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余命60年の私と余命8億年の君  作者: とりもち
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フランからの甘い提案


フランがいる大学生活はズルをしている気分だった。

隣の席で同じ授業を受けるフラン。

フランは1日でこの星の常識を学ぶほどに聡い。

その吸収力はスポンジ並。

授業で少し分からないところがあれば、家で全て解説してくれる。


「今日の私はお嬢様の家庭教師です!」

メガネをつけて家庭教師モード。

その姿が可愛いからか、なぜか小鳥とみゆちゃんもたまに出席する。

二人とも全然分かってないだろうに、ウンウンと頷いてるのはちょっと笑ってしまった。


「そういえば、お嬢様はなんで大学生なんですか?」

ある日、フランに聞かれた。

「私の場合はより良いところで働けるようにかな。」

正直に言うと、高いモチベがあって進学したわけではなかった。

たまたま英語ができたから英語の大学に。

大学を出たほうが就職で有利。

ただそれだけの理由だった。


「じゃあ大学辞めちゃって良いんじゃないですか?

 お嬢様は私が一生養いますよ。」

突然の申し出だった。


「金塊や宝石はまだまだあります。

 お嬢様が寝てる間に働くこともできます。

 お嬢様は私とずっと一緒に遊んでていいんですよ?」

ニコニコとフランが提案する。

すごく良いアイディアを思いついたという顔。

初めてフランのことをちょっと怖く感じた。


「……それはできないよ。」

でも私はそれができない理由をちゃんと知っていた。


「フランとはずっと友達で居たいから。

 ただの便利な執事だとは思いたくないよ。」

私はそう言ってフランの頭を撫でる。

「よく分からないです。

 でもずっと友達なのは嬉しいです!」

フランはそう言うと私の胸に飛び込んできた。

うん、いつもの可愛いフランだ。


でももし他の人がフランと出会っていたらどうなっていたんだろう。

満面の笑顔で使い潰されるフランを想像する。


私はひときわ強くフランを抱きしめる。


私もフランに頼りすぎてたかもしれない。

そんな自戒も込めて。

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