オーガ
なんとクエストボードに掲載されているクエストには場所とモンスター名のみで、報酬ゴールド額は全く書かれていないのだ。
まぁ、だいたいその理由は周りを見ていれば分かってくるが。
さっきから見ていると、冒険者たちはクエストを決めると、そのクエストが掲載された紙をクエストボードから取り、受付の方に持って行っている。
恐らく、そこで報酬の確認をしてから、本当にこのクエストを受けるのか決めるのだろう。
そんな面倒な事しなくても、クエストの紙に報酬ゴールド額を書いとけばそっちの方が楽だとは思うがな。
でも、そこで忘れてはいけないのが冒険者は死と隣り合わせの職業と言うことだ。
冒険者たちは毎日命を賭けてモンスターたちと戦っている。だから報酬の見間違えなんて絶対に起こってはいけないことだ。だから受け付けのお姉さんが直接伝えるという形なんだろうな。
っと、少し話が変な方向に行っちまった様だ。
とにかく、報酬のゴールド額が分からない限り、むやみにクエストを選ぶのはやめた方が良さそうだな。
だってそれで仮にクエストを決めたとして、報酬ゴールド額が少なかったらメアリーが幻影の騎士団に払う分のゴールドを稼げないかもだし、何よりも一日に二回クエストを受けるのはごめんだからな。
......仕方ない。この街の人間は親切なやつが少ないからあまりこの手段は有効には思えないが、物は試しだ。
俺は近くにいる冒険者に、報酬ゴールド額の高いモンスターを教えて貰うことにした。
「なぁ、教えて欲しい事があるんだが、」
「ん?なんだ?」
俺はちょうど隣でクエストボードを眺めていた冒険者にそう声を掛ける。
よし、初動は悪くねぇぞ。
「俺たちこの街に来たばかりで、これから初めてクエストを受けるんだが、この中で一番報酬ゴールド額が高いモンスターはなんだ?」
「倒したら一番ゴールドを貰えるモンスターか、そうだなぁ......」
俺の質問を聞いた冒険者は、腕を組むと円形のクエストボードの周りをくるくると回りながら、クエストを確認しだした。
そして、一周まわって帰ってくると、
「今受ける事の出来るクエストを全て確認したが、この中だとオーガだな。」
そう言った。
「オーガ?どんなモンスターなんだ?」
モンスター名を聞いた俺は、すぐさまそう聞く。
その名前は、ゲームで聞いた事もあるような気がしたが、どんなモンスターかは知らなかった。
「簡単に言えば、巨人だな。まぁ顔は化け物だが。」
冒険者はそう答える。
なるほど、オーガってのは人型のモンスターなのか。人型と言ったらゴブリンキングを思い出すな。
そのオーガってのもゴブリンたちの様に知能が高いのだろうか?
俺は色々とそのオーガってやつの事を頭の中で考察したが、そんな事をするよりも目の前にいるやつに聞いた方が早いよな。
「強いのか?ソイツは。」
俺はそう聞く。
すると冒険者は、
「お前ら、前はどこで冒険者をやってたんだ?」
そう聞き返してきた。
はぁ......また出たよ。
どうせこれでミリゴって言えばバカにされるんだろうな。
まぁもう慣れたから別に良いが。
「……ミリゴだよ。」
俺はそう言うと、
「ミリゴだって!?お、お前ら......悪いことは言わない、オーガはやめとけ。」
文字の通りにものすごく驚き、そう言ってきた。
ほらな。やっぱりこの街ではミリゴの冒険者は最弱として扱われているみたいだ。
まぁこいつの場合はバカにしてるとかじゃなくて単純に心配してるんだろうが――
俺はこの街で何度もされた反応にため息を吐くと、
「大丈夫だ。俺たちはお前が思ってるよりも強い。」
そう言う。更に、
「えぇ、だから貴方が心配する必要は無いわ。」
横で俺と冒険者のやり取りを見ていたセリヤが、俺のセリフに同調した。
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