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余命60年の私と余命8億年の君  作者: とりもち
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みゆちゃんと雛乃のお買い物


「おかいもの♪おかいもの♪」


朝から元気なのはめぐるちゃんだけじゃなかった。

みゆちゃんも鼻歌を歌ってご機嫌な様子。


「みゆちゃん、今日はお買い物なの?」

私が聞くとみゆちゃんはニコニコしながら頷いた。

「ひなのおねえさんとおかいもの。

 おねえさんたちもいっしょにいこ?」

みゆちゃんが私のズボンを引っ張る。

今日の予定はまだ決めてなかった。

みゆちゃんと雛乃とお買い物。

すごく楽しそうだ。

「うん、良ければ一緒に行ってもいい?」

私がそう答えるとみゆちゃんの顔が更に明るくなった。

今日は4人でお買い物。

買いたいものとかあったっけ?


ラジオ体操とランニングも終わって少し経ったころ。

みゆちゃんにマッサージして貰ってたら、チャイムが鳴った。

扉を開けると、そこには勿論雛乃がいた。

「おねえさんとフランちゃんもいっしょでいい?」

そんなみゆちゃんの問いかけに、雛乃は快く応えてくれた。


家から駅までの道。

そういえばちょっと気になることがあった。

 

「小鳥とめぐるちゃんは呼ばなくて良かったの?」

2人は今日映画を見に行くって言ってた。

でもお買い物行こう!って誘ったらきっとくるはずだ。

「ううん、今日はいいの。

 今日はめぐるへのプレゼント選びだから。」

「プレゼントですか?」

フランが聞き返す。

でもプレゼント?

めぐるちゃんの誕生日はまだ先だったはず。


「めぐるおねえさんがいいものくれたんだって。」

ふむ。

ちょっと考えてみる。

めぐるちゃんへのプレゼント。

だけど小鳥も呼ばない。

つまりそれは……。

「小鳥に関するもの貰ったの?」

雛乃は目を逸らした。

図星だったらしい。

「で、でも!めぐるは合法のって言ってたわよ!

 別に疚しいことはないわ!」

写真の枕詞に合法ってつけるのが怪しすぎる。

「どんなしゃしんなの?」

みゆちゃんの言葉に一瞬、雛乃がたじろいだ。

「私も気になります!」

「うん、せっかくだし私も見たいな。駄目?」

全員で雛乃を見つめる。

すると雛乃は少し唸ったあとに観念したようにため息をついた。


「これよ。変な写真ではないわ。」


雛乃がスマホの画面を私たちに見せる。

そこに映っていたのはもちろん小鳥の写真。

でも思っていたのとは少し違った。


「……この写真、めっちゃかわいいね。」


カメラに向かってぎこちなく笑顔を浮かべる小鳥。

ただそれだけの写真。

でも頑張って可愛い笑顔を浮かべようとしている。

小さなピースも照れを感じて可愛らしい。


「うん、すごくかわいい」

「見せてくれてありがとうございます!」


2人からも大絶賛だ。

これはめぐるちゃんにプレゼントを買う必要あるね。

フランとみゆちゃんもやる気を漲らせている。

一層気合いを入れて、私たちは駅へと歩みを進める。


そしていつものショッピングモール。

だいたい何でも揃ってる。

そんな便利な場所。


「さて、プレゼントだね。

 目星はついてるの?」

私が聞くと雛乃は首を横に振った。

「うーん、それがピンと来なくて……。」

雛乃がみゆちゃんを見た。


そういえばその為にみゆちゃんに声をかけたんだっけ?

当のみゆちゃんは皆で買い物ができることに昂っている。

フランの手を握って楽しそうにお喋りしていた。


「みゆちゃん、めぐるの好きなもの教えてくれる?」

雛乃が聞くと、みゆちゃんは私の手を握った。

「めぐるちゃんはおねえさんのことすきだよ」

「照れるぜ」

みゆちゃんからも私たちが仲良しに見えてるならそれはとても嬉しい。

みゆちゃんを抱っこしてこの歓びをお返し。

みゆちゃんもまた、嬉しそうに笑った。


そんな様子を見て少し考え込む雛乃。


「じゃあ新入りにコスプレでもさせようかしら……。

 めぐる、そういうのも好きよね?」

「ごめん、それはもう最近やったばかり。」

「えー……。」


そう、私関連のことは最近もう色々とやったばかりだ。

そこはプレゼントとしては避けた方が無難かもしれない。


「今朝もフランと3人で添い寝したしね。」

「それははつみみ。わたしもしてほしい。」

「はい!もちろんいいですよ!

 今日の夜で大丈夫ですか?」

「うん」


流れで今日の夜の予定も決まった。

みゆちゃんがお泊りにくる。

丁重におもてなししなければ。


ちょっと脇道にそれたけど、みゆちゃんはすぐに本筋へと話を戻した。


「あとおさかなもすきだよ。

 あとおもちゃとまんがもすき。

 あとおそろいもすき。

 あとねあとね……。」


一生懸命にめぐるちゃんの好きなものを教えてくれる。

みゆちゃんは記憶力がとてもいい。

一度めぐるちゃんが美味しいと言ったもの、可愛いと言ったものそういうものを全部教えてくれた。


「ありがとね。みゆ。

 おかげでプレゼントの目星がついたわ。」

雛乃がみゆちゃんの頭を撫でた。

そしてどこかへ向かって歩き出す。

「ひなのちゃん。」

小走りで雛乃の元へとみゆちゃんが近づき、その手を握った。

甘えたいのかな。

すごく可愛い。


でもそのすぐ後にみゆちゃんは振り向いて私とフランの手元を見た。

そしてひとこと。

「よし。」

と小さく言った。


よし?

どういう意味だろ。


「みゆ様、安心してください。

 お嬢様は私がお守りします。」

「それならあんしん。

 ひなのちゃんはわたしにまかせて。」


フランとみゆちゃんが頷き合う。

これってつまり……。


(私と雛乃、保護者として見られてない?)


よく見るとみゆちゃんは雛乃が他の人とぶつかったりしないように手を引いてあげてる。

それに携帯やクレジットの勧誘が有ったら、それとなく反対側を歩くように誘導してる。


「見て見てみゆちゃん、このお洋服。

 小鳥さんに似合うんじゃないかしら?」

「うん、すごくかっこいいね。

 わたしもそうおもうな。」


みゆちゃんは微笑みを浮かべて雛乃を見守っている。


「……」


まあいいや!

みゆちゃんも雛乃も楽しそうだしね!


2人、いやフランも含めてみんな楽しんでる。

そこに水を差すのは野暮だろう。


それから雛乃の目指すお店へと到着。

そこでひとまず、今日の目的は達せられたのであった。


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