交換条件
「実はもう来てるんです。」
俺とセリヤの会話を聞いていたメアリーはそう言った。
え!?もう来てる!?
「もう来てるってどういう事だ……?」
俺は衝撃のセリフを放ったメアリーの方をゆっくりと見ながら、恐る恐るそう聞く。
するとメアリーは、
「幻影の騎士団の人達が、毎日高額のゴールドを取りに来るんです。それで払えなくなったらプアゾーン行きだって。」
そう言った。
な......それって完全にプアゾーンに行かせようとしてるじゃねぇか!
っていうかそもそもメアリーは幻影の騎士団に出すゴールド。持ってるのか?
俺はこんなに優しいメアリーに対して、そんな事をする幻影の騎士団にふつふつと湧いてくる怒りを押さえながら、
「幻影の騎士団に払ってるゴールドは、どこで稼いでるんだ?」
そう聞く。
だって一人の女の子が、幻影の騎士団に払っている高額のゴールドを稼いでいるとはとても思えないからだ。
……もし仮に稼いでいるとしたら、多分その仕事は合法な物では無いだろうからな。
するとメアリーは、
「私は稼いで無いです。というかどこも働かせてくれません。」
そう言った。
ん?働いてないのか?じゃあ余計に幻影の騎士団に払っているゴールドがどこにあるのか分からないんだが?
「じゃあ幻影の騎士団に払ってるゴールドは何なんだ?」
俺は働いていないと言うメアリーにそう聞く。
するとメアリーは、
「実は幻影の騎士団に両親が連れて行かれた後、私は机の上に置き手紙がある事に気付いたんです。
そしてそれにはこう書いていました。「ベットの下を見て」と、それでベットの下を見ると、そこには大量のゴールドがあったんです。」
そう言った。
なるほどな、メアリーの親がもしもの時に備えてゴールドを隠してたって事か。
「それでその両親が隠してくれていたゴールドを幻影の騎士団に払ってるって訳か。」
「はい。そうです。」
それはゴールドを隠してくれていた両親に感謝しなくちゃいけねぇな。
でもそのゴールドだけじゃ時間に限りがあるんじゃないか?
「そのゴールドで、後どれくらい持ちそうなんだ?」
俺はそうメアリーに確認を取る。
するとメアリーは、
「それが......」
そう言い何やら言いずらそうに下を向いた。
ん?
「それが、なんだ?」
俺は下を向いたメアリーにそう聞く。
するとメアリーはか細い声で、
「後三日程しか持たなそうなんです。」
そう言った。って!?三日!?それってヤバいじゃねぇか!?
「三日って......大丈夫――じゃないわね。」
「はい......私、もうすぐプアゾーンに行くと思うと、怖くて。」
そこでメアリーは、今まで何とか押しとどめていた物が崩れたように、泣き出した。
怖いんだろうな......恐らくプアゾーンでの暮らしはとても過酷なんだろう......どうにかしてあげられないのだろうか――ん?ちょっと待てよ?
そこで俺は頭の中に一つの案が浮かんだ。
それは、メアリーが払わなくてはいけないゴールドを俺とセリヤが稼げば良いって案だ。
「なぁ、それって俺たちが稼いだゴールドをメアリーに渡して、メアリーはそれを払えばもう少し長くここに居られるんじゃないか?」
俺はそう言う。
するとその案に、
「それ良いわね!」
セリヤも乗って来た。
しかし、俺の案を聞いたメアリーは、
「それはそうですけど......悪いですよ。それに--失礼かもしれませんが本当に高額のゴールドを払わないと行けないんです。テツヤさんや、セリヤさんが稼げるとは......」
涙を手で拭いながらそう言った。
ふっ......やはりメアリーも俺たちの事を見くびってる様だな......
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