表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

91/98

侵入


 作戦の最終確認が終わった後、俺たちはすぐに、以前一度リッチゾーンに入った時にくぐった、ゾーンを仕切る壁の方へと歩き始めていた。

「見えてきたな。」

 冒険者たちの先頭を歩いている、今回の作戦のリーダーであるラークが俺にそう言う。


「あぁ、そうだな。」

 そのすぐ後ろを歩いていた俺は、それにそう返した。

 はぁ……あの壁を見たら前ここに来た時のことを思い出すぜ、まぁ今日は壁の横にいる見張りの男に頼み込んで門を開けてもらうのではなく、魔法で吹き飛ばすんだがな――と、今の文章を見て気付いたやつもいるだろう。


 そう、門の場所には見張りが立って居るのだ。

 だから当然、堂々と魔法を撃つことは出来ない。出来るだけ無駄な戦闘は避けたいからな。

 だから当然、俺たちはそれに対しても対策を立てていた。

「止まれ、そして全員しゃがめ。」

 ラークは、見張りの男が普段通り居ることを確認すると、俺たちにそう指示を飛ばす。


 それを聞いた俺たちは、すぐに止まり、その場にしゃがみ込んだ。ちなみに何故しゃがむのかと言うと、見張りの男から見て俺たちのいる道は下り坂で、しゃがんでいれば向こうから見られる事は無いからだ。


 そしてそのまま、俺たちは黙って待つ。

「……もうそろそろのはずだ。」

 ラークが、太陽の位置で大体の時間を確認しながらそう呟く。

 ん?いい加減その対策ってのはなにか教えろって?そうだな、じゃあ簡単に説明する。

 その対策ってのはな――


 その瞬間、

「フォォォ!!!リッチゾーンに入るぜぇぇぇぇぇぇ!!」

 俺たちから見てゾーンを仕切る壁の右側の方から、そう叫び顔が聞こえた。

「よし、来た……!」

 その声を聞いて、ラークはまず時間が合ったことに小さくガッツポーズをする。


 そう、今の叫び声こそが、あの見張りの男に対する、俺たちの対策だったのだ。

 あの叫び声の主はひとりの冒険者でな、ああやって叫んで、見張りの男をそっちへ行かせるってのが俺たちの狙いだ。――ん?上手くいかないと思うか?まぁ見てろって。


 俺たちは心拍数を上昇させながら見張りの男を凝視する。

 もちろん、ここで上手くいかなくて、もしそのまま俺たちがあの見張りに見つかったりしたら、作戦は失敗に終わるからだ。それに、きっとめちゃくちゃ警備を厚くするだろうしな。だから絶対にここは上手く行かなくては行けないのだ。


 すると、最初は無視をしていた見張りの男も、こうして俺がお前らに説明している間も叫ぶ役の冒険者が休まずに「リッチゾーンに入る!!」と、叫び続けていたという事もあり、門に持たれかけていた背中を離し、叫び声の方へ歩いて行った。


「よし!」

「なんとか上手く行ったわね……!」

 それを見た俺たちは、バレないように小さな声でそう言う。

 しかし、ここで休んでは行けない。ここからは、完全にスピード勝負なのだ。

 まず、あの監視役の男が戻って来るまでに俺たちは門を破壊し、中に侵入しなくては行けない。

 そしてその後も王に逃げられる前に、城の王室へと行かないと行けないからな。


 だから、それを一番良く理解しているラークは、男が俺たちの視界から消えた瞬間、

「よし!お前ら!これからリッチゾーンへ入る。ここからはスピード勝負だ!気を緩めるな!」

 みんなにそう喝を入れ、

「テツヤ、さっき話した通り、魔法で門を吹き飛ばしてくれ。」

 俺の方を向き、そう言う。


「おう、任せとけ!」

 俺はそれにそう返す。するとその瞬間、

「よし!じゃあ走るぞッ!」

 ラークはそう言うと同時に立ち上がり、門の方へと走り出した。

「行くぞッ!!」「目にもの見せてやる!!」

 それを見た他の冒険者たちも、口々にそう周りや自分を鼓舞しながら立ち上がり、ラークに続いて走って行く。


 そして俺は、走りながら杖を門の方へ向け、

「草木を燃やせ、ファイアボールッ!!」

 ラークの指示通りファイアボールを放った。


 するとそのファイアボールは真っ直ぐ門の方へ飛んでいき、見事に命中。大爆発を起こし、門を吹き飛ばした。

「よし!お前ら!まだ砂煙が上がっているが、足を止めるな!このまま入るぞ!」

 それを見たラークはそう声を上げ、ファイアボールの爆破によって巻き起こった砂煙の中に突っ込んでいく。

 確かにこの行動は危ないかもしれない。待ち構えられている可能性もゼロでは無いからな。


 しかし、こうして攻撃をしたことによって音に気付いた幻影の騎士団(ファントムナイト)たちがすぐに集まって来るだろうから、ここで足を止めることは出来ないのだ。

 そうして俺たちは目の中に砂が入らないよう、顔を手で覆いながら砂煙の中を走っていると、すぐに砂煙は無くなり、変わりに目の前の景色が視界いっぱいに広がる。


 そこは紛れも無い、俺が前入ったリッチゾーンだった。

面白いと思ってくれた方は☆☆☆☆☆を押して下さると、嬉しいです!!そして是非ともブックマーク登録をして頂けるとありがたいです!凄く励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ