レグル山賊の長
「「え!?」」
俺とセリヤは男が指さした方を見た途端、そう声を出した。
男が指さしたのは、なんと先程からずっと砂場で遊んでいる子供だったのだ。
いやいや、流石にあれは無いだろ。コイツふざけてんのか?
「いや、あの子供は無いだろ。」
俺は男にそう言う。
しかし男はやはり、
「いや、あの方がレグル山賊のリーダーです。」
そう言った。
すると、その会話が聞こえたのか、砂場で遊んでいる子供(レグル山賊のリーダー?)が立ち上がり、こっちを向くと、
「やっと来たか!我が名はローズオーラ!レグル山賊のリーダーだ!」
そう、腰に手を当てて元気よくそう言った。
え……
「お前が……?」
「あぁ!」
「嘘じゃないのよね?」
「いかにも!」
どうにも信じらんねぇ……だって身長は140cm位、髪型は超ロングで、サラサラな髪が今にも地面を擦りそうだ。手足は本当に小さく超ミニサイズ。
唯一子供っぽく無いのはテカテカと太陽光を反射している紫の髪色だが、この世界は前の世界とは違う。
髪色が紫の子供なんて探せばいくらでも居る。――と、今の説明を聞いたら分かると思うが、俺の目の前に居るのは完全に子供で、とてもレグル山賊のリーダーとは思えなかった。
「おい、本当にこんなのがレグル山賊のリーダーなのか?」
俺はそう男に耳打ちをする。
しかし男は、
「気をつけて下さい、あんな見た目でも強いです。」
俺の耳に口を近づけ、小声でそう言った。
いや、強いっつってもなぁ……
「はぁ……」
俺はため息を吐くと、まずは未だにドヤ顔で腰に手を当てたまま固まっているローズオーラに質問をする事にした。
まずは会話が大切だからな、それは敵でも味方でも関係ない、だから俺はこう聞いた。
「君、何歳?」
いや、ふざけてないって!
もしかしたらこんな見た目で実はめっちゃ歳上とかあるじゃん?
するとローズオーラは、俺の質問にこう返した。
「我はざっと200歳だ!」
ほらバグってたぁぁぁぁ!!おかしいだろ!?200歳!?人間じゃないのかコイツ!?
俺はいきなりのぶっ飛んだ発言に度肝を抜かれながらも、
「人間じゃないのか……?」
ローズオーラにそう聞く。
するとローズオーラは、
「我は人間などでは無い!魔族だ!」
そう言った――って、まぞくぅ!?
本当に人間じゃなかったよ!?確かに「異様に耳が長いな〜」とか思ってたけど!
はぁはぁ……さっきからファンタジーな単語が飛びまくっているが......まぁ良い。一応この世界は異世界だしな。
俺は「ふぅ」と息を整えると、早速200歳で魔族のローズオーラに、レグル山賊を解散してくれないかを頼む事にした。
「今日は一つお願いしたい事があって来たんだ。」
子供の相手をする様にローズオーラの視線まで腰を落として俺はそう言う。
するとローズオーラは、
「ん?なんだ?言ってみろ!」
挑発的にそう返してきた。
クソ……コイツ俺が下手に出たら調子乗りやがって。
本人は200歳とか言ってるけど、中身は子供と変わらねぇじゃねぇか。
俺はローズオーラのそんな態度に苛立ちながらも、ここでキレてしまえば台無しだ。
だから俺は何とか堪え、
「レグル山賊を解散して欲しいんだ。」
ローズオーラにそう本題を持ち掛けた。
「なんで?」
ローズオーラはそう理由を聞いてくる。それに対して俺は、
「お前たちのせいで困ってる人達がいるんだよ。」
薬草の森で起こった一幕を思い返しながらそう言った。
すると、ローズオーラは何かが気に食わなかったのだろうか、
「我は悪い事なんてしてない!!」
大声でそう叫んだ。
ちょ、急に叫ぶなよ。心臓がキュッてなったじゃねぇか。
はぁ、こりゃ早めにケリをつけないと騒ぎになっちまうな……よし、とりあえず説得を続けるとするか。
「お前がそう思ってても、困ってる人は困ってるんだ。」
駄々をこねるローズオーラを説得させる為にそう言う俺。
正直言うと話し合いで何とかなるとは思って居ないが。
どうせまた叫ばれるんだろうよ――
と、思っていたのだが俺のセリフを聞いたローズオーラは先程みたいに駄々をこねる事は無く、急に腕を組み、しばらく何かを考えた後、何か閃いたのかパァっと表情を明るくして俺にこう言った。
「じゃあお前が我との勝負に勝ったら解散してやろう!」
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