渋谷ダンジョン④
久しぶりに書くと書けなくなるものですね。
~数分後~
あれからしばらく休憩した後、ふたりの調子も戻ってきたため再びダンジョン探索を再開していた。
相変わらずダンジョンのなかは異様な程静まりかえっており、先程からモンスターの影すら見えない。
「いま本当に60階層なんですか。」
ふと、愛美がそんな言葉を漏らす。そんな愛美の疑問に日葵さんが答える。
「まあ、おそらくご丁寧なことに『HUMAN』がモンスターを間引いてんだろう…十中八九罠だろうな。しかし、このダンジョンに入った時点ですでに手遅れだと考えていい。」
そんなことを話していると目の前には信じられない光景が広がっていた。
「なっ、これはいったい!?」
「これは…なんでこんなところに森があるの。」
日葵さんは声を出して驚いている。なぜなら本来ダンジョンのなかではありえない光景が目の前にあったからだ。そんな僕たちがこの状況に困惑しているなかでふたつの足音がこちらのほうに近づいてくる。
「お久しぶりですね、日葵さん。お元気でしたか。」
「まさかもうこんなところに来てしまうなんて。さすがですね。」
「お前ら無事だったのかッ。」
そういいながら日葵さんがふたりの方に近づいていく。
「それにしてもなぜお前たちと連絡がつかなかったんだ?」
「それがこれで・・・」
そういいながら取り出したのは真ん中に風穴が空いた通信機だった。
「なんでこんなきれいな風穴が空いているんだ?」
そう呆れ気味に言う日葵さん。どうやらいつものことみたいだ・・・
「実はいつの間にか通信機を落としてしまっていたみたいで。見つけたときにはもうこんな感じになってたんです。」
「こいつに持たせておくべきじゃなかった。」
「なぜすぐに報告するために戻らなかった。」
日葵さんが少しきつめの顔で詰め寄る。
「だって~、通信機壊したの今月で三回目なんだもん。今度見せたら容赦無く報酬から引かれるんだもん。」
「ダンジョンのなかで使える通信機は特別高いから、私たちが受ける依頼の報酬でも3割は軽く持っていかれる。」
「まずそもそもなくさないように気を付ける考えはないの。大体なぜあなたが持っていないの、一華。」
「ジャマだから仕方がない。」
「あのぉ、すいません。そのお二人は一体?」
「あぁ、ごめんね翔君。こっちのふたりは口数が少ない方が長女の樋口 一華、ドジっ子の方が樋口 茜。ちなみに私たちが探していたのはこのふたりだ。」
「じゃあこのふたりが僕たちが探していた人たちですか。」
「ああ、そういえばこの後はどうしようか。ふたりはまだいけるか。」
「「まあ、大丈夫です。」いけます。」
「まあ、翔君たちもその前に自己紹介をしましょうか。」
さすが双子というべきか息ぴったりで返事が返ってきた。
その後僕と愛美も自己紹介を済ませた。
「そういえば日葵さん。」
「ん、なんだ愛美?」
「いや、ふたりとも見つけたんだから瑞穂さんに報告しなくていいのかなと。」
そう愛美が言うと日葵さんが焦って通信機を取り出し電源を入れる。
「瑞穂、聞こえる?」
「・・・日葵?聞こえてるわ、どうしたの?」
「あぁ、一華たちが見つかった。ふたりとも無事だ。あ、あとまた茜が通信機を壊してしまったらしい。」
「…。」
ひっ。そういって日葵さんが通信機をその手から落とす。普段の日葵さんでは考えられないような声にならない悲鳴を上げていた。
「日葵さん・・・?」
疑問におもい近づくと日葵さんの顔は真っ青になっていた。
「ちょっ・・・大丈夫ですか日葵さん。」
「大丈夫よ、ちょっとトラウマが頭によぎっただけ。」
(まあ、日葵さんが昔、何かやらかして瑞穂さんを怒らせたんだろうな。)
「ちょっと借りますね、日葵さん。」
そういって地面に落ちている通信機を手に取って話を再開する。
「日葵さんが話せそうにないので僕がかわりますね。」
「あぁ、翔君。日葵がごめんなさいね、それと怪我はない?」
(いつも通りの瑞穂さんだな。)
「それにしても、またあの子たちったら通信機を壊したのね。今度という今度は容赦しないわ、帰ってきたらちゃんとお説教しないと。」
ちらっと本人たちを見てみるとふたりは日葵さんの顔の青さといい勝負をしていた。
「それで瑞穂さん、この後はどうしましょう。このままふたりを連れてダンジョン探索を続けた方がいいですかね。」
少し間が空いた後瑞穂さんから返事が返ってくる。
「いえ、一旦かえってきてもらってもいい?」
(ふたりとも無事だとはいえ、この人数でこのまま調査を続けるのは危険だから当然の判断か。)
「そういえば、ダンジョン内の環境が森のような環境に変化しているんです。」
「…とりあえず早めに帰還してもらってもいい?あと、念のために通信機の電源はつけたままにしておいて。」
「分かりました。日葵さんと愛美、あとおふたりもとりあえずここから出ましょう。」
ダンジョンから出るために歩いていると突然通信機がつながらなくなる。
「瑞穂さん?聞こえますか?」
かえってくるのは雑音しかかえって来ない。そんなとき愛美から声がかかる。
「ねぇ、お兄ちゃん止まらないでよ。」
ダンジョンとのちょうど境界あたりに手を当てるとそこには壁のような感触があった。それはどこを触っても同じだった。
「みんな、僕たちこの空間に閉じ込められたみたいだ…」
「…え?」
僕の言葉にその場の時が少し止まった気がした。
いつもお読みいただきありがとうございます。もし誤字脱字がございましたらお手数ですがコメントにてお教えいただければ幸いです。
またこの物語はフィクションでございます。決して間に受けてはいけません。またいかなる実在する組織、団体、国家等とは一切関係ございません。
~次回 分かれていた道①~




