訪問者
「はーい、ご飯持っていくわね」
「お、きたきた」
俺とローズオーラが話してた間にセリヤは朝ごはんの準備が出来た様だ。
「今日は何なんだセリヤ!」
ローズオーラがセリヤにそう元気よく聞く。
「今日はオーラの好きなゆで卵よ!」
「やった!ゆでたまご!」
なんだかんだ幸せだよなこんな日々、いっその事このまま何も起きて欲しくないぜ。
俺はそうセリヤとローズオーラを見ながら思った。
すると、
コンコン
玄関の扉がノックされた。
あ、なんか起こるわこれ。
まぁ、何も起きなかったら誰も読まないからなんか起きてくれた方が物語的には良いんだけどさ。
「テツヤ、ちょっと出てくれない?」
「あいよ」
俺はそうセリヤの言った通りに椅子から立ち上がり、玄関の方へ歩いて行く。
さてさて、今日は誰が来たんだ?
俺はドアノブを握ると、ガチャっと扉を開けると同時に、
「なにか用か?」
そう、扉の前に立っていた人物に声を掛けた。
すると、
「おはようございます。」
そこに居たのはなんだかんだ関わりのある村長だった。
ん?なんか俺たち村長にしたっけ?
俺は考えてみるが、やはりここで村長が登場するのはよく分からなかった。
でも、悪い事では無いだろう。
セリヤ家に尋ねてきた村長は、初めて会った時の様な柔らかい笑顔を顔に浮かべていたからだ。
村長は俺の顔を見ると、
「今日、この街で一年に一度のお祭り、「ミリゴ大収穫祭」を開催するのですが、貴方達にもぜひ参加してもらおうと思い、尋ねさせて頂きました。」
そう言った。
ミリゴ大収穫祭?またよく分からん単語が出てきたな。
俺はすぐに
「ミリゴ大収穫祭ってなんなんだ?」
村長に聞き返す。
まずはそのミリゴ大収穫祭とやらの事を知らないと話が分からないからな。
すると、後ろからセリヤが歩いて来て、
「この街で昔からやってる、制限時間内に誰が一番薬草を取れるかって祭りよ。
まぁ私はあまり興味が無かったから知らなかったけど。」
俺にそう教えた。
へぇ、この世界にも祭りとかあるんだな――って、なんだよその祭り。制限時間内に誰が一番薬草を取れるかだって?
またへんちくりんな祭りが出てきたぜ。
俺がそう思っていると、セリヤの説明に補足するように、
「今回は個人戦では無く、チーム戦になります。ですから、ぜひ三人で参加して下さると嬉しいです。
なんと言っても貴方達はミリゴの街を代表する人達なんですから。」
村長はそう言った。
ミリゴの街を代表する、かぁ。
セリヤとローズオーラはともかく、よく俺もこんな所まで上り詰めたよなぁ。
思い返してみれば、事の始まりは俺が薬草の森で薬草採取をしていた時、ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れたのが始まりだった。
ん?あぁ、お前らの思ってる事は大体わかるぞ?
あれだろ?「ローズオーラが仲間になってから戦って無いし、レベルアップもして無いじゃないか!早くモンスター倒しまくれよ!」だろ?
確かにお前らの気持ちは分かる。
でもな?俺の立場になったと思って考えてみろ、ユニークスキル[レベルアップ]を手にしたからと言って、ラノベの主人公みたいに「モンスター倒しまくって最強になります!」なんて思っても、行動には移せないって。
確かにあらすじで、「これなら最強になれるんじゃね?」
とは言ったけどさ……いくらレベルが上がってもモンスターを倒すのはしんどいんだよ。
確かにその分ゴールドは貰えるが、もう既に生きれる分のゴールドはあるんだ。
だから無理に倒す必要も無いしな。
まぁだからと言って何もしないままじゃ、せっかく読みに来てくれてるお前らに悪いから、これからも急がず焦らずレベルを上げて少しずつ最強になって行こうと思ってる。
良かったらこれからも俺の異世界ハーレムライフを読んでくれって感じだ――っと、少し話がそれだな。
とにかく、今日のミリゴ大収穫祭に出るとするか。
「我も出ていいのか!」
ローズオーラが無邪気に笑いながら、俺たちの会話に割り込んでくる。
すると村長は、
「もちろんです。ローズオーラさんは、ミリゴの街の一員なんですから。」
優しい笑顔でそう言った。
それを聞いて、めちゃくちゃ喜ぶローズオーラ。
本当に、この街の人間は良い奴ばっかりだな。
「もちろん出させて貰うぜ。良いよな?セリヤ。」
俺は村長にそう言うと、セリヤに確認を取る。
「えぇ、なんだか思ってたよりも面白そうだし、良いわ。」
セリヤもそう俺の確認に同意した。
「ありがとうございます。
では、一時間後、冒険者ギルドの前に集合でお願いします。」
俺たちがミリゴ大収穫祭に出るという事が分かった村長は、他の冒険者の所にも行くのだろう。
そう言うと、足早に去って行った。
よし!最近面白い事が無かったから、今日は存分に楽しむとするか!
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