衝撃の報酬ゴールド額
「大丈夫だ。俺たちはお前が思ってるよりも強い。」
「えぇ、だから貴方が心配する必要は無いわ。」
俺たちがミリゴ出身という事を知り、オーガに挑むことを止めてきた冒険者に俺とセリヤはそう言った。
「......そうか?」
「あぁ、信じてくれ」
俺は冒険者の目を真っ直ぐ見ながらそう言う。
すると冒険者は、
「……分かった。でも気を付けろよ?」
俺たちにそう言った。
コイツは話が分かるやつだったみたいだな。
「おう、教えてくれてありがとな。」
俺は冒険者に一番報酬ゴールド額が多いモンスターを教えてくれた礼を述べる。
その後、オーガ討伐クエストの紙をクエストボードから取った俺は、それを持って受け付けへと歩いて行った。
「こんにちは。テツヤさん、セリヤさん。クエストの発注ですか?」
俺たちが受け付けの前まで歩くと、受け付けのお姉さんがそう言葉を掛けてきた。
「あぁ、そうだ。」
その言葉にそう軽く返した俺は、さっきクエストボードから取ってきたオーガ討伐クエストの紙をお姉さんの方に差し出す。
それに対してお姉さんは、
「はい、じゃあ確認しますね。」
柔らかい笑顔でそう言うと、俺が差し出した紙を受け取り、そのクエストで討伐するモンスター名が書かれた箇所に目をやった。するとその瞬間、
「……ッ!?」
お姉さんは目を見開き、俺たちの顔とモンスター名を何度か往復して見た後、昨日登録した俺とセリヤの情報が載っている紙を取り出し、それを確認した。
「やっぱり……」
確認し終えたお姉さんは小さな声でそうつぶやくと、俺たちの方を向き、苦笑いをしながら、
「オーガ......ですよね……?あの、正直お二人が倒せるレベルのモンスターでは無いと思うのですが......」
そう言ってきた。――って……はぁ……
やっぱり受け付けの人にもあのセリフを言わなきゃいけないようだな。
俺はお姉さんのセリフを聞いた後、はぁ、とため息を吐くと、もう何度言ったかも分からない様なあのセリフを吐いた。
「大丈夫だ。俺たちは強い。」
それを隣で見ていたセリヤは、さっきの俺と同じことを考えていたんだろう。「何回言うのよそのセリフ」と言いたげな顔で苦笑いしていた。
いや、俺も嫌なんだよこんなナルシストじみたセリフを吐くのは。まぁ、強いのは本当だが?(キリッ)
すると、そのセリフを聞いたお姉さんは、俺の事をナルシストだと勘違いしたのか、痛いものを見る様な視線を向けてきていたが、このやり取りのせいで後ろが詰まり始めていたという事もあり、
「……分かりました。では、詳細をお渡ししますので、少々お待ち下さい。」
それ以上俺たちを止めようとはしなかった。
「ふぅ……」
俺は何とかクエストを受けられる事になり、そう安堵の声を漏らした。
受け付けがこの程度の時間で詰まり出すというのは今すぐ改善した方が良い事だろうが、今回はそれに救われたな。
それからしばらく(と言っても30秒程だが)待っていると、受け付けのお姉さんは、
「この紙にモンスターの居る場所と報酬ゴールド額。そしてクエストを受ける上での確認事項が書いてあるので、全て読み終え、承諾していただいたら、下の空欄部分に名前を書いて下さい。」
俺たちにそう言いながら紙と羽根ペンを渡してきた。
なるほど。要するにこの紙は「このクエストで死んでも私らは責任とらへんから、そこんとこ分かっといてや」的な意味も含まれてるって訳だな。
前の世界でもバンジージャンプとかでこういう紙、書かされた気がするぜ。
ミリゴの場合は「はい、分かりました。では、行ってらっしゃいませ。」的なセリフで終わりだったからこんな紙にサインしなくちゃいけないなんて知らなかった。やっぱりでっかい街なだけあってそういうとこはちゃんとしてるんだな。
「あいよ」
俺は丁寧に説明をしてくれたお姉さんにそう返すと、早速報酬ゴールド額の書かれたところに目をやった。
当然だ。もし少なければクエストを変更するつもりだからな。
「えーっと、報酬ゴールド額は――」
俺はそう呟きながら報酬ゴールド額を見た――って!?
その瞬間、俺に衝撃が走った。
「嘘だろ……」
俺は口からそう言葉を漏らす。
いや、ガチでやばいんだよ……こんな額のクエストは見たことねぇって。
すると、
「なになに?まさかいっぱいゴールド貰えるの!」
俺の異様な反応を見て報酬ゴールド額が凄まじい事に気づいたのか、セリヤが目をキラキラさせながらこっちを見てくる。別にこれに関してはセリヤに隠す必要はねぇからな。
俺は未だに衝撃でプルプルと震えている手をセリヤの方に伸ばすと、紙を渡した。
「どれどれ――」
それを受け取ったセリヤは、ワクワクしながら報酬ゴールド額のところを見た。するとその瞬間、
「ひゃ、100ゴールドですって!?!?」
セリヤがそう叫び声を上げた。
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