勝利、そして旅立ち
「今戻ったぜ。」
俺が冒険者ギルドの扉を開けるとそう言う。
その瞬間、冒険者ギルド内に居た冒険者達が、
「兄ちゃん達が帰って来たぞ!」「「うぉぉぉぉぉ!!」」
そう声を上げた。
あの後、俺の最後に放った渾身のファイアボールでゴブリンキングが死んだ事を確認した俺は、その証として、被っていた王冠を持って帰って来ていた。
村長は、俺が手に持っている王冠を見ると、
「いきなりゴブリン達が引いて行ったので、もしかしてとは思いましたが......やってくれましたか!」
そう言う。
たく......久しぶりに死ぬかと思ったぜ。
「あぁ、本当に死ぬかと思ったがな。」
俺は笑い混じりでそう言う。
セリヤとローズオーラも、
「なかなかにしんどかったわね......」「久しぶりに応えたぞ。」
俺のセリフに続くようにそう言った。
「本当にありがとうございます!」
村長が目尻に涙を浮かべながらそう言う。
「あぁ、ゴブリンキングを倒すことが出来て、本当に良かったぜ。」
こうして、ミリゴの冒険者対ゴブリンキング率いるゴブリン軍団の戦いは、ミリゴの冒険者側の勝利に終わった。
次の日、俺は新しい旅の準備をしていた。
ん?何でいきなりそうなったのかって?あぁ、それはだな。
ゴブリンキングを倒した日の夜、セリヤがいきなり
「新しい場所へ旅に行きたいわ」
そう言ってきたんだよ。
もちろん最初は俺も行く気では無かった。
この街は本当にいい街だからな。
でもセリヤが言うには、
「死の道が無くなったから、この街はもう大丈夫」なんだと。
それで結局、確かに新しい場所へ旅に行くのも楽しそうだからという考えに至り、俺も行く事にしたって訳だ。
「よし、セリヤは準備出来たか?」
俺は新しい場所に持っていく物を背中に背負いながら、セリヤにそう言う。
「えぇ、準備出来たわ。」
よし、じゃあ行くとするか。と、言いたい所なんだが......
俺は椅子に座ったローズオーラを見ながらこう言う。
「お前、本当にミリゴに残るのか?」
そう、ローズオーラは俺たちに着いて来ず、この街に残ると言うのだ。
「あぁ、この街には色々と迷惑を掛けたから、その分恩返ししたいんだ。それに、我まで他の場所に行ってしまったらこの家に住む人が居なくなってしまうからな。」
「そっか......」
まぁコイツもちゃんと考えているみたいし、俺がその意見を無理やり曲げさせる権利は無いからな。
俺はもう既に扉を開けて、玄関で待っているセリヤの所まで行くと、
「じゃあ行ってくる」
そう言う。
それに続いて、
「元気でいるのよ?また帰ってくるから」
セリヤもそう言った。
するとローズオーラは、いつもの様な子供っぽい笑顔で、
「あぁ、じゃあ行ってこい!」
俺たちにそう言う。
こうして俺とセリヤは、家を出た。
「よし、じゃあ行くか。」
「そうね」
村長やジェイドには挨拶を済ませているからあとは出発するだけだ。
俺たちは、街の入り口のほうへと歩き始めようとした。
すると、
「おーい!」
前の方から見覚えのある冒険者が走って来ながら、俺たちに声を掛けてきた。
「ん?」
俺は直ぐに声を掛けてきた冒険者の顔を見る。
するとその冒険者は、
「おぉ!無事だったのか!」
俺たちが死の道の時に途中まで一緒に行動していた冒険者の中の一人の、ハチマキを巻いた冒険者だった。
彼は左手を失う大怪我を負ってはいたが、生きていた。
死んでしまったかと思っていたが、生きていたか!良かったぜ!
「まぁ何とかな。俺以外の奴らも大怪我を負ってはいるが何とか生き残った。」
ハチマキを巻いた冒険者は、笑いながらそう言う。
あ、そういえばコイツの名前知らなかったな。
「そういえばお前の名前は何なんだ?」
俺はそうハチマキを巻いた冒険者に聞く。
するとその冒険者は、
「俺の名前はギルだ。」
そう名乗った。
ギルか、かっこいい名前だな。
するとギルは、
「お前ら、新しい場所に行くんだって?」
そう聞いてきた。
「あぁ、そうだ。セリヤがいきなり言い始めてな。」
「そうか、また帰って来るのか?」
「あぁ多分な。」
俺がそう返すと、
「俺たちミリゴの住人はお前たちの味方だ。
だから困った事があったら何時でも帰って来いよ。」
ギルはそう言い、俺とセリヤの方へと拳を突き出してくる。
「あぁ、ありがとな。」「えぇ」
俺とセリヤは、その拳に拳を合わせてると、笑いながらそう言った。
こうして俺とセリヤは、新しい場所へと、進み始めたのだった。
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そして、今回の話で第一章[ミリゴ編]完結です!
ここまで読んで下さった皆さま、本当にありがとうございました!次の話からは新章ですので是非楽しみにして頂けたらなと思います!