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余命60年の私と余命8億年の君  作者: とりもち
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雛乃との密談


「……てことで、このみちゃんに彼女ができたみたい。」

「……でもその人、ほんとに大丈夫?」


このみちゃんと別れたあと。

さっきまでの話を雛乃に伝えたら、私と同じ意見だった。

やっぱり私と雛乃は似てるのかもしれない。


「あんまり人の彼女さんのこと悪く言えないけど……。」

雛乃はそう前振りした。

「お誕生日会をバックレるって相当よね。」

私はそれに頷いて答えた。


お誕生日会は念に一度の特別なイベントだ。

それを急に取り止める。

しかも他の友達のところに遊びに行くために。

そんなの別れる理由になってもしょうがない。


「でも今日は誕生日祝ってくれるらしいからね。

 今日こそは楽しめるはずだよ。」

私は雛乃が淹れてくれたお茶を啜った。

ちゃんと美味しい。

65点くらいはあげられる。

「それならいいけど……。

 前に聞いてた時はいい人かと思ったのよね。」

そう言えば雛乃はこのみちゃんの元カノについて、色々聞いてるんだっけ。


「前の時はどんな人だって聞いてたの?」

せっかくだし質問してみた。

ろくでもないエピソード以外があるなら聞いてみたい。


「俗にいう……スパダリ?」

スーパーダーリン。

めちゃくちゃ彼氏力が高いことを指す。

嘘でしょ?


「私ももう半信半疑よ?

 でも羨ましくなるくらい、いい人だと思ってた。」

それから雛乃は当時の話を教えてくれた。


勉強で分からないことがあったら教えてくれる。

帰ったら美味しいご飯を作って待っててくれる。

嫌なことがあった日は一晩頭を撫でて慰めてくれた。

そんなような話を教えてくれた。


「それは中々だね……!

 でもフランの方がスパダリだから!」

「なんで張り合おうとするのよ。

 でも小鳥さんだってきっと負けてないわ。」


それからちょっと口論。

というよりフランと小鳥の良いところで山手線ゲーム。

横道に逸れたので割愛。


「くそ。小鳥のくせに。」

「くせにって言わないで。

 新入りも良いところたくさん知ってるのね。

 高校、一緒だったの羨ましいわ。」


そんな感じでゲームは中断された。

でもそんなにたくさんは言ってないよ。

小鳥のことめっちゃ好きだと思われるのは癪。

あとフランの良いところ山手線ゲームは私の圧勝。

当然。


それからしばらく、大して中身のない話をした。

腕輪を起動するとフランが家に居るのも感じる。

無事に帰れたようだ。


「じゃあ今日もフランが家で待ってるから。

 またね。」

雛乃に手を振って別れる。

「うん、また遊びにいくわね。」

雛乃も私に手を振った


帰り道。

このみちゃんから連絡が来た。


『お誕生日会、楽しんでます!

 今日はありがとうございました!』

そんなこのみちゃんからのメッセージ。

彼女に撮ってもらったのであろう、照れながら笑うこのみちゃんの写真も送ってきた。


私はその笑顔を見て、このみちゃんの幸せが続くことをひたすらに祈るのであった。

 

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