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余命60年の私と余命8億年の君  作者: とりもち
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幕間 旅行で気づいた二人の関係


小鳥さんってもしかして新入りのことが好き?


ベッドの中、ふとそんなことを考えた。

旅行楽しかったなー。

そうだ、思い出を頭の中で整理しましょう!

そんな風に思っていたのだけれど。

とんでもないことに気づいてしまったかもしれない。

大ニュースだわ。


今はめぐるちゃんも寝ていて、実質2人部屋。

ちょっと聞いてみようかしら。


「こ、小鳥さん。ちょっとお話したいことが……。」

「なんだ?そうかしこまんなよ。

 今そっち行くな。」


こ、小鳥さんが同じベッドに……。

今は緊張しちゃ駄目。

頑張れ、私。


寝たまんまなんて失礼だからちゃんと座る。

小鳥さんには常に最大の敬意を。

なんたって尊敬する恩人なんだから。


「それでどうしたんだ?」


小鳥さんがじっと私の顔を見る。

やっぱりかっこいい……。

あぁでも今は駄目。

ちゃんと質問しましょう。

ちゃんと順序を追って、一番聞きたいことに繋がるように。


「小鳥さんって新入りのこと好きなんですか?」

「……は?」


小鳥さんが信じられないものを見る目で私を見ている。

あれ、私、今なんて?


「あー……」

「え、えっと!?違う、ます!違うんです!」


頭を抱える小鳥さん。

ち、違うのよ。

もっと当たり障りないこと聞くつもりだったの……。


小鳥さんが一つため息をつく。

そして慌てる私の髪を優しく撫でてくれた。


「ごめんな、あたしにもよく分からないんだ。」


小鳥さんはそう言って私の横に座り直した。

距離が近い。

ドキドキしていいような場面じゃないのに。

私の心臓は勝手に高鳴ってしまう。


「めぐるにも聞かれたんだけどさ。

 あたし自身よく分かってねぇんだよ。」


「あいつが楽しそうだと嬉しいし……。

 でもなー……。やっぱりよく分からねぇ……。

 好きではあるけど、恋愛とは違う気が……。」


小鳥さんが項垂れた。

小鳥さんのこんな顔は初めて見る。

いつもかっこいい小鳥さん。

でも今はその頬を赤らめて、すごく困った顔。

私の知らない横顔。




「……悪い、こんな話聞いても楽しくないよな。

 今日は疲れたろ。ちゃんと寝ろよ。」


小鳥さんと話し始めて何分か経った頃。

また頭の上に小鳥さんの手のひらの感触。

ぐるぐると回る頭の中も、その感触で現実に引き戻された。

小鳥さんは私をそっとベッドに倒すと布団をかけてくれた。

語ってくれた内容はちゃんと覚えてない。

ただ、新入りと過ごすのは楽しいと言っていたことを覚えてる。


(でもやっぱり……。)


思い返すと納得しかない。

新入りの水着姿を褒めた時の小鳥さんの照れた顔も合点がいった。

そもそも一緒に過ごしたくて引っ越しするくらいだもんね。

小鳥さんは新入りが好き。

もうこれは疑いようがないだろう。


「ふぅ……」


無意識に息が私の口から漏れた。

慌てて口を抑える。

いけないわ。

小鳥さんに気づかれなかったかしら。


なぜだか胸が少しだけ痛むけど、そんなことより。


(小鳥さんと新入り、応援してあげなきゃ。)


新入りになら小鳥さんを任せられる。

なにより小鳥さんには幸せになって欲しいから。


(私が絶対に小鳥さんの恋を成就させてみせるわ!)


小鳥さんは不器用そうだし、新入りは鈍い。

2人が結ばれるには私が頑張らなきゃね。

 

布団の中、強く拳を握る。

小鳥さんの幸せのために!


頑張るわ!おー!


ベッドの中、私は人知れず気合いを込めた。

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