬉しさと……ほんの少し、ほんの少しの寂しさを抱きしめるように、私はフランを強く強く抱きしめた。

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