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余命60年の私と余命8億年の君  作者: とりもち
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餃子作りのお手伝い


「お嬢様!今日は一緒にお料理しませんか??」


珍しい提案。

フランはいつもお料理の手伝いをさせてくれない。

なのに今日はとてもニコニコと誘ってくれた。

そんなの乗るしかない。

幸い今日はシフトのない日。

なんだって手伝うよ!


「えへへ。お嬢様が手伝ってくれて嬉しいです。」

「それで今日は何を作るの?

 フライなら任せて!」

「今日はこちらです!」


フランが冷蔵庫からあるものを取り出した。

それは餃子の皮。

つまり今日の夜ご飯は餃子だ!

作るのも楽しい最高のご飯!


「タネは私が作ります。

 お嬢様には包むのを手伝っていただいても?」


首をブンブンと縦に振って全力で頷く。

餃子包みまくるのとか絶対に楽しいよね。

そういうのやってみたかった。


「うん、よろしくね。

 私、じゃんじゃん包むよ!」

私が答えるとフランはその顔をぱぁーっと明るく花開かせた。

「ではタネを作ってきますね!

 お嬢様はのんびり待っててくださいね!」

パタパタと台所に走るフラン。

その間に私は手を洗う。

ちょっとだけリビングで待機。

すぐにフランはタネを作ってリビングの机の上に持ってきてくれた。


「こっちが普通の餃子のタネ。

 こっちが海老餃子のタネです。

 めぐるお姉様にも食べて欲しいですからね!

 それと色んな変わり種です!

 お嬢様スペシャルを作ってください!」


チーズに刻んだおもち、わさびに紅生姜。

刻んだタコにキムチ。

色んなものが机に並ぶ。

私スペシャルかー……。

どんなの作ろうかな。

すごくワクワクする。


「今日は雛乃お姉様とキャプテンさんもお呼びしましたからね!たくさん作らないとですよ!」

あ、キャプテンさんも来るんだ。

それはすごく楽しみだ。

「そういえば、フランも名前知らないんだね。」

フランが名前呼びしないのは珍しい。

メイドさん三人衆はあだ名可愛いからってフランにも呼ばせてるけど。

「いえ、キャプテンさんのお名前は知ってますよ。

 でもお嬢様と同じで名前が嫌いみたいです。」

あ、そうなんだ。

私と同じか。

名前で苦労する気持ちは分かる。

深堀りはしないでおこう。

「そっか。じゃあ聞かないでおくね。」

「でもキャプテンさんお嬢様に共感してましたね。

 もしかしたらお名前の話で盛り上がるかもです!」

「そうなったらちょっと嬉しいな。

 名前嫌い仲間だ。

 心強いな。」

今まであんまりこの悩みは理解されなかったからな。

同じ悩みを共感できたらとても嬉しい。


「でもこれだけタネあると迷うなー。

 オモチとチーズ入れちゃえ。」

目に付くものをどんどん入れていく。

見た目だとどれがどれか分からないな。

「私はわさび入れちゃいます。

 お嬢様も気をつけてくださいね。」

フランがニヤリと笑ってハズレ餃子を作った。

けっこうな量のわさび。

外れたら大変だ。


「じゃあ私は甘い餃子作って中和する。

 喰らえ、あんこ餃子。」

「じゃあもう一個辛いの作っちゃいます。

 これはお嬢様用ですね。印つけちゃお。」

「あ、それはずるい!私が食べなきゃじゃん!」

「私の手作りですから。味は保証しますよ?」

「それなら食べる。でも甘いの教えてね。」


見た目は変わらない餃子たちの群れ。

でも中身は千差万別。

焼き上がる頃にはフランにしか答えは分からないだろう。


「辛いのは何個作るの?」

フランに聞くと指を3つ立てた。

餃子は全部で150個。

50分の1の確率…。

「そしてそのうちの一個はお嬢様用です!

 あーんしてあげます!」

じゃあ149分の2か…。

みゆちゃんに当たらなきゃいいな。

小鳥に当たるように祈っておこう。


「でも餃子作りって大変だね。」

「お嬢様と一緒だから楽しいですよ?」

「いや、フラン撫でられないの辛い」


生肉ー…。

もちろんこれじゃフランを撫でるなんてできない。

フランを撫でられるのは当分先になりそうだ。


「えへへ。終わったらたくさん撫でてくださいね。」

フランがニコニコしながら餃子を包む。

心なしかちょっとスピードが上がった。

「うん、すっごく撫でるね。

 フランの髪無くなっちゃうくらい。」

私もスピードをあげる。

アジの時と違って今日は危なくない。

頑張ればその分たくさん撫でられる。

「それは恐ろしいです。

 お返しに私もたくさん撫でてあげますね!」

フランが満面の笑みでその手をグーパーと握った。

ふふ、すごく楽しみ。

私にとって最高の報酬だ。


それからのんびりと包み続けて夕方には準備ばっちり。

私とフランの特製餃子パーティー。

それもまったりと始まっていく。

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