追憶①
まだしばらく月一投稿が続きそうです。
~はるか昔の世 クニが生まれ始めたころ~
ある少女は孤独であり孤独ではなかった。
この言葉を聞いたとき、皆矛盾していると思ってしまうだろう。だが、神格を持つ彼女にとっては当たり前のものになっていた。当然、そんな彼女の周りには多くの人が跪いていた。
「高天原様、お耳に入れたきことがございます。」
「なんじゃ。」
「はっ…。じつは最近、西の奴らの動きが活発になってきております。おそらくあと数日でこちらに攻めてくるかと。」
「ふむ…」
そういうと少女は少し考えこむ。
「相手の数はどれほどじゃ。」
「おそらく、1000はくだらないかと。」
その男の言葉に周りがざわつく。
「こちらはどれほど出せるのだ。」
「こちらは、農繁期ということもあり。…おそらく、出せても500くらいかと」
男の声に、周りのざわつきはさらに大きくなる。
「我々よりも多いいではないか。」「急ぎ民を集めればなんとか。」「そんなことをしてしまえば冬越えができなくなるではないか。」「ではどうするというのだ。」
「みな落ち着け。」
その言葉に、あれほど騒がしかったにも関わらずあたりは静まりかえる。
「案ずるな、奴らがこちらに攻め込んでくるのであれば。地の利はこちらにある。我々は奴らが来るまでの間、できるだけ数を減らしていけばよい。各々、準備をいたせ。」
「はっ。」
その一言に、それまでざわついていた面々が一斉に動きだす。
「それにしても、なぜこんな時期に…いやな予感がするな。」
~数日後~
普段は静寂に包まれている森は、今は怒号に包まれていた。
「本当に、いつの世も変わらないな人は。」
普段は生命を育むはずの緑の地は、人の赤い血で染められていた。
「それでも、戦わなければただ飲み込まれるだけだ。」
女の言葉に、そう男は言い放つ。ふたりの服装は、当時としては立派なものだった。
「そも、この戦いはあちら側からの要求が招いたこと。あのような条件、とてもではないが受け入れられない。」
「あの条件は我でも予想できんかった。今のところはこちらが優勢であるが、あちらがどう出るか。」
「しかし、奴らの拠点はもう目の前だ。それに、もはや相手の抵抗は弱まっている。」
この会話から数分後、男は後処理に追われていた。
「女子供を含む非戦闘員には決して手をだすな。」
「ふっ、我々の側でそのような馬鹿なことをするようなバカはおるまい。」
「我々のクニは急激に大きくなりすぎた。警戒しておいて損はない。それより、ここか。」
そういって、一番大きな建物の中に入ると、その奥には少女が座っていた。
「もうここまで入ってきたのか…我々は負けたのだな。」
「我々ということは、あなたがここの王か。」
「正確には愚かにも人に持ち上げられていたにすぎないがな。」
「お主、もしや我と同じのものか。」
そう女は話しかける。
「そうじゃな。しかし、我はこの通り民に見捨てられた存在。煮るなり焼くなり好きせよ。」
「そうか、じゃあ好きにさせてもらう。」
「なにをする気じゃ。」
少女の方に男は近づいていき、少女は少し身構える。
「いや、連れて帰る。」
「「はっ?」」
男の言葉にふたりの呆けた声が重なった。
いつもお読みいただきありがとうございます。もし誤字脱字がございましたらお手数ですがコメントにてお教えいただければ幸いです。
またこの物語はフィクションでございます。決して間に受けてはいけません。またいかなる実在する組織、団体、国家等とは一切関係ございません。
~次回 追憶②~




