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余命60年の私と余命8億年の君  作者: とりもち
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秋の始まり


「というわけで秋の予定を決めます!」


フラン、小鳥、めぐるちゃん、みゆちゃん。

アパートのみんなを集めての臨時集会。

だって秋が始まるわけだからね。

楽しみは早いうちに持っておきたい。


「はい。」

「はいみゆちゃん早かった!」


最初に手を挙げたのはみゆちゃんだった。


「わたしのうんどうかいあるよ。

 よかったらみにきてね。」

「それは勿論だよ!楽しみにしてるね!」

みゆちゃんの運動会。

それは最初っから予定に決まってる。

だから私がそう頷くと、みゆちゃんは満足気に笑顔を浮かべた。

「みゆはクラスで一番足早いんだったよな。」

小鳥もそう言ってみゆちゃんの頭を撫でた。

するとみゆちゃんは立ち上がって小鳥の膝の上に座り直した。


「では次の方!」


小鳥とめぐるちゃんは考え中。

フランは何やらニコニコしている。

ていうかこの会議の前からニコニコしていた。

フランはやりたいことのアイデアがもう決まっているらしい。

最後に発表すると言っていた。


ならば!私の!出番だろう!

というわけで私は大きく手を挙げた。


「あ、王子様!なにかあるんですね!」

「めぐるちゃんありがと!

 そう!いいアイデアがあります!」


みんなの注目が集まっている。

ふっふっふ。

いいアイデアだから、褒める準備をしておくといい。


「秋と言ったらこれでしょ!」

「ハロウィンパーティー!

 お嬢様!さすがです!」


即座にフランが褒めてくれた。

そう、秋と言ったらハロウィンパーティーだ。

絶対楽しいでしょ!


「あー、でも確かにいいな。

 思ったよりいいアイデアでびっくりした。」

「小鳥、失礼ポイント5点。」

「なんだよ、失礼ポイントって。」

「溜まると私が小鳥に失礼な態度を取ります。」

「いつも失礼だろ。」

「失敬な。失敬ポイント5点。」

「別換算かよ。」


おっと。

小鳥のせいで話が逸れそう。

まったく、油断も隙もない。


「みゆちゃんもハロウィンとか……。」

「ハロウィン。したい。したい。」


うん、みゆちゃんも大賛成。

目をすごくキラキラと輝かせている。

これはもう嵐が来たってやるテンションだ。

めぐるちゃんも私の身体を舐めまわすように見ている。

エッチな仮装はしないからね?

でも賛成してくれるのは嬉しいな。


「じゃあハロウィンパーティーは決まりだね。

 それでは次、めぐるちゃん!」

「え、えっと……はい!えっと。

 芸術の秋なので……。

 みんなで絵を描くのはどうでしょうか……?」

「採用!お絵描き大会だね!」


めぐるちゃんらしいいいアイデア。

私は絵とか苦手だけどね!

小鳥の絵、見たいし!


「絵かー。あたしは苦手だな。」

小鳥はそう呟いた。

うわ、なおさら興味出た。

「小鳥は描くの下手そうだもんね。」

「だ、大丈夫だよ。下手でも楽しく描いてね。」

「そう。ことりおねぇさんはかくだけでいいよ?

 じょうずじゃなくてもいいよ?」

みんなで小鳥を励ます。

小鳥はまたひとつため息をついた。

「……そこまで下手じゃねえよ。」

ちょっと苛立たしげ。

みゆちゃんはそんな小鳥の顎を親指と人差し指で優しくくすぐった。


「みゆ、それは恥ずかしいからやめてくれ……。」

「ねこちゃんはこれでよろこぶよ?」

「あたしは猫ちゃんじゃないから……。」


振り払うこともできずにされるがまま。

恥ずかしそうだけど、それはそれとして機嫌は良くなった。

さすがみゆちゃんだ。

小鳥の取り扱いをよく分かっている。


「じゃあ最後は小鳥だね。」

「……みんなでディズニー行きたい。」

「行く!!!!」


はい決定!

絶対行こう!

ずっと後回しにしてたもんね!

行くしかないじゃん!


「ディズニー。いきたい。わたしもいっていい?」

みゆちゃんが小鳥を見上げてそう言った。

小鳥はみゆちゃんの頭を撫でて了承した。

「夢の国……!青春っぽいです!!」

そしてめぐるちゃんのテンションもすごく上がっている。

分かるよ。

夢の国にみんなで行くの、私も楽しみにしてたから。


「じゃあ夢の国も予定に追加だね!

 日程は追々決めよう。

 空いてる日をあとでカレンダーに入れといてね!」


みんなが頷いた。

さぁあとはフランの番だ。

フランはどんな予定を考えたのかな。


「あ」


でもその前にみゆちゃんが小鳥の膝の上から立ち上がった。


「ごめん!しゅくだいしなきゃ!」

「え、え、私が追いかけますね!

 3人はお話続けていてくださいね!」


ぴゅーっとみゆちゃんが部屋から飛び出した。

それを追いかけてめぐるちゃんがでていった。

残されたのは私と小鳥とフラン。

まぁいいや。

あとでラインで共有すればいいし。


改めてフランに向き合う。

するとフランはスマホを取り出して私と小鳥に突きつけた。


「もう予約済みです!

 お嬢様に相応しいお城に行きましょう。」


そこに写っていたものを見て私も小鳥も固まった。

お嬢様に相応しいお城。

現代社会においてそれが示すのはシンデレラ城と……確か群馬だかにもあったかな。

でもそのお城はどっちでもなかった。


(……ラブホじゃん。)


スマホの画面、ドヤ顔のフラン、硬直する小鳥。

それらを見比べて思う。


え、まじで言ってんの?

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