公園
「どこにいるの?早く案内して!」
セリヤがそう男に聞く。
……たく、しょうがねぇな。俺は自分の優しさに感動しながら、
「仕方ない、俺も行ってやるよ。」
セリヤに仕方なぁ〜くそう言ってやった。
しかしセリヤは、
「当たり前よ!」
俺にそう言うと、もう現場に走り出している男の方に走って行った。
「はぁ……」
アイツ、ちょっとは俺の気持ちも考えろよな?可哀想だとは思わんのかね。なぁお前ら?
異世界転生する前は、「でもなんだかんだ言って、ヒロインに連れ回されてる主人公って幸せだよな」とか思ってたけど、今はマジでそうは思わんね。
だってマジでウザくなって来るぜ?
俺はそう走って行くセリヤの後ろ姿を見ながら愚痴を吐くが、
「何やってんの!?早く来て!」
セリヤの一言で、
「へいへい……」
簡単にセリヤ(ヒロイン)に連れ回される俺(主人公)であった。
「それで、今回はどうすれば良いんだ?また何か取ろうとしているのか?」
セリヤと男に追いついた俺はそう聞く。
まずは何をすれば良いかを知る必要があるからな。
すると、なんと男は俺が予想していたセリフとは全く違う事を言った。
「今回はリーダーしかいません、ですから直接話してレグル山賊を辞めさせて欲しいんです!」
は……?何言ってんだよコイツ?あのレグル山賊のリーダーを説得させろってことか?無理に決まってるだろ。
コイツはバカなのか?何度もしぶとく登場して、更にバカな登場人物なのかお前は!?
「話し合いで何とかなる問題なのかそれ?」
俺は男にそう聞く。すると男は、自信なさげに
「いや……正直話し合いで何とかなるという保証はありませんが……それ以外方法が無いんです。」
そう言う。
力づくとかはダメなのか?
俺は男にそう聞こうとすると代わりにセリヤが、
「戦って解決とかはダメなの?」
そう聞いた。
すると男は、
「多分貴方たちでは勝てないと思います……」
苦しい顔をしながらそう言った。
俺たちじゃ勝てないレベルの相手なのか、一応サラマンダーには勝てるくらいの実力は持ってるんだがな。
まぁでもいい、出来れば戦いたくはないしな、話し合いで何とかするしかないか。
……何とかなるとは到底思えないが。
そこからしばらく男の背中を追うように走っていると、目的地に着いたらしく、走るのを止めた。
ん?こんな所にレグル山賊のリーダーがいるって言うのか?
そう、俺たちが連れてこられたのは冒険者ギルドのすぐ近くにある公園だった。
更に、その公園には、子供が一人砂場で遊んでいるだけで、それらしき人物はいなかったのだ。
あ?コイツまさか俺たちを騙したのか?数回登場しただけのモブのくせに?
俺が頭の中で早くもそう愚痴を吐き出していると、セリヤが、
「こんなにレグル山賊のリーダーなんて居るの?」
そう聞くと、男はビクビクしながら指を指し、
「あの方です。」
そう言った。
「「え!?」」
俺とセリヤが男の指さした方を見た瞬間そう言う。
なんと男が指さしたのは、先程から公園の砂場で遊んでいた子供だったのだ。
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