アジパーティーの下ごしらえ
アジパーティ。
それはアジで作った料理をひたすらに食べる会。
料理はアジフライ。なめろう。お刺身。炊き込みご飯。
さんが焼きというものもある。
60匹分のアジ料理。
それはきっと壮観だ。
「という訳なんだけど……。」
「え、えっとじゃあ私も手伝いますね!」
めぐるちゃんの手も借りることにした。
急にごめんね……。
「いえいえ!お魚は好きなので!
それに王子様に頼って貰えて嬉しいです!」
めぐるちゃんも料理上手だ。
手伝ってもらえると物凄く助かる。
今日の開催地はうちのアパート。
私の部屋と小鳥の部屋。
両方を使って行う。
「めぐるお姉様は捌き方分かりますか?」
「うん、大丈夫だよ。
どんどん3枚におろしていけばいい?」
めぐるちゃんにお魚を渡すと、テキパキと下処理をしてくれた。
私もフランからやり方を教えてもらったけど、私の方は少し身がグチャってなってしまった。
「2人と比べると美味しそうじゃないな……。」
私の捌いたやつはなめろうにするしかない。
「初めてにしては上出来ですよ!
初心者は内臓怖がっちゃいますし!」
めぐるちゃんがフォローしてくれた。
優しい……。
「でもお嬢様は料理上手にならなくていいですよ?」
フランがぼそっとそんなことを言った。
「うん、今日は特別だからね。
これからも頼りにしてるよ。」
フランは食事ができない。
だから料理を作ることで食事の時間を楽しんでる。
それを奪う気は毛頭ない。
「あ、あぶない!」
フランの頭を撫でようとしたらめぐるちゃんに止められた。
「?どうしたの?」
めぐるちゃんの目が険しい。
「手!」
めぐるちゃんに促されて自分の手を見る。
魚の内臓と血で汚れた手。
「うわ!あぶなっ!」
これで髪を触ったら大惨事だ。
こわっ!
「フランを撫でるのが癖になりすぎてた……。」
「私も気が抜けてました……。」
さすがにフランも顔を強張らせている。
お互いに頭を撫でるのが日常になりすぎてた。
今日はちょっと自重しないと……。
「早く終わらせて撫でて貰わないとです!」
フランの速度が上がった。
「じゃあ私も頑張らないとですね!」
めぐるちゃんの速度も上がった。
「じゃあ私も……」
「「だめです」」
2人に止められた。
「お嬢様はゆっくりでいいですよ」
「初心者なんですから、無理しないでくださいね!」
2人に止められたので、丁寧さを優先することにした。
みんな過保護だ……。
「じゃあ私はつみれ汁とさんが焼き作ってきますね!」
叩きにしたアジを持ってめぐるちゃんは自分の部屋へと帰っていった。
コンロの都合上、ここからは別行動だ。
「私たちはなめろうとアジフライ。
一緒に頑張りましょう!」
夕方にはみんながここに来る。
それまでにやることはまだまだたくさんある。
「うん、頑張るよ!」
頬を一度叩いて気合いを入れる。
これからが……。
「ぎゃっ!」
「お嬢様!?なにしてるんですか!?」
顔に魚の血と内臓が!
気持ち悪い!
「顔!洗ってきてください!」
「う、うん!ごめんね!!」
なんとも締まらない。
そんな感じでパーティの準備は滞りなく?進む。




