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余命60年の私と余命8億年の君  作者: とりもち
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餃子パーティー


ホットプレートの準備はばっちり!

お客様も全員揃った!

というわけで……。


「「「いただきます!」」」

「えへへ……ごゆっくりお召し上がりくださいね!」


さっそく餃子パーティーの始まり!

フランと私特製の可愛い可愛い餃子たち。

それがホットプレートの上でどんどん焼かれていく。

焼き上がったものは皆のお皿の上へ。

これから皆が食べてくれる。

それを思うだけで胸がいっぱいになりそうだ。


「今日の餃子、私とフランで作ったんだ。

 すごいでしょー。」

「ありがとね、おねぇさん。

 すっごくおいしそうだよ。」


みゆちゃんが私の手を握ってくれた。

暖かくて小さい。

でも力強くて幸せな気持ち。


「これだけ作るの大変でしたよね。

 ありがとうございます!」

キャプテンさんもそう言って楽しそうに笑ってくれた。

「ニラとかニンニクは入ってないからね。

 気兼ねなく好きなだけ食べてね!」

「それはありがたいわ。

 ちょっとだけ、ほんの少しだけ心配だったの。」

雛乃もどんどんと餃子をお皿に入れる。

この場にはNo.1メイドとNo.1執事が居るからね。

口臭対策もばっちりなのです。


みんながそれぞれ餃子を自分のお皿に入れた。

あとは食べるだけ。

果たしてその感想は……?


「お!キムチとチーズ入りだ!美味しいな!」

「私のはオモチ入りね。100点あげるわ。」

「海老餃子……。すごく美味しいです……!」

「あ、私のもキムチ入ってました!

 すっごく美味しいですね!」

「ソーセージはいってた。おいしいな。」


「……」

「ん?どうした?」

小鳥が尋ねてきた。

「いや、なんかもう皆が褒めてくれて幸せ。」

「実際大したもんだよ。

 餃子の準備ありがとうな。めっちゃ美味しいぞ。」

そう言うと小鳥がまた1つ食べてくれた。

それもすごく美味しそうに。

「今度はタコ入りか。楽しいな。」

箸を弾ませるようにまた次の餃子を手に取る。

もうそれを見るだけでお腹いっぱいになれそう……。


「お嬢様お嬢様。」

横に座ったフランが袖を引っ張る。

そのお箸の先には餃子。

「あーん。」

フランがゆっくりと餃子を私の口に近づける。

まあ多分これって……。

フランの何かを期待するような笑顔。

あれだけ楽しみにしていたハズレのわさび餃子。

多分これがそれだろう。

意を決して口を開ける。

そしてゆっくりと噛み締めた。


(ーーっ!)


ツーンってする!

わさび入り!辛い!


「わ、おねえさんだいじょうぶ……?」


みゆちゃんがお水を渡してくれた。

私はそれを手に取り、一気に飲み干す。


「うん、大丈夫……!

 辛いけど美味しかったしね……!」


そう、ちゃんと美味しかった。

ちょっと私には辛すぎたけど、わさび味の餃子はとても美味しかった。

それにフランがあーんしてくれたんだもん。

不味い訳がない。


「えへへ。ちょっと悪戯しちゃいました。」

フランがにへらと笑った。

「まったくフランはもう。」

髪を撫でてあげると、さらに顔を綻ばせた。

あとでもっとたくさん撫でてあげないと。


「ではみなさま。当たりはあと2つあります。

 当たりを引いた方には豪華プレゼントです!」


フランが楽しそうにそんなことを言った。

みんなは少し苦笑い。

みゆちゃんと雛乃は食べるスピードをあげた。


「みゆ、辛いの大丈夫なのか?」

小鳥の質問にみゆちゃんが親指を立てて返す。

「フランちゃんのごうかプレゼント。

 すごくほしい。からいのもだいじょうぶ。」

みゆちゃんがその小さな口に餃子を運ぶ。

当たりでは無かったみたいで、美味しそうに笑顔を浮かべた。

「私も負けてられないわね。」

同じくスピードを上げた雛乃。

「雛乃ちゃんも豪華プレゼント欲しいの?」

「うん、そう言うのって気になるじゃない?

 それに私も辛いの得意なのよ。」

雛乃も負けじとモリモリ食べる。

作ったものを楽しそうに食べて貰えるのは気分がいい。


「フランちゃん、私は辛いの苦手……。

 大丈夫なのってある?」

めぐるちゃんが恐る恐る餃子を手に取る。

フランはニコニコとそれを見守った。

「めぐるお姉様には渡しませんから安心してください。  なので気にせず好きなものを食べてください!」

めぐるちゃんがほっと息を吐いた。

「恐る恐る食べてもつまらないもんね。

 他に辛いの苦手な人居る?」

私が聞くと、めぐるちゃん以外に手を挙げるものは居なかった。

なので当たり付き餃子パーティーは続行だ。


でも確率は149分の2。

そう簡単には出てこない。

普通に楽しく餃子パーティーは進行していた。


「にしてもお前も料理うまくなったよな。」

「へへ。私は包んだだけだけどね。」

「フランちゃん、今度この餃子の作り方教えて?」

「めぐるお姉様なら作れそうですね。

 もちろん教えて差し上げます」

「皆さん仲いいですよね。私のっっ!?」


キャプテンさんが急に口元を抑えた。

咄嗟に横にいためぐるちゃんが水を渡す。

ヒーヒーと息を吐いて、少し落ち着くまで呼吸を繰り返す。

そして落ち着いたあと、1つコホンと咳払いした。


「えっと……。

 私が豪華プレゼント貰ってもいいのでしょうか……?」

すごく申し訳なさそうな顔。

「勿論大丈夫です!

 こちらをどうぞ!」

フランが1枚の紙を手渡す。

続いてもう1枚を私にもくれた。

「お食事券?」

お食事券、とかかれた紙。

どういうことだろう?


「なんでも好きなものを私が作ってさしあげます!

 うまい棒からフレンチのフルコースまで。

 好きな時にお好きなものを書いてください!」


フランがふふん、と鼻を鳴らした。

フランが好きな時に好きなものを作ってくれる……。


「いいな!わたしもほしい!」


みゆちゃんが私の言葉を代弁するように言った。

いや、でもこれは本当にすごいチケットだ。

フランは栄養バランスにすごく厳しい。

だからご飯のリクエストはそこまで通らない。

そんなフランにいつでもスティックパンを作って貰える。

わさび食べて良かった……。

そう思うには充分な景品だ。


「へー。これってそんなにすごいんですね!」

キャプテンさんが食事券をまじまじと眺める。

「それならこれは大事にさせてもらいますね!

 ありがとうございます!フランさん!」

キャプテンさんがフランに頭を下げる。

フランはまた小さなドヤ顔をした。


「んーっ!あたった!あたったよ!」

みゆちゃんが手を挙げて報告した。

「良かったです。みゆ様、辛くはないですか?」

「ん、だいじょうぶ。

 こんどパンケーキつくってほしいな。」

みゆちゃんがお水を飲んで楽しそうに笑った。

「みゆ様、こちらあんこ餃子です。

 お口直しにどうぞ。」

「ありがとね。あんこあまくておいしい。」

ニコニコと顔を綻ばせる。

もう辛かったのも忘れたみたいだった。


150個あった餃子もどんどん無くなっていく。

ちょっとは残るかもって思ったけど、それは綺麗に全部無くなった。


「ご馳走さまでした。」

最後の1つを小鳥が食べて、パーティーは終わった。

「いつも綺麗に食べてくれてありがとうございます。」

「今日もすごく美味しかったよ。

 いつもありがとうな。」

小鳥がフランの頭を撫でた。

「えへへ……。」

フランも気持ちよさそうな笑う。

いつもの微笑ましい光景だ。


「雛乃、こっちにおいで。

 撫でてしんぜよう。」

「新入り、急にどうしたの?おかしくなった?」


雛乃には一瞬で断られてしまった。

残念。


「わたしがなでられてあげる。」

みゆちゃんが私の膝の上に座ってくれた。

お言葉に甘えて撫でさせてもらう。

「今日は二人ともどうする?泊まってく?」

雛乃とキャプテンさん。

来客用のお泊りセットの用意は完璧。

だけど2人は首を横に振った。

「今日は遠慮しておくわ。

 また今度遊びにくるわね。」

「私も急に泊まると家族に心配されちゃうので。

 またの機会にお邪魔しますね!」

残念。でも仕方ない。


というわけで今日は解散。

雛乃もキャプテンさんも小鳥が好き。

だから今日は私の出番は終わり。

そう思ったんだけど。


「あ、先輩。良ければ駅まで送ってくれませんか?

 ちょっとお話したいことがあるんです。」


キャプテンさんからの提案。

私をご指名とはいかに。


そうして私とフランで2人のお見送りをすることになった。

駅まで歩いて30分。

そんな短い時間だけど、一緒に歩けるのは悪くない。


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