ファントムナイトの策略
するとその瞬間――
「「馬鹿なのはどっちだ?」」
階段の上と下から、同時にそう声が聞こえた。――って!?
俺は慌てて上を見上げる。するとそこには――
「お前ら……!」
数人の幻影の騎士団が、階段を上がったすぐのところに居た。そしてそれだけではなく、
「こっちにも居るわ……!」
俺たちから逃げ場を無くすように、気が付けば後ろにも数人の幻影の騎士団が居た。
クソったれ……さっきはバカなんて呑気に言ってたが――本当にバカなのはこっちだったって事かよ……
俺はあまりにも綺麗に相手の罠に掛かったという事もあり、苦笑いをした。
とにかく、まずはこの状態から変えなくては。
俺は足りない頭で考える――が、良い案が出る前に、
「お前ら!やるぞ!」
幻影の騎士団は俺たちを挟み撃ちにしようと、その掛け声と共にこっちへ近付いてきた。
「……ッ!」
それに対して俺は杖を構え、魔法を放とうとする――が、こんなところで魔法を撃てば、こっちにも被害が来るのは目に見えていた。
セリヤも剣を抜いて対抗しようとしているが、この状態は流石に分が悪過ぎる……
「クソったれ!」
あぁもうこうなったら一か八かだ!!
俺は杖を自分の服と背中の間に差し込むと、セリヤの頭と足の部分に手を持って行き――
「ちょっと我慢しろよッ!」
「ちょ!?」
お姫様抱っこの様に持ち上げた。
そして――
「おらァァァ!!」
軽く沈み、足に力を入れると、前方から襲いかかって来る幻影の騎士団を飛び越え階段の一番上で着地した。
「はぁはぁ……何とか上手く行ったか。」
サブスキルを手に入れててよかったぜ、全く。
[身体能力強化]なんてもん持って無かったら絶対今みたいな無茶なこと出来なかっただろうな。
「大丈夫か?」
俺はすぐにセリヤを地面に降ろすと、顔を見ながらそう言う。
するとセリヤは、
「あ、ありがとう……」
今になって恥ずかしくなったのか、俺と目が合うとすぐに逸らし、頬を紅くしながらそう言った。
はぁ……俺またキモイ事しちゃったかねぇ――なんて、今は考えてる場合じゃないか。
「セリヤ、とりあえず今はあいつらだ。」
俺は視線を今飛び上がって来た階段の方に向けながらそう言う。
「挟み撃ちは出来なくなったが、まぁ良い。」
幻影の騎士団は、階段から上がって来ると、そう言いながら俺たちとの間合いを少しずつ詰めて来ていた。
「これはこれでまた厄介なことになったわね……」
「だな。」
こいつらは人数こそ今までと比べれば少ないが、それでも10人は居る。
それにさっきの様に走って逃げる事は出来なそうだからな。
「こんな狭い通路なら、魔法を撃つことも出来ないだろ?」
そんな俺たちを煽るように、幻影の騎士団のひとりがそう言いながら更に間合いを詰めてくる。
「くっそ……」
俺は後ろに少し下がろうとした――その時、
「剣は使えるわ、貴方たち、私の持っている物が見えないのかしら?」
横にいたセリヤが、幻影の騎士団のひとりが放ったセリフを嘲笑うかのようにそう言う。
そしてそのまま俺の方を見ること無く続けて、
「テツヤ――こいつらは私が引き受けるわ。だから先に行って。きっと王様の部屋まではもうすぐよ」
剣を構えながらそう言った。――って!?
「それは流石に――」
俺はそう、先程のローズオーラに言った時と同じ様に反対しようとする――が、そこで俺は言葉を止めた。
俺がここに居ても邪魔にしかならないことに気付いたからだ。
先程幻影の騎士団の奴らが言った様に、こんな狭い空間で魔法を放てば確実にこっちにも被害が出る。
だから俺は、
「すまねぇ――任せるぞ……!」
そう言うと、幻影の騎士団たちの反対側、先へと続く道に身体を向け、走り始めた。
「ひとりが奥へ行くぞ!止めろ!」
俺が走り始めると、後ろからすぐにそう声が聞こえる。
しかし、
「貴方たちの相手は私よ!!」
その声にも負けないくらいのセリヤの叫び声が聞こえ、その後すぐに剣と剣がぶつかり合う音が聞こえ出した。
クソ……絶対に俺がこの作戦を成功させてやるからな……!
俺は振り返らずに、長い廊下を走り続けた。
面白いと思ってくれた方は☆☆☆☆☆を押して下さると、嬉しいです!!そして是非ともブックマーク登録をして頂けるとありがたいです!凄く励みになります!




