表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

69/98

漆黒龍


「それがな……さっきグーネウム帝国のすぐ近くで恐ろしいモンスターが出現したという報告が入ったらしいんだ。」

 俺の質問を聞いたラークは、腕を組むと険しい顔をしながらそう言った。


「恐ろしいモンスター?」

 ラークのセリフを聞いた俺はそう言う。

 いや、恐ろしいモンスターって言われても分かんねぇよ。だってモンスターは元々恐ろしいじゃん。スライムだってサラマンダーだってオーガだって。

 それは変わらねぇよ。

 するとラークは、

「あぁ、名前は漆黒龍(ブラックドラゴン)と言うらしい。」

 真剣な顔でそう言った。――って、


 ぶ、ブラックドラゴンだって?

「そ、それ誰が名ずけたんだよ……?」

「は?いや、多分昔の冒険者だと思うが。」

 ラークはまさか最初に来る質問がモンスターの名ずけ主のことだとは思っていなかった様で、少し困惑していた。

 いや、でも気になるだろ?だって漆黒龍(ブラックドラゴン)だぜ?絶対名ずけたの中学生だろ。


 ま、まぁこのことは今は良いとして、

「ふぅ……」

 俺は気持ちを入れ替える為に深く息を吐くと、

「で、そいつは強いのか?」

 今、一番必要な情報を聞いた。まぁ、夜中にこのモンスターのせいでみんな冒険者ギルドに集まってるんだから、只者では無いだろうが。

 するとラークは、先程と同じく腕を組んだまま、こう言った。

「いや、このモンスターは長年姿を現していなくてな、最後に現れたのが10年前なんだ。」


 なるほど、なんだが死の道(デスロード)のゴブリンキングを彷彿とさせる様なやつだな。

「10年前にラークは冒険者をしてなかったのか?」

「あ、当たり前だろ!俺、そんなに老けて見えるかよ!」

「す、すまん」

 やべ、失礼なこと言っちまった。

 でも、ラークがその時に冒険者をしてなかったとしても、覚えてるんじゃないのか?いくら10年前だからと言って、そんなモンスターを忘れねぇだろ。


「でもよ?最後に現れたのが10年前なら、ラークも覚えてるんじゃないのか?」

「確かにそうね」

 俺の意見に黙って聞いていたセリヤがそう同調する。しかし、ラークは、

「いや、俺も実はグーネウム帝国に来たのは数年前なんだ。だからその時の事は覚えてないんだ。」

 そう言った。


 そうだったのか。この街の事を色々教えてくれたりしてたからずっと住んでるのかと思ってたぜ。

 でもこれじゃ、漆黒龍(ブラックドラゴン)がどんなやつか分からねぇじゃねぇか。

 もし仮に俺たちが漆黒龍(ブラックドラゴン)と戦うとなったとして、流石になんの情報も無いのは不安だぞ?

「……」

 俺たちは周りにいる冒険者と同じ様に険しい顔で腕を組む。

 するとそこで、

「あ、あの」

 受け付けのお姉さんが何やらノートの様な物を手に持って、こちらへ歩いてきた。

「このノートに書いているんじゃないでしょうか?」

 お姉さんは、そう言いながらノートの表面に書かれた文字を見せてくる。そこには「グーネウム帝国被害記録」と書かれていた。

 ん?このノートって今までにグーネウム帝国で起こった出来事とかを記録してるノートか?確かにこれになら……!


「これなら載ってるかもしれない……!」

 ラークはひとつの希望の光を見つけたという感じにそう呟くと、お姉さんから「グーネウム帝国被害記録」を受け取り、ページをパラパラと昔に遡って行く。

 するとしばらくして、

「あったぞ……!日付も10年前だ……!」

 そう言った。


「なんて書いてあるんだ?」

 俺はそうラークのセリフに食いつく。

 するとラークは、そのページに書いてある情報を読み始めた。

「モンスター名、漆黒龍(ブラックドラゴン)。被害者総数、58名、うち54名がグーネウム帝国所属冒険者。モンスターの見た目は夜だった為定かでは無いが、全長10メートル程、生存した冒険者の話によると……ん?」

 そこでラークは読むのを止め、顔を険しくした。


「どうした?」「どうかしたの?」

 それに対して俺とセリヤが同時にそう聞くと、ラークは、

「いや、ここに書いてることがな……」

 意味深にそう呟いた。

 何が書いてるってんだよ?まさかそんなにやばい事が書いてるのか?

「なんて書かれてるんだ?」

 俺はラークにそう聞く。するとラークは、

「生存した冒険者の話によると、ドラゴンの首から下の辺り以外はまるで身体が霧かと思うほど攻撃しても抜けていったらしい……」

 そう言った。って、それどういうことだよ。


「身体が霧?それってどういうことだ?」

「俺にも分からない……」

 俺とラークがそう頭を悩ませていると、セリヤが、

「あ、今思い出したわ。この話どこかで聞いたことがあると思ってたけど、昔お父さんから話してもらった事があるわ。」

 そう言った。

面白いと思ってくれた方は☆☆☆☆☆を押して下さると、嬉しいです!!そして是非ともブックマーク登録をして頂けるとありがたいです!凄く励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ