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余命60年の私と余命8億年の君  作者: とりもち
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3人のお嬢様


「お嬢様方、おかえりなさいま

「お嬢様!やっぱり格好いいです!」

「王子様……!」

「おねえさん、かっこいい。」


4回目の来店、そこでフランは2人を連れてやってきた。

3人にキラキラとした目で見つめられるとさすがに照れそう。

そこは口元に力を込めて我慢。


(せっかくだし小鳥とこのみちゃんも……。)


みんなが来てくれたわけだし、2人も呼ぼうと思ったけどそれは駄目だった。

2人とも別のお客さんの接客中。

ずっと誰かから指名されてて大忙しだ。

小鳥はかっこいいし、このみちゃんはかわいい。

私は……まあ特に何もないしね。

2人と比べたら空き時間が多いのも当然だった。


まあそれはそれ!

3人を独り占めできる。

小鳥とこのみちゃんには後で自慢しよう。


「おねえさん、そのかみもすてき」

「ポニーテール、すごく格好いいですよね!」

「私の自慢のお嬢様ですからね。

 どんな髪型も似合うのです!」


ていうかこんなに皆が褒めてくれてるわけだしね。

この環境で自己肯定感下がるわけないもん。

というわけで接客接客。

私ばっかり楽しむわけにはいかない。


「ふふっ。お嬢様方には敵いませんよ。

 皆様、花のようにとても綺麗でございます。」


できるだけ平静を装って微笑みかける。

内心はテンション爆上がりだけどね!

そこは演技力でカバー!


「王子様、さすがの演技力ですね……!

 照れてるように見えないです!」

「うん、ぜんぜんみえないね。」


2人が暖かな目で私を見る。

いや、それはおかしい。

私、演技力には自信あるもん。

腕輪のあるフランならともかく、2人にはバレたくない。


「照れてなどおりませんよ。」

とりあえず反論。

「いえ、絶対に照れてます。」

「うん、めぐるちゃんとおなじいけんだよ。」

すぐに2人はさらに反論で返してきた。

議論は平行線。

フランは微笑みを浮かべて成り行きを見守っている。

私への弁護は期待できそうにない。

こうなったら仕方ない。


「ではこちらで決めましょう。」


腕を振り、袖口から1枚のカードを取り出す。

執事と言ったらやっぱりトランプ。

なんとこのお店では執事とトランプやチェスなどのゲームをすることも可能なのだ。

ただテーブルに執事を縛ることになるから追加料金は必要になるけどね。


「すごい……!」

みゆちゃんがキラキラとした目で見てくる。

袖口からトランプをかっこよく出すのはめちゃくちゃ練習したからね。

期待以上の効果だ。


それはさておき、ゲームゲーム。

無難にポーカーをすることになった。

ポーカーは執事の嗜みだよね。


ポーカーはポーカーでもインディアンポーカー。

それも一対一。

ルールは至ってシンプル。

カードを1枚ずつ引き、自分では確認できないように頭の上に掲げる。

相手の引いたカードだけが確認できる状態で、勝負するか降りるか決める。

フランの掛け声に合わせて、降りる場合は自身のカードを目の前に出す。

勝負する場合はそのまま掲げ、数字の優劣を競う。

相手を5回勝負から降ろすか、勝負で3回勝った方の勝利だ。


最初の対戦相手はめぐるちゃん。

フランが審判を務めてくれることになった。

 

「ふふふ、お嬢様と戦えるなんて光栄です。」

「王子様、手加減しないでくださいね。」


お互いにカードを掲げ睨み合う。

一対一の勝負なので、他の人の顔色を伺っちゃ面白くない。

だから私たちはお互いの顔をずっと見ながら試合をすることになる。

目線を外したらその時点で敗北。

ちょっと照れる。


(これは勝負させたいな……。)


めぐるちゃんのカードはハートのエース。

勝負させれば確実に私が勝てる。

ちょっとカマをかけてみよう。


「お嬢様、勝負から降りることをおすすめします。」

私がそう言うと、めぐるちゃんは少し顔を強張らせた。

「え、え、王子様、そう言うのはずるいです……!」

「ずるじゃないよ。」

「大丈夫です!続けてください!」

カマをかけたり揺さぶったりはおっけー。

審判からもお墨付きを貰えた。

ガンガン揺さぶっていこう。


「勝負してもいいですが、僕が勝つだけです。」


「少しの確率に賭けるのは愚か者のすることです。」


「いえ、それも勇気というのかも知れませんね。

 どうか僕の言うことはお気になさらず。」


私が喋るたびにめぐるちゃんの顔が険しくなっていく。


「わ、私はどうすれば……。」

「勝負から降りることをお勧めします。」


うんうん唸って、めぐるちゃんが覚悟を決めた顔をした。

それを見てフランが掛け声をあげる。


「せーのっ!」


私は勝負続行。

そしてめぐるちゃんも降りることはなかった。

めぐるちゃんは最弱の1。

どうあがいても私の勝利だった。


「本当に降りた方が良かったなんて……。

 深読みしすぎました。」

「僕は執事ですからね。

 嘘はつきません。」


という訳で2回戦。

めぐるちゃんはキングを引いたから、勝負から降ろさせた。

3回戦、4回戦で勝負させて両方とも私の勝ち。

勝負で3回勝ったから、ゲームとしても私の勝ち。

完全勝利だ。


「王子様、嘘つきすぎます。」

めぐるちゃんが机に突っ伏した。

「これで分かったでしょう?

 私は照れたりしないのです。」

「絶対に照れてたのに……。」

「お嬢様、敗者に口無しですよ。」

微笑みかけると、めぐるちゃんは口を閉じた。

これであとはみゆちゃんだけだ。


「おねえさん、てかげんはしないよ。」

みゆちゃんが私を睨む。

そしてみゆちゃんも私と同じように、袖口からカードをひらりと出した。

「な、」

咄嗟のことに私はそれしか言えなかった。


さっき1回見せただけでやり方覚えたの!?

ずるい!

私、それ一晩かけて練習したのに!


(落ち着け……。あれはただ格好いいだけ。

 ゲームの強さには関係ない……。)


心の中はてんやわんや。

でもそれを顔に出さないよう、必死で心を落ち着かせる。


お互いにカードを頭に掲げ睨み合う。

ここからは目線を逸らすの禁止。

さっきの動揺も今は忘れよう。

ゲームに集中……。


「ことりおねえさん、なんぱされてる。」

「嘘!」

「……ひっかかるとおもわなかった。」


目を逸らしたからゲームセット。

私の負け。


「ずるい!ずるいよ!」

肩を揺すると、みゆちゃんは楽しそうに笑った。

「ふふっ。お嬢様?執事を忘れてますよ?」

フランが笑って私を嗜める。

いや、でも、だって。

「ありがとね、みゆちゃん。

 王子様、絶対に照れてたもんね。」

めぐるちゃんはみゆちゃんの手を取り褒めた。

負けは負け。

これで私はさっき褒められて照れていたことになる。

いや、私が嘘ついてたのはそうだけどさー。


「再戦を所望します。」

「いいよ。」


それから私たちは時間制限である1時間を遊んで過ごした。

めぐるちゃんとは5戦5勝。

みゆちゃんとは5戦4勝。

フランとは5戦3勝。


さすがに全勝とはいかなかったけど、私の強さは見せられたはず!


3人のお嬢様とのティータイムは、そうして幕を閉じたのであった。

 

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