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余命60年の私と余命8億年の君  作者: とりもち
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お泊まり会のもう一方

ちょっと空いちゃいましたが本編です!

フラン、みゆちゃん、鈴、雛乃の部屋のお話で、雛乃視点のお話となります!


「さて、じゃあこっちは何しよっか!」


小鳥さんたちが去ったあと、鈴さんがそう言った。

みんなが居なくなったのはちょっと寂しいけど……。

でもせっかくだし楽しまなきゃ損よね!

さぁ何をしようかしら。

トランプとか?

私、ババ抜きには自信あるわ。

そう思った時、みゆちゃんが手を挙げた。


「みんなとおままごとしたい」


わ、すごく可愛いアイデア。

みゆちゃんもまだ小さいものね。

おままごとなんていつぶりだろう。

これは乗るしかない。


「私もおままごとに賛成。」

「では私もおままごとしたいです!」


フランちゃんも賛同してくれた。

今日のアクティビティはおままごと。

私はなんの役になるのかな。


「ひなのちゃんはわたしのかのじょ。」

みゆちゃんは私を指してそう言った。

「フランちゃんもわたしのかのじょ。」

次にフランちゃんも役が決まった。

「りんちゃんは……おねぇちゃん?」

ちょっと困ったあと、鈴さんも役が決まった。

「俺は彼女じゃないのー?

 俺も彼女になりたい!」

「りんちゃんはこのみちゃんのかのじょでしょ。

 うわきはだめだよ?」

その言葉に渋々鈴さんは引き下がった。


でも変な役柄ね。

彼女、彼女、お姉ちゃん。

果たしてこれでどんなおままごとをするんだろう?


「ひなのちゃん、だきしめてあげるね」

みゆちゃんがその小さな両手を広げた。

彼氏だもんね。

それくらいは普通よね。

「はい、ありがとね。」

私はしゃがんでみゆちゃんを抱き締め返す。

暖かくて可愛い。

小さな身体で力いっぱいに抱き締めてくれてる。

時間にして一分もない。

だけどその経った一分で心から温まる。


「つぎはフランちゃん。だきしめていい?」

「はい!もちろんです!」


小さな2人が抱き締め合う。

わ、すごく微笑ましい。

すごく仲の良い姉妹みたい。

これは写真撮ってもいいのかしら?

明日新入りに自慢しなきゃ。


また一分くらい。

ほかほかとした顔でみゆちゃんは鈴さんに手招きした。


「おねえちゃん。かたもみしてあげる。」

「へへっありがとな。」


鈴さんは一応は20歳よね、確か。

全くそうは見えないけど……。

フランちゃんと同い年くらいに見えるし、やっぱり姉妹に見える。

あ、そうだ。


「お姉さん、私も肩を揉みます。」

「え、ほんと?ありがと!」

「ありがとね、ひなのおねえちゃん。」


彼氏のお姉さんだもの。

ちゃんと敬わないと。


「では私も失礼しますね!」


そしてフランちゃんも鈴さんの足を揉み始めた。

肩はみゆちゃんにお任せして、私は腕を揉む。

鈴さんはとても嬉しそうにニコニコと笑った。


「はっはっは。天国に居るかの心地よ。」


見るからに調子に乗っている。

でも彼氏のお姉さんだものね。

おままごとの役になりきってるなら、スルーするのが良さそう。

私は腕を揉むのに専念しよう。


「はっはっは、いやー。これはいいな。

 みゅー、やっぱり俺の本当の妹になら

「おねぇちゃん、すきあり」

「わ、ちょっまっ!」


みゆちゃんが鈴さんのお腹をくすぐり始めた。


「ひなひな!フランちゃん!止めて!

 くすぐったい!助けて!」


私に腕を、フランちゃんに足を取られてるからなす術もない。

されるがままにお腹をくすぐられている。

私がすべきことは……。


「お姉さん、ごめんなさいね。」

「今日なみゆ様の彼女なので!」

「ひゃっ!みんな!ひどくない!?」


私は鈴さんの両手を抑える。

フランちゃんも足を抑えて、あとはみゆちゃんの思うまま。


「おねえちゃん、わらって?ふふっ。えへへ。」

「わらってる!わらってるから!ひひっ!」

「えへへ。もっと。」


お腹から足の裏。

自由自在にみゆちゃんの指が踊る。

5分も経つと鈴さんはヘロヘロになった。


「たのしかった。ありがとね、おねぇちゃん。」

「ど、どういたしましてぇ……」


ふひぃ、と息を吐いて大の字に倒れ込む。

フランちゃんはそんな鈴さんの頭を優しく撫でた。


「鈴お姉様は良いお姉様ですね。よしよし。」

慈しむような優しい目。

「やーめーろー。はずいー。」

そんな目で見られるのが恥ずかしかったのか、鈴さんはコロコロと寝転がってフランちゃんから逃げ出した。

「じゃあ私が撫でてあげるわ。

 ほら、こっちにおいで。」

「ひなひななら許す!ほら、撫でたまえ!」

そのまま私の膝の上へ。

頭を撫でると、またふへへと笑った。


「ひなひな撫でるのうまいなー。」

「そう?初めて言われたわ。」


頭を撫でるなんて、普段あんまりしないけど。

最近はフランちゃんやみゆちゃんを撫でることも多いから。

知らず知らずにレベルアップしたのかも。

ふふっ。

すごく嬉しいわ。


「あら」


頭の上に小さな手の感触。

いつの間にかみゆちゃんが後ろに回っていた。


「ひなのちゃん、なでるのじょうず。

 えらいからなでてあげるね。」


みゆちゃんがそう言って優しく私の頭を撫でる。

ちょっと心がくすぐったい。

でもほんのり温かい。


「では私はみゆ様ですね!」

「わ!えへへ。ありがとね。」


後ろからそんな会話が聞こえた。

フランちゃんもみゆちゃんの頭を撫で始めたらしい。

なんだかおかしな状況。

きっと大学のみんなに見られたら笑われちゃうかも。


「ふふっ」

「ひなひな何笑ってんのー?」

「なんでもないわ。ふふっ。」


そもそも私、ここの皆と関係なんてなかったのに。

小鳥さんの後輩で、新入りの先輩。

そして2人はここに居ない。

でも。


「ひなひなー。」

「なに?」

「呼んでみただけー。」

「ひなのちゃん、かゆいとこない?」

「みゆ様はお加減どうですか?」

「すごくきもちいい。」


こんな不思議な輪の中に私もいる。

そしてそれがすごく楽しい。


新入りには後で感謝しなくちゃね。

この輪に加えてくれてありがとう。


でも今は……。


「次はフランちゃんも撫でたいわ。」

「では場所交代しましょうか!」


この温かな空間を楽しもう!


みゆちゃんが鈴さんの膝の上で寝た午後9時。

それをもって、私たちの部屋の一日は終わりになった。


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