蒼炎の彗星
俺は思っていた何倍も強いゴブリンキングに、杖を向けると、身体に残っているかも分からない力を何とか振り絞り、
呪文を唱えようとした。
しかし、そんな俺に対してローズオーラは、
「撃つな。」
そう言い、俺の前に手を伸ばして、魔法を撃つことを制止してきた。
な……コイツ何やってんだよ。
確かに攻撃は効かないかもしれないが、このままだとやられちまうぞ!それかまさかコイツ、何か良い案でもあるのか?
「オーラ、何か考えがあるのか?」
俺はゴブリンキングを静かに睨んでいるローズオーラにそう聞く。
するとローズオーラは、
「あぁ」
そう俺の問いを肯定し、
「ミリゴのみんなに迷惑が掛かるかもしれないからこの方法はあまりしたくは無かったが......仕方ない。」
あまりやりたくは無い手段だという事を前提にこう言った。
「私が魔法で、アイツの身に纏った鎧を砕く。」
.....ん?って、えぇ!?コイツ魔法を使えるのか!?
「お前、魔法なんて撃てるのか!?」
俺はローズオーラにそう聞く。
するとローズオーラは、
「我を舐めるんじゃないぞ?」
子供っぽいく笑いながらそう言った。
確かにコイツ魔族だもんな……魔法を使えてもなんらおかしくは無いか。
ローズオーラが魔法を放てるという事に納得した俺は、
「で、オーラが言う作戦ってのはどんなのなんだ?」
そう聞く。
するとローズオーラは、
「我が魔法でアイツの鎧を砕き、バランスを崩す。
その隙を狙ってセリヤも攻撃してくれ、そして最後にテツヤの魔法でとどめだ。」
そうローズオーラが考えた作戦の内容を打ち明けた。
なるほど、俺たち三人のコンボ攻撃って訳だな。
でもそれ本当に上手くいくのか?まずローズオーラが放てると言う魔法でゴブリンキングの鎧を砕けるのかも定かでは無いが......まぁ文句を言っている時間なんて無いよな。よし、
「分かった。オーラの作戦に乗る。」
ローズオーラの作戦を聞いた俺は、まだ半信半疑ではあったが、考える事の出来る時間が無かったという事もあり、俺はローズオーラの作戦に乗る事にした。
もう一人のセリヤも、俺と似たような結論に至ったらしい、
「分かったわ。」
そう言った。
すると、俺たち二人が作戦に乗るという事を確認したローズオーラは、
「じゃあお前ら、伏せてろ!」
そう言い、クラウチングスタートの様な体勢になり、
「たぁぁぁ!!」
勢い良くゴブリンキングの方へ走って行った。
「はっや!?」
そんなローズオーラを見て俺は口からそう声を漏らす。
いや、マジで早すぎるって!
サラマンダーと同等じゃないかと思うくらい、ローズオーラの走りは早かった。
そして驚異的な速さで、ゴブリンキングの前まで一瞬にして移動したローズオーラは、右の拳を固めると、
「蒼炎の彗星ッ!!」
そう言い放ち、紫の炎を拳に乗せると、その拳をゴブリンキングの腹に打ち込んだ。
するとその瞬間、
「ぐぉ!?」
なんと身体に纏っていた鎧が砕け散り、ローズオーラが宣言していた通り、ゴブリンキングは体制を崩した。
アイツマジでやりあがった!すげぇじゃねぇか!
「今だセリヤ!」
ゴブリンキングの鎧を叩き割ったローズオーラは、こっちを向き、セリヤにそう言いながら横に避ける。
「分かってるわ!」
ローズオーラに指示を出されたセリヤは、そう返すと、
「お父さん、私に力を貸して!」
そう言い、剣を構えると、
地面を蹴り、ゴブリンキングの方へ走った。
そしてゴブリンキングの前まで来たセリヤは、
「サラマンダースラッシュ!!」
そう叫ぶ。
その瞬間、セリヤの持っていた剣に以前戦ったサラマンダーが吐いていた様な炎が纏われた。
あれは……セリヤが持ってるユニークスキルか!
こんな時に使いやがって!たく、かっこいい事すんじゃねぇよ!
そしてセリヤは、
「はぁぁぁぁ!!」
炎が纏われた剣で鎧が砕かれ、守るものが無くなったゴブリンキングの腹に斬撃を入れた。
その瞬間、
「ぐぉぉぉ!?」
今まで全く悲鳴を上げなかったゴブリンキングも、そこで初めてそう悲鳴を上げた。
そして、セリヤも先程のローズオーラと同じ様に横へと避けると、
「決めて、テツヤ!!」「叩き込め!」
二人からそう言われる。
やっと来たかよ......!
「任せろ!!」
俺はゴブリンキングの方に杖を向けると、身体の中に残った僅かな力を振り絞って、
「草木を燃やせ、ファイアボールッ!!」
渾身のファイアボールを放つ。
だが、やはりゴブリンキングもタダではやられない。
「グォォォォ!!」
そう強く咆哮すると、何とか身体を持ち上げファイアボールを潰す為に手を伸ばしてきた。
だが、そんな行動は無駄だ!
「俺のファイアボールはお前に捕まる程のろくねぇよ!!」
俺のファイアボールは、ゴブリンキングの伸ばす手をすり抜けると、腹に直撃、黒い煙と凄まじい爆風と共に、大爆発を起こした。
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