みんなとジンベイザメとマンタとお土産
それは重厚なのに軽やかに。
優雅にまるで世界の中心であるかのように。
そんなジンベエザメの姿。
「ひゃー……」
私たちはそんな感嘆の声を漏らすしかなかった。
いや、それくらい凄かったんだもん。
おっきい。
とってもとってもおっきい。
そしておっきいのにかわいい。
それに水槽の中、ジンベエザメだけじゃない。
周りにマンタ!
超かわいいマンタがいる!
ひらひら泳いでて、裏側はなんだか笑ってるみたいだ。
多分みゆちゃんも好きだろうな。
癒しの雰囲気を身に纏っている……。
「マンタになりたい……。」
「お前は何を言ってんだよ。」
「……口に出てた?」
「もろに。」
それはちょっと恥ずかしいな……。
叩けば忘れるだろうか。
いや、小鳥を叩いたら私の腕が折れるかもしれない。
言ってないことにしよう。
「聞き間違いだよ。私は何も言ってない。」
「フラン。」
「お嬢様はマンタになりたいと仰ってました!」
「わ!フラン!」
フランは聞き間違いなんてしない。
もう誤魔化しようはなくなってしまった。
さらに横を見るとめぐるちゃんも雛乃も温かい目で私を見ている。
いたたまれない……。
「お嬢様、マンタにならなくても可愛いですよ。」
フランはそうニコニコと笑いかけてくれた。
「そうです!王子様はマンタよりも格好いいです!」
めぐるちゃんも謎のフォロー。
いや、違うんだよ。
ひらひら泳いでるのが楽しそうだったからで。
「新入り。分かるわ。マンタ可愛いものね。」
雛乃もぽんぽんと肩を叩いてきた。
私がマンタの可愛さに憧れていることは周知の事実になってしまったらしい。
「まあいいや、マンタと写真撮って。ぴーす。」
「はい。もちろんです。チーズ!です!」
水槽から少し離れたところ。
そこでマンタをバックにフランが写真を撮ってくれた。
みゆちゃんに後で送ろう。
マンタはきっとみゆちゃんの好みなはずだ。
「次はフランと写りたい!小鳥、写真撮って!」
「へいへい。」
今度は小鳥にスマホを渡す。
フランと並んでピース。
今度の写真もいい感じ。
こっちは大事に大事に取っておこう。
お家に帰ったら額縁に入れるのもいいかもしれない。
ふと雛乃を見ると、ソワソワしているのが見えた。
ふっ。
世話の焼ける。
「今度は3人の写真撮ってあげる。並んで。」
めぐるちゃんと目が合った。
私のしたいことを分かってくれたのかもしれない。
「小鳥ちゃんも雛乃ちゃんもぎゅって詰めて!」
やっぱり分かってくれていた。
さすがめぐるちゃん。
後で褒めまくってあげなきゃ。
小鳥を真ん中に雛乃とめぐるちゃんがぎゅっと固まる。
写真を3回撮る。
小鳥と雛乃。
めぐるちゃんと小鳥。
それに3人纏めて。
「はい、後で送るね。」
「さんきゅ。気が利くな。」
小鳥と雛乃のツーショットを雛乃に。
小鳥とめぐるちゃんのツーショットをめぐるちゃんに。
3人の写真を沖縄旅行のグループラインに送る。
ちょっと良いことをしたかもしれない。
ジンベエザメを見て、深海魚たちを見て。
あっという間に屋内施設を見終わった。
「私!ここのお土産買いたいです!」
フランがビシッと手を挙げた。
イルカのショーまでもうちょっと時間もある。
ちょっと早いけどお土産タイム。
フランはとてとてと人形コーナーに歩いていく。
そしてマンタの大っきなぬいぐるみを手に取った。
「これ買います!」
そうひと声。
そして止める間もなくレジへと向かっていった。
「新入りは買わないの?
マンタ、好きなんでしょ?ふふっ。」
ちょっと小馬鹿にしたような雛乃の笑い声。
小鳥と写真を撮れたからか、明らかに上機嫌になっていた。
「うーん。荷物になるからいいかな。
雛乃は?なにか買うの?」
「ふふっ。じゃーん。可愛いでしょう?」
雛乃は手に持った買い物カゴのの中から、小さな瓶のようなものを取り出した。
「ヒトデの砂か。可愛いね。」
「星の砂じゃないの?
まあヒトデも可愛いから許すわ。」
フランに倣って星形はヒトデ形と呼ぶことにしたのだ。
でも星の砂。
確かに可愛いかも。
「私も買おうかな。」
「そう言うと思って新入りの分もあるわ。
さっきの写真のお返し。」
よく見るとカゴの中には2つ小さな瓶が入っていた。
私の分らしい。
「でもそれは悪いよ。」
「いいの。可愛いもの共有したいし。」
雛乃もスタスタとレジへと向かった。
私もなにか買おうかな
美味しそうなクッキーを見つけた。
あとで皆と宿で食べる用に買おう。
私もレジへと向かう。
黒糖味。
沖縄っぽくていいかも。
「ごめん、お待たせ。」
レジの向こうでは皆が待っていた。
小鳥とめぐるちゃんも小さな袋を提げていた。
みんなそれぞれお土産も買い終わったらしい。
次はイルカショー。
広場に出て少しあるけばすぐに辿り着く。
はぁ……楽しみ……。
「あ」
外の広場のベンチ。
なにかを食べている?このみちゃん。
その肩に寄り添う鈴。
そんな姿が見えた。
2人のデートも楽しく進行しているようだ。
「2人も楽しそうね。
そっとしておきましょう?」
雛乃の言葉に頷いて、イルカショーへと向かう。
美ら海の制覇まであとちょっと!




