生まれつき
「実はそういうユニークスキルを持ってるんだ。」
ジェイドはそう言った。
ん?ユニークスキルの内容を見る事が出来るユニークスキルってことか?そんなユニークスキルあるのかよ?
俺がそう疑問に思っていると、セリヤがもう一つ気になっていた事をジェイドに聞いた。
「それはいつ手に入れたの?」
そう、それはジェイドはユニークスキルを何時手に入れたのかという事だ。
俺は薬草集め中に手に入れ、セリヤはサラマンダーを討伐した直後に手に入れた。そんなふうにユニークスキルの獲得は人によってバラバラだ。
しかし、唯一同じなのは、俺もセリヤもクエスト関係の事をしていたという事だ。
だからてっきりユニークスキルを持っているのは冒険者だけだと思っていたが……
俺はそう思考を巡らせていた。
すると、セリヤの問いにジェイドは答えた。
「俺は生まれた時からユニークスキルを持っている」
え?生まれた時から!?そんな事あるのかよ!?
俺はジェイドの今のセリフにすぐさま食いつく。
「生まれた時からって……そんな事あるのか?」
俺はそう疑うようにそう聞くが、ジェイドは、
「低確率だがあるらしい、有名な冒険者たちのほとんどはそれらしいぜ。」
そう言った。
有名な冒険者たち……か、この街には居ないが他の街や大陸にはたくさん居るんだろうな――なんて、別に俺はそいつらと張り合う気もないからどうでもいいんだけどよ。っと、少々長話をしてしまったな。そろそろ帰るか。
俺は、先日受け付けのお姉さんに買って貰ったホーミング機能付きの杖を試したかったという事もあり、
「ユニークスキルを見てくれてありがとうな。今日はまだ色々したい事があるからそろそろ帰るわ。」
ジェイドにそう言って、椅子を立ち上がった。
それにセリヤも同調する様に、
「そうね、そろそろ帰りましょうか。今日はありがと。」
そう言い、俺に続く様に椅子から立つ。
それを見たジェイドは、最初こそ寂しそうな表情をしていたが、直ぐに男らしい笑顔を作り、片手でグッドを作って、
「あぁ、全然大丈夫だ。また何かあったら何時でも来てくれ!」
そう言い、俺たちを見送る。
こうして俺とセリヤは真っピンクの可愛らしい家を後にした。
家から出ると、あまり登っていなかった太陽はもう俺たちの真上にまで登っていた。
「あっちいな」
俺は口からそう言葉を漏らす。ってかこの世界には春夏秋冬というものが無いのか?こんなの夏夏夏夏だよ。
そう頭の中で夏(なのかは分からんが)に対する愚痴を垂れ流していると、奥の方から俺たち目掛けて何やら見覚えのある男性が走って来た。
その男は俺たちの前に着くとはぁはぁと荒く呼吸をしながら、
「テツヤさん、セリヤさん、レグル山賊のリーダーが現れました!」
必死の形相でそう言った。そこで俺はコイツの存在を思い出した。
コイツはレグル山賊の時の!一回限りのモブキャラじゃねぇのかよ!
そう、この男は、俺とセリヤが薬草の森でレグル山賊が薬草を不正に取ろうとしているのを止めに行った時の、そこまで案内した男だったのだ。っと、それは一旦置いとこう。
レグル山賊のリーダーだって?あーあ、もう最悪だよ。
恐らく俺が一番聞きたくなかった名前だろう。今でもキンタマが痛むぜ。
出来ればもうレグル山賊とは一生関わりたくないと思っていたが――どーせ、今回も行かなきゃなんねぇんだろうな、みてろよ?そろそろセリヤが、
「どこにいるの?早く案内して!」
ほらな。......たく、お前まだ背中の火傷治ってねぇだろ。
こうして、俺の平和な冒険者ライフは遠ざかって行くのだった。
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