肝試しの犯人
「フラン!小鳥!大丈夫だった!?」
家に帰るとフランと小鳥が神妙な顔をして座っていた。
「なにかあった……?大丈夫……?」
お化けが居るかもしれない古民家。
なんか呪われてたりしない……?
やっぱり私も行った方が良かったかな……。
「お嬢様。これを見てください。」
そんな私を見かねてフランが声をかけてくれた。
指差したのは1つの段ボール箱。
「あ、これ前に見せてもらったやつだよね。」
中に入っていたのは、写真で見せてもらった肝試しのポスター。
その下にはカエルの玩具やスライムなど。
悪戯グッズの数々。
「片付けありがとうね。
回収してる時、変なこととかなかった?
大丈夫だった?」
私の質問にフランが口を開いた。
「それなのですが……。
私たちは回収していません。
玄関に段ボールに入った状態で置かれていました。」
それは地主さんが片付けてくれたってこと?
その質問にフランは首を振って答えた。
地主さんも知らないとのことだった。
「誰かが片付けてくれたってこと?」
「あぁ、恐らくな。」
でも誰が?
「お嬢様。1つ確認したいのですが……。
お嬢様はポスターに気づかなかったんですよね?」
フランがポスターを指差す。
私はそれに頷いて答えた。
「よく考えれば、気付かないはずがねぇんだよ。
それだけ目立つように設置したからな。」
小鳥がスマホで画像を共有してくれた。
祭壇のように照らされたポスター。
それは暗闇の中だとより目立つはず。
「他の誰かがポスターを剥がしたってこと?」
そして他の仕掛けも回収して、段ボールに詰めた。
お化けがそんな器用なことを?
「ああ、多分人間の犯行だろ。」
でもその推理には穴がたくさんある。
「でもそんなの不可能じゃない?」
小鳥やフランにバレないように、家の中の仕掛けを回収する。
それにあのフランの偽物。
ぼんやりとした存在感は、人間のものではなかった。
「お嬢様。少しお待ちを。」
フランが少し目を瞑ってなにかに集中した。
「おじようさま。きこえますか。」
数秒後、フランの存在感が薄くなった。
あのお化けと似た感覚。
「こんな感じで間違いないですか?」
フランの存在感が戻った。
「う、うん。間違いないよ。」
でもそれがどうかしたの……?
フランにできるからって人間にできることにはならない。
それはお化けの不在証明には……。
「あ、もしかして……」
「はい、私の他に宇宙人が居ます。」
お化けよりも俄に信じがたい。
だってこんな身近に2人も?
しかも肝試しの妨害をしてくるような変な宇宙人が?
「んでフランの偽物なんだけどよ。
サイズ感とかはフランと同じだったんだよな?」
小鳥の質問に私は頷いて答える。
声も顔もぼんやりしていた。
だから私はサイズ感と体温と服装でフランだと判別した。
小鳥は1つ呆れたようにため息をついた。
「……あぁもう、そういうことかよ。あのバカ。」
そしてそう小さく呟いた。
「フランと同じサイズ感。
フランの服装を知ってる。
そんで肝試しのことも知ってる。
あと肝試しの妨害をするような特大のバカ。」
次に小鳥はヒントを羅列した。
そこまで言われてようやく気付いた。
「……鈴?」
思い当たるのはただ1人。
私たちの親友だった。




