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グーネウムの冒険者達


「これはすげぇ!」

 俺はグーネウム帝国の入り口を見た途端口からそう声を漏らした。

 そこはミリゴの街のように自然豊かとは真逆で、至る所に店家店家!人の数も全然違った。

「早く行きましょ!」

 セリヤが、鼻から息をフンフンしながら俺にそう言ってくる。


 コイツ、どんだけ楽しみだったんだよ。まぁたまに出るこういう子どもっぽい所も可愛いんだがな。

 俺は興奮で頬っぺを真っ赤に染めているセリヤを見ると、優しく「あぁ、分かってるよ。じゃあ、行くとするか。」

 爽やかな声でそう言おうとした。


 しかし、現実は残酷だ。

「あぁ、分かっ......て!?」

 なんとセリヤは俺のセリフを聞き終える前に、服の襟首を掴み、引きずりながら無理やり歩き始めた。

 ちょ!いきなり引っ張るなって!首締まる首締まる!

「ちょ!離せ離せ!歩くから!歩けるから!」

 俺は必死にセリヤにそう訴えかけるが、

「グーネウム帝国!グーネウム帝国!」

 セリヤはニッコニコでそう呟いて、俺の言葉なんて全く届いていなかった。


 話聞けよコイツ!?

「うげぇ……」

 こうして俺とセリヤは、グーネウム帝国へと足を踏み入れたのだった。



「とりあえず、腹が減ったから何か食べようぜ。」

 あの後何とか離してもらった俺は、ミリゴとは全く違う、グーネウム帝国の街並みを眺めながらセリヤにそう言う。

 今、太陽は俺たちの真上に位置している。

時計が無いから分からないが、恐らく真っ昼間だろう。

 朝のキノコ料理を食べてから何も食べてない俺は腹が減っていた。


「えぇ、そうね。何か食べ物屋を探しましょう」

 セリヤは、俺の意見にお腹をぐぅ〜っと鳴らしながら同意した。

 腹が減っているのは俺だけじゃ無いみたいだな。


 それからしばらくグーネウム帝国の大通りを歩いていると、それっぽい建物を見つける。

「こことかでいいんじゃないか?」

 俺は指をさしながらセリヤに対してそう言う。

 何もかも分からない所なんだから、店を選ぶのも時間の無駄だろう。まぁ正直な所、早く食べたいだけなんだが。

 するとセリヤは、俺が指さした店を見た後、

「えぇ、そうね。ここにしましょう。」

 そう言った。


 店を決めた俺たちは、扉を引いて店内に入ると、そこで食事をしていたのは俺たちとは比べものにならない、どデカい体格のムキムキ冒険者たちだった。

 まさかここ、冒険者たちが集まる酒場てきな所だったのか、にしてもコイツら、ミリゴの冒険者とは全く違うな。


 するとそこで食事をしていた冒険者たちは、俺とセリヤが店に入った瞬間、俺たちの方を見た瞬間、

「見ない顔だな」「旅人か?」

 口々にそう仲間内で喋りだし、その中の一人が、俺とセリヤが持っている武器を見て俺たちが冒険者だと言う事に気付いたのか、

「お前ら、どこの冒険者だ?」

 そう聞いてきた。


 まぁこの街は色んな所から冒険者が来るんだろう、気になったりもするか。

 「ミリゴだ。」

 俺は聞いてきた冒険者の方を見ながらそう言った。

 するとその瞬間――

「「ハハハハ!!」」

 店の中にいた全員がそう笑った。


 ん?なんだ?コイツら、やな感じだな。

 すると、店の中にいた一人が、

「ミリゴって、気色悪い趣味を持ったジェイドと、腰抜けのギルがいる所じゃねぇのか?」

 笑い混じりにそう言う。

「そうだそうだ!懐かしいなぁ!」

 他の冒険者もそれに乗っかり、更に笑い声が大きくなった。


 チッ、なんでコイツらアイツらの名前を知ってるんだ?しかも気色悪いだの腰抜けだの馬鹿にしやがって!

「お前らなんで二人の名前を知ってるんだよ」

 俺はキレ気味にそう言う。

 すると俺がどこの冒険者か聞いてきた奴が、

「あの二人は元々この街の冒険者だったんだよ、まぁ二人とも逃げたけどな!」

 馬鹿にする様に笑いながらそう言った。


 な、逃げた......?っていうか、ジェイドはまずミリゴで冒険者なんてしていなかった気がするんだが。

 まぁ、んな事は今はどうでもいい。コイツら、俺の仲間を馬鹿にしやがって......!

 流石に我慢の限界だった俺は、手に持っていた杖を冒険者たちに向ける為に腕を伸ばそうとした――その時、


「止めて、テツヤ。」

 今までずっと黙っていたセリヤが、伸ばそうとしていた俺の手を掴みながらそう言うと、

「私たちはこの店から出ていくから、あまりミリゴの人達を悪く言わないで。」

 店内にいた冒険者たちにそう言うと、俺の手を引っ張って、半ば強引に俺を店から出した。

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